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子どもの熱性けいれんは母としての登竜門なのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:北村涼子(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「あー、お母さん、今からこの子、ちょっと硬直していきますよ……」
街のとある小児科での出来事。
発熱した1歳の娘をお医者さんに診てもらっていた。
 
そしたらみるみる娘が硬直していきけいれんを起こしだした。
「なに? なに?」
「あ、熱性けいれんね。もう少ししたら落ち着くから」と先生は娘に座薬を入れおだやかに様子を見守る。
こちらはヒヤヒヤ。何が起こっているのか全く理解ができない。
初めての熱性けいれん。
説明をしてくれる先生の言葉もよく頭に入ってこない状態で「大丈夫なんですか?」と問いかけることしかできない。
小児科の先生がココにいてくれるから大丈夫、なにかあっても先生がなんとかしてくれる。
そう思うしかなかった。
ところがどっこい次に先生が発した言葉は「あれ? おかしい」。
「あれ? おかしい」て。
どういうことでしょうか!? 先ほどのおだやかさはどこへ行ったのでしょうか!?
 
「救急車呼んで」と先生が看護師さんに放った言葉が私に強烈な打撃を与える。
「おかしい上に救急車! この子どうなってんのー!」
先生が「大きな病院へ行こう」と地域の総合病院へ連絡をし、救急車に娘と先生と3人で飛び乗り、発車。
待合室で待っていたその他大勢の病児ちゃんたちに申し訳ないが「ごめん! 先生借りる!」と思いつつ小パニック。
 
熱性けいれんとはものすごく簡単に言うと小さな子どもが発熱した際に急にポンっと高熱になる瞬間に起こるけいれんのこと。硬直していって目がじーっと動かなくなって左右対称のけいれんを起こす。
一点をみつめたまま娘がけいれんする様は医療の知識がない私に「どっひゃーっ!」なんて悲鳴だけではすまされないほどの恐怖を感じさせた。
熱性けいれんは長くても10分ほどで治まるはずが、娘は10分を超えて続いたため「あれ? おかしい」になってしまった。
怪しまれる病名は「てんかん」や「髄膜炎」など。総合病院で担当医に説明されても小パニック中の私の頭にはやっぱり入ってこない。
とにかく何か他の病気が潜んでいないか3.4日検査入院することが決まった。
小児科のお医者さんは「では、また!」と待っている病児ちゃんたちのためにそそくさと帰っていき小さな娘とふたりきりで急に心細くなってしまった。
しかし、そんなことも言ってられない! この子を守らないと!
 
検査が始まり1歳児に採血や点滴をすることの大変さを目の当たりにした。
血管が出てこない。ぷよぷよ腕には血管が浮いてこない。
そこへ看護師さんがふたりがかりで必死に血管を探し出し針を刺そうとする。
娘、号泣。わめきちらし。
それを見ている私も号泣。「いっそ私に刺してください!」など意味のわからないことまで言い放ちそうになる。
無事に刺した針が抜けたり、娘がいじったりしないように点滴をしている手にはプロテクターみたいなものをがっつり装着されなんとも切ない姿になった。
 
しかし、切なくなってもいられない! この子に何もありませんよーに! と祈りながら検査の結果を待つ。
夜は小さなベッドに私も入り込み添い寝。体を縮めてずっとそばにいる。
体の節々がおかしくなってきてこちらも体調不良に足をつっこみそうになったけどそこは甘えてもいられん、吹き飛ばす!
 
検査結果や入院してからの容態などをみて、「ただの熱性けいれんである」という結果が出てひとまず安心。
1歳の小さな体でたくさんの検査を受け、ぷよぷよの腕に針を刺され、ずっと熱が下がらなかった娘。よぉ頑張った! と感動した。
 
その後もこの娘は2回も熱性けいれんをやってのけた。
発熱している娘を実家に預けて仕事に行っていた時。
実家でやらかした。母の前ですーっと意識を失うようにけいれんを起こし、母は動転して救急車を呼び、病院へ。
その母からの携帯に入っていた留守電といったら今から10年前の話にも関わらずしっかり覚えている。
「涼子!(私の名前) 〇〇が!(娘の名前) ちょっ、あ、救急車!」ぶちっ(留守電切れる)みたいな感じでそれを聞いた瞬間「あ、相当やばいことになってるんやろなぁ」と冷静に感じた。
さらに自転車上でもやらかした。
発熱のため自転車で小児科へ行った帰り。
「とんぷく出しておきますねー」と小児科を出て自転車の前に座らせて自転車をこぐ。急いで帰って早くお布団に寝かせないと、なんて思いつつ。
そしたら「え?」て。前に座っている娘の頭がうしろにのけぞってきた。
「ちょい待ち! まさかのけいれんか!」とUターンして元きた道を引き返し、小児科へかつぎこんだ。
この時、自転車から降ろそうとする私の手がマックスに震えているのを第三者的に見てしまった。震えすぎて娘のヘルメットのひものカチっとが外せない! 私、しっかりせえよ! と。
いずれも大事には至らなかったが本当に勘弁してほしい、と切に思った。
 
子供の病時に小パニックになることはちょいちょいある。
でもそれも母として成長していく過程なんだろう、それを乗り越えてきた自分も少しは強くなったんだろう、と信じたい。
ただ、夫が一度もこの状況に遭遇していないことが「なんでやねん!」と突っ込みたくなる。
なにはともあれ、娘が元気に健やかに育ってくれていることが本当にありがたいと感謝する。

 
 
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2018-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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