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会話をすることって「信頼関係」のはじまりなんだね。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:原雄貴(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「それは信頼関係が壊れるよ」
衝撃的な一言だった。
この言葉を言われた瞬間、僕はどうすることもできずに固まってしまった。
僕にとっては一生忘れられないことになったと思う。
 
大学院生時代に、公害問題についての勉強会に参加した時のこと。
勉強会で扱う内容に関心のある大学生と大学院生が全国から僕を含めて5人集まった。各自の大学の所在地は北海道、東京、名古屋、京都。同じ地域の学生もいたけれど、大学は完全にバラバラだった。
勉強会の内容は、学生が先生の助言を受けながら一緒に過去の公害問題について学び、今までの公害問題の教訓を今後どう活かすのかを学生が提案するというものだった。
1日目は当日の夜に集合して全員集まったところで勉強会がはじまった。
勉強会に臨んだ学生は初対面同士だったけど、自己紹介では全員
「この勉強会に参加した理由は○○です」
「この勉強会ではこんなことを学んでみたい」
さすが全国から公害問題に関心をもってやってきているだけある。参加の動機も目標も全員はっきりしている。周りは大人たちばかりに見える。
「自分はここでしっかり話についていきながら、何かを学びとれるのだろうか」
「自分はこのメンバーの役に立てるのだろうか」
そんな不安が腹の底からのぼってきた。
しかし、その不安の中には期待も交じっていた。
「この人たちと一緒に勉強会をして、議論をしたらおもしろい提案ができるんじゃないか」
この不安と期待をもって僕は勉強会をスタートした。
勉強会が進むにつれ、参加者はそれぞれ持っている知識や経験を活用して話をリードしていき、意見もどんどん出した。
「自分が予想した通り、意識の高いメンバーだ」という実感も湧いてきた。勉強会に加わっている僕自身も自分の知識やスキルを用いて何とか勉強会に貢献しようと努めた。
こうして、時間はあっという間に過ぎていき、気がつくと2日目の夜になっていた。
この日の夕食はみんなで外食をしようということになり、一同で団欒を楽しんだ。
 
さて、事件は僕ともう一人の学生が共同で会計を任されたところから起きた。通常、会計の仕事はきちんと精算をして、おつりが出た場合は迅速におつりが出ている人に差額分を返す。
しかし、僕はどうしたことか、このときある学生へのおつりを「小銭がぴったりない」という理由からなかなか返さないでいた。一緒に会計を担当した学生とも「いつまでにおつりを返そう」ということを話し合っていなかった。おつりのある学生に事情説明もしていなかった。
当然、そんなことをしていれば、おつりについて問い合わせがくるし、問い合わせがあっても曖昧な答えしかできない。
 
そして、案の定、おつりのある学生から問い合わせがきた。
僕は曖昧な返事しかできない。
 
すると、その学生がふと僕にこの言葉を放った。
「それ、信頼関係が壊れるよ」
僕はただじっとその学生の顔を見ていることしかできなかった。
学生は続ける。
「おつりの額は大したものじゃないかもしれないけど、これからまだ一緒に勉強会を進めていって提案もするんでしょ。そしたら、お互い1つ1つの行動を大切にしないといけないんじゃないの?」
おもわず、なみだが溢れそうになった。
よく考えてみれば、これまでの人生で、僕は「信頼関係」というものを意識したことがなかったし、その大切さも実感してこなかった。
人に対する気遣いもできず、人に言われないと動けなかった。
自分が何か失敗したり、役割を果たせなかったりしたとき、謝ることはしてきた。
でも、自分がした失敗の経緯やこれからどうするのかについてしっかり説明した記憶はなかった。本当は、お互いが状況や心がまえをしっかり理解してこそ「信頼関係」がうまれるのに。
僕がこの結論に達したのは、翌朝の明け方近くだった。
半泣きしながら精算をしなおして、おつりのための小銭を準備し、寝床について一晩中考えた結果、でてきた結論だ。
その後、おつりはしっかり返却できたし、その学生と関係がこじれることはなかった。むしろ、勉強会が終わった後もお世話になり、いい関係でつながれていると思う。
 
この勉強会での事件があってからは、僕は何か他の人とトラブルがあっても相手への説明や質問を怠らないようになった。お互いの考えや状況を曖昧に理解することがないようにするために。
1回や2回の会話でお互い理解ができなくても、自分なりに考えなおして、機会があれば諦めずにまた話をする。その甲斐があってか、今まであまりお互いを知らなかった人ともそれぞれの考え方ややりたいことなどを分かり合うことができている。
もちろん、すべて分かりあうということは難しいけれど、話を何回も重ねていくことでお互いが理解をし合い、それが「信頼関係」になるんだと思う。
そう考えている今の僕がやりたいことはやっぱり「いろんな人と話をする」ということ。
縁があった人とはなるべく話をしたいと思っている。
もちろん天狼院のゼミで会う皆さんとも。

 
 
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2018-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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