違いを楽しむ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:吉田実香(26年9月ライティング・ゼミwith AI)
「あー、忙しい! コピーロボットがほしいわ!」
キョトン。
「コピー……ロボット、ですか?」
あれ、通じない。
「えー! パーマンのコピーロボット、知らないの?」
「あー、パーマンはなんとなく知っていますが、コピーロボットはちょっと……」
コピーロボットに緑のおばさん、予防接種した日は入浴してはいけない……等々の話題で、最近盛り上がった。
昭和40年代から昭和の終わりにかけて生まれた世代と、平成生まれ世代で、しっかり線引きされた。
しかしながら、「緑のおばさん」は、世代の差ではなく、地域の差によるものかもしれないという話になり、真偽は定かではないが。
ジェネレーションギャップは、出汁だ。
最近、ジェネレーションギャップを楽しく感じるようになった。
以前は、なんだか悔しかったし恥ずかしかった。
中途半端だな、と感じていた30代後半から40代にさしかかる頃だ。
若いとも言い切れず、かといって中年として括られるのは不本意で、でも、若い世代の流行にはもちろんついていかれず、上の世代とのジェネレーションギャップを感じて若いと思いたいような……、という頃。
しかし、50も目前ともなれば、開き直りもあるし、若者についていこうなんてとうてい無理だとあきらめている。
そうなると、下の世代の話も新鮮な気持ちで聞けるようになったし、素直に感心してしまうし、教えてほしい気持ちになる。
ジェネレーションギャップから、思いのほか話が盛り上がることは、よくある。
それは、会社の後輩たちが、おじさんおばさんをバカにしない優しい人たちが揃っているという、恵まれた環境にいるからだ。
と思いつつ、以前の私のように、密かに小馬鹿にしている可能性もなくはないが。
でも、それはそれで気持ちがわかるから、よしとしよう。
会社で思わぬきっかけや会話から世代による差を感じることがあると、ワクワクしてしまう。
もっと話を聞かせて! と思うけれど、仕事中に雑談ばかりしているわけにはいかない。
そして、コピーロボットの一件のあと、急に大学時代の友だちを思い出した。
都内の大学に通っていたのだが、その友だちは、関西出身だった。
昼休みの学食で、「最初は殺されそうなつゆやなって思ったけど、慣れたらこれもうまいわ」と言ってそばを食べていた。
「殺されそうなつゆ」という言葉が、強烈に蘇った。
関西のそばやうどんのつゆは、昆布だしをベースに薄口醤油で味を調えるため、麺やどんぶりの底までしっかり見えるほど澄んでいるのだという。
と、友だちはそんな丁寧な説明はしてくれなかったけれど、とにかくつゆは透明なもので、こんなに真っ黒いおそろしい色はしていないのだと言っていた。
当時の私は関西の出汁をまったく知らなかったが、その後旅行や仕事で関西のつゆを知った。
たしかに、このつゆが当たり前だったら、関東のつゆに対して「殺されそう」だと思っても仕方がないのかもしれないと思った。
出汁といっても、さまざまなものがある。
関東や関西の違いだけではなく、かつお節、昆布、煮干し、干し椎茸、等々。
それぞれの地域独特の出汁は、その地域では当たり前の味であり、それでいてそれぞれの良さがあり、どれがいちばんだとは決められない。
もちろん、自分が生まれ育った地域や家庭の食べ慣れた出汁がいちばんではあるけれど。
ジェネレーションギャップも、どの世代が良いか悪いかなんて、もちろんない。
世代ごとに慣れ親しんできたことが違うだけであり、時代の流れとともに移り変わってきただけのことだ。
それなのに、とかく若い世代が正で、上の世代が時代遅れの悪のように捉えられてしまう。実際に若い頃の私は、上の世代に感じるジェネレーションギャップには、大袈裟にいうと見下す気持ちがあったことも事実だ。
でも、出汁のそれぞれが確固たる地位を築いているように、それぞれの世代にはそれぞれの世代の確固たる地位というか立場があり、尊重されるべきだ。
旅行や引っ越しでその地域の出汁を知って、新たな味わいを知っていくように、お互いに興味を持って知っていけばいい。
そういう視点でお互いをみれば、深い味わいにつながると思う。
だから、ジェネレーションギャップは出汁だと思うようになった。
お互いに混ざり合うことで、未知の合わせ出汁ができあがる。
いくつになっても、新たな出汁の開発にいそしんでいこうと思う。
《終わり》
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