苦手はボタンの掛け違い。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:草野恭平(ライティング・ゼミ平日コース)
グループディスカッションが苦手だ。
議長や司会の人が発する、
「隣の人と〇〇を始めてください」
「グループを組んで○○について議論してください」
という号令と共に、頭の中が真っ白になっていくのがわかる。
それはきっと就活で散々やらされた挙句、
一社も内定が出ない。
という自分が抱える負の歴史に直結するワードだからだと思う。
実際にグループディスカッションが始まり、
議題についての議論が交わされるなかで、
案の定何も答えが出ないまま、時が過ぎていく。
そんな時に限って周りの方たちの回答や意見がとてもカッコよく聞こえる。
そして帰り際に、
馴染みの友達と遊んでいるときには、
次から次へと話題が思い浮かぶし、楽しく会話が出来るのに!
といつも悔しさと恥かしさが入り混じった思いをする。
僕にとってはいつしか、
3年間の練習の結果が出る学生最後のインターハイ決勝よりも、
「グループディスカッション」という言葉の響きを聞く瞬間が
最も緊張する瞬間になっていた。
そんな経験を就活以来、味わってなかった僕は、
先週「天狼院書店」の入り口をくぐった時に
「隣の人と挨拶しておいてくださいね」
という声を耳にした瞬間から、
「あ~絶対今日あるんだな……」と、
放送受講にしなかった事をとても後悔していた。
講師の三浦さんがライティングに必要な
ABCユニットについて話し出したとき、
紛れもなく直感で、
「このあと、絶対にグループディスカッションだ」
と、僕のセンサーが働いた。
そして、その後語られる三浦さんの丁寧な
ABCユニット講義をそっちのけで、頭の中では
グループディスカッションに向けての準備が始まってしまった。
全く同じ経験をしている人ならわかると思うけれど、
こういう時に限って、
グループディスカッションで話すネタが全く出てこない。
焦れば焦るほどに
頭はショートし、無回転状況に陥っていく。
そして、黒板が文字で埋め尽くされた時、
「はい! それではみなさんグループディスカッションのお時間です」
とタイムリミットが告げられた。
「勘の良い人は、もう自分なりの答えを考えていたのではないでしょうか?」
という三浦さんの言葉すら恨めしく感じるほど、
自分の脳内のパンク具合が哀しくなった。
「くる」
「くる」
「自分の番がやってくる」
自分の発表までのドキドキで、
心臓がパンクしそうになる。
直前でひねり出した1文は滑稽なもので、
それは就活でのあの悪夢を思い出すかのようだった。
自分の中身のない発表と共に、第一回目の講義と
10年ぶりのグループディスカッションが終了した。
そして、10年ぶりに帰り道で自分の回答に嫌気がさしながら帰ることになった。
ただ、何かが昔と違うのだ。
とても悔しい、恥ずかしい、何で良いアイデアが思い浮かばないんだろう。
という負の感情の中で、
どこか気持ちがとても晴れやかだった。
それはまるで
ダメ元で告白したけど、実際にダメだった時、
ちょっと気持ちがすっきりする感覚に似ているかもしれない。
もしくは、
長年嫌いだった食べ物をうっかり食べたら、
なんか別に悪くないかもと思うことに近いかもしれない。
自分がどこかで苦手だ、
昔やったことがあるけど、それで痛手を負ったからもう嫌だ。
と思ってる物事はその後の人生ではどうしても避けて通ってしまう。
特にそれが幼少や、多感な時期ならなおさらだと思う。
実際僕も、就活時代に経験した
「グループディスカッション」で、同年代の前で恥をかき、
結果も出せず、というとても苦い思い出から逃げてきていたと思う。
でも、今回はどうだろうか?
グループディスカッションを通じて、幅広い年代の意見を聞くことが出来て、
さらにこの話が自分の日常の会話のネタにもつながり、
こうやって課題を提出することもできている。
心臓がはじけるような発表タイムでさえ、
運動不足な自分自身へのマッサージだと思えば、
帰りがけにコンビニで買う缶ちゅーはいビールよりも健康的な気さえする。
人は自分の人生の中で
嫌な思い出はどこかで蓋をしてしまう。
そして、目の前にまた同じ障害物が現れた時に、
どうしても見ないように逃げてしまう。
もちろん、それを無理強いすることは、良いことではない。
逃げること、ルートを変えること、
それも大事な選択だと思う。
でも、何かのボタンの掛け違いで、たまたま
良いところが見えなかっただけなのかもしれない。
就活ではただ落とす人間を選考する
「グループディスカッション」が、
自分にはなかった知識や考え方をもらえる
新しい出会いの場として10年後に新しい形で出会うことが出来た。
きっと他にも苦手だと思い込んでいるものの中にも、
見方や出会うタイミングが変わっただけで
苦手が好き、得意までにはならなくても、
良いかもと思える瞬間があるのかもしれない。
まだまだ「グループディスカッション」は苦手だし、
昔、読書感想文であらすじを延々と書きまくり、
全生徒の前で「これは間違った例です」と怒られて以来
文章を書くのが苦手だけれど、
天狼院書店という新しい形の書店でゼミを受けることで、
もう一度文章のボタンを掛け直せればと思っています。
そう思えたら残りの授業も楽しくなる今日でした。
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