断捨離、あなたはできますか?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:chocolat(26 年9 月ライティングゼミwithAI)
「ときめかないものは、捨てていい」——その言葉が、私の部屋を劇的に美しく変えるはずだった。
私の部屋には、子どものころから床がなかった。
いや、もちろん床はあるが、床がほとんど見えなかった。
小学生の私は、いつも座る場所を探して、ものをよけていた。
「私の部屋、なんだかいつも狭いなあ」
そんな風に感じていたが、本来そんなはずはなかった。
大人になっても、ダイニングテーブルは書類や本がすぐに山積みされ、表面積が狭かった。料理を置くには、ものをそっとよけてスペースを作り出すテクニックが必要だ。
そんなときに、「ものへの執着を捨てられる」という魔法の言葉に出会った。
その言葉を聞いた瞬間、私は本を手に取っていた。次々にときめく片付け術を試した。
衝撃を受けた。アドバイスにならって大量の不用品を手放すことができたのだ。
同時に、もうこれから、私はいつでもきれいな部屋で暮らせるんだ! という達成感で満たされた。
しかしそれも束の間、「あ、またテーブルが消えた!」
あれ? これはどういうことなんだ? 全く片付かないぞ?
リバウンドしない、という言葉にも、あっけなく裏切られた。
結局、ものへの執着は、全く捨てられなかった。
ときめかずに捨ててしまったものを、また必要になって買い足す、という本末転倒なことも起こった。
なぜこんなにものが積み重なってくるのだろう……これは、まるで地層だ。時には、どこに置いたのかわからない書類や本を探すため、数時間かかる発掘調査も必要になった。
本の山を前に、私はぼんやりと立ち尽くし、そこではっとした。
「片付けのアイデアをくれるはずのときめきの本自体が、場所をふさいでいるなんて!」
がっくりと膝から崩れ落ちた。
常にきれいに片付いて、リバウンドのしない部屋——それは言ってみれば、ピーターパンのネバーランドのような、ファンタジーの世界だったのだ!
本を読んで、夢に描いているだけでは、現実の世界には起こらない。
ファンタジーはもういらない。魔法の言葉は、他の人が作り上げたおとぎ話だ。
真っ先に、頼りきっていた“指南書”たちの地層を断捨離した。
その上、自分を徹底的に追い込むことにした。
「家に人を招待して、当日までに散らかった部屋を片付ける」という、自分の首を絞める、恐ろしい方法へのチャレンジだ。それは誰かに教えられた方法ではなく、私が自分で見つけ出した、たった一つの答えだった。
ずぼらな私だが、さすがに床にものが散乱した部屋に、友達を招き入れる勇気はない。そうなると、なんとしてでも自力で片づけるしかない。
誰かが片付けを手伝ってくれるわけでもない。約束をしてしまったことを前日に後悔するくらい、つらい片付けのこともあった。でも、こうでもしないと、私の部屋はどこまでも散らかり続け、悲惨な状態になった。
ついに来客当日、完璧からは程遠い、その場しのぎで片づけた部屋に招き入れた。
あそこもまだ片付いていなかった、掃除の行き届いていないところも目立つ。
「なぜまだこんなに散らかった部屋に友達を招待してしまったんだ、私は!」と叫びだしたい気分なのをぐっとこらえて、何食わぬ顔でお茶を出した。
すると、お世辞に違いないけれど「素敵な部屋だね!」という友達の言葉が。
心の中で、史上最大のガッツポーズが出た! 半分徹夜になりかかった昨日の私に聞かせてあげたいよ、このセリフを! あまりにうれしくて、目頭が熱くなった。
何とかやり切った!
これが長年を経て私が自分で見つけ出した、私なりの片付けの法則だった。
2週間前に友達が来た。一度片付けをした。いや、実際には片付けたわけではなく、大急ぎで地層を別室に隠すという、ズルを使ったのだが。
友達が帰ると、あっという間に新たな地層が、高層ビル並みの高さで出現した。別室に隠してある富士山級の地層もまだ崩していないのに。数日後にはもうこのありさまだ。
来週も友達が来る。「ある意味、散らかしの天才だな、私」などといらぬことを考えながら、私のときめきのネバーランドが出現することを、一瞬だけ夢に見る。
まだ断捨離のできない現実の私は、前日の夜にまた地層を掘り始めるだろう。それでいい。
完璧な部屋よりも、来週また友達を呼べる自分でいることが大切なのだ。心にゆとり=空間ができたのだろう。私の知らぬ間に、心の中では断捨離が進んでいた。
私はまた地層を掘る手を動かしながら微笑むのだった。
≪終わり≫
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院カフェSHIBUYA
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目20番10号
MIYASHITA PARK South 3階 30000
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「名古屋天狼院」
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先
Hisaya-odori Park ZONE1
TEL:052-211-9791
営業時間:10:00〜20:00
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00







