ゴリラは乙女。
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記事:末原静二郎(ライティング・ゼミ平日コース)
こんにちは。突然ですがゴリラと聞くと、どんな姿を思い浮かべますか? 動物園にいる姿、テレビのドキュメンタリーに映るジャングルの中で佇んでいる姿、バナナを食べている姿。人によって違うでしょうが、大体この中におさまるものでしょう。
では、そんなゴリラの性格について考えたことがありますか?
私は
ゴリラは乙女
なんだと思うんです。
どういうこと? と思われる方が多いかもしれません。
だってゴリラといえば、立ち上がって胸のあたりをグーでたたいて威嚇したり、
太い太い腕を振り回す凶暴な性格なんじゃないの?と。
確かに彼らはドラミングといって胸をたたいて音を鳴らす行為をします。
体の大きいゴリラがそうすると、それはそれはすごい迫力でしょう。
でも、ゴリラが人間に襲い掛かったり、群れとなって村を襲った、などという話を聞いたことがあるでしょうか。実際にはほとんどないはずです。
ではなぜ、そのようなイメージがついてしまったのか。
すごくわかりやすい例が、「キングコング」。映画一本丸ごとゴリラを凶暴なものだととらえた作品です。きっと意外性のあるアクション映画、というものを撮りたかった監督の思い付きでしょう。
ほかにも、「ドンキーコング」というゲームなんかもそうですね。こちらは主人公としてですが、腕をぶん回したり、地面をたたいたその振動で敵を倒していきます。
このように映画やゲームを通じて「凶暴で、攻撃的」というイメージがついていったのでしょう。
身近な生活でも「ゴリラ=凶暴」が染みついているのがよくわかります。
大学のサークルで、がたいがよく、腕っぷしの強い先輩がいました。
唐揚げ弁当ばかり食べていて、ひとの弁当のおかずも横取りするような、
まるでジャイアンのような先輩。
何を隠そうその先輩はゴリラと呼ばれていました。
そのあだ名が定着しすぎて、ガールフレンドからゴリラの形をしたチョコなんかをもらっていました。
彼はゴリラ、と呼ばれると「ゴリラちゃうわ!」と大きな声で言っていました。
どうやら彼はゴリラと呼ばれることが嫌だったようです。
このように、ゴリラがいかに凶暴な存在だと思われているか、例をあげました。
そう思われているからこそ、ゴリラは乙女だ、という私の見解が不思議に思われるかもしれません。
でもそんなことないんです。
きっと以下を読んでいただいていたら、みなさんもそう思うはずです。
いま、小学生くらいの女の子がいるとしましょう。
彼女は、モフモフしたものが好きです。
もっというと、柔らかい毛並みのついているモノです。
例えばにんぎょう。テディ・ベアや抱き枕になっているシロクマ型のもの。
特に好きなものがあります。それが豆柴や猫のような生き物です。
ある日、そんな彼女が放課後の校庭で、一匹のフクロウに出会います。
校庭にフクロなんて、と思われるかもしれませんが、いいんです。たまにあるかもしれないでしょ。
彼女は誰もいなくなった校庭で、一人そのフクロウと対峙します。
「触りたいっ!!」
彼女は強く願います。
校庭で何喰わない顔をしているフクロウに、彼女は近づいていきます。
じりっじりっ
ついに、彼女は飛び去られることなく、フクロウの目の前に来ました。手を伸ばせば届きそうな距離です。彼女は思わずうれしくなって小さくガッツポーズをします。
彼女はその幸せな距離感を楽しもうかと思っていましたが、どうしても触りたい気持ちを抑えることができず、意を決して手を伸ばすことにしました。
ゆっくり、ゆっくり。そおっと、そおっと。
フクロウは長老じみていて、彼女の行動を意に介していないようでした。結局彼女はそのフクロウに触れることができました。柔らかい羽が生えそろった翼をなでると、彼女は本当に幸せでした。
しばらくなでたのち、帰らなくてはいけない時間になったので、彼女ははなれることにしました。離れてからも、あんなモフモフなものにさわることができたうれしさから、大きくガッツポーズを決めました。
さて、もうお分かりでしょうか。
この小学生の女の子こそが、ゴリラなんです。
もちろん場所は校庭ではなく、ジャングルの中。
でもそれ以外のシチュエーション、少女の行動はゴリラと一緒です。
彼女のガッツポーズは、ゴリラのドラミングなのです。
もともとドラミングは興奮した時や、喜びを表す表現。威嚇したり、猛っているわけではないのです。
この女の子の話は、ゴリラ研究家の第一人者、山極寿一さんの特集番組で見た光景を再現したものです。ゴリラはフクロウをジャングルの中で見つけ、興味津々でした。ドラミングしたり木を揺らしたりして興奮を表現した後、ゆっくりフクロウに近づき、慎重に腕を伸ばし、手の甲でさするようにフクロウに触っていました。
ドラミングは相手を威嚇するものではなく、フクロウをみつけた喜びを表し、
フクロウを愛でる感情がある。
まさに、穢れを知らない少女のようではありませんか。
これがゴリラの本当の姿なんです。だから今度から、粗暴な先輩ではなく、可憐なサークルのマドンナに「ゴリラ」のあだ名をつけましょう。その真意さえ知れば、きっと喜ばれるはず。
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