メディアグランプリ

キラーコンテンツは小4のムスメが連れてくる


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記事:田口靖幸(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
息子の弦(げん)は、ベルトを腰に装着すると
ベルトに埋め込まれたスピーカーから男の声!
 
「アーユー・レディー!?」
 
弦はそれに応えるように、ポーズをキメながら叫ぶ。
 
「へんしん!」
 
弦(5歳)が、「仮面ライダービルド」の変身ベルトで遊んでいる。
この年頃の多くの男の子がそうであるように、ウチの弦も「仮面ライダー」の洗礼を受け、ハマっている。
 
平成以降の仮面ライダー、いわゆる「平成ライダー」シリーズは、若手イケメン俳優たちを続々と輩出しているのは有名な話だ。
 
オダギリジョーさん、水嶋ヒロさん、菅田将暉さん、福士蒼太さん、竹内涼真さんたちがここから登場し、スターダムにのし上がっている。
 
悪の組織との闘いの日々を終えたイケメン「平成ライダー」たちは、「男の子たちのヒーロー」から「女性たちのヒーロー」へと変貌を遂げていく。イケメン目当てで「平成ライダー」を観ているママたちも多い。うちの嫁さんもそうだ。まんまと術中にはまっている。
 
また、平成ライダーシリーズでは、パパたちが子どもの頃に憧れた「昭和ライダー」たちを登場させ、コラボさせるというパパたちへのサービスも忘れていない。
 
平成ライダーシリーズは、子どもからパパ、ママまでまとめて面倒みてしまう、究極のエンターテイメントだ。
 
こんな感じで、親も巻き込んだ我が家における仮面ライダーブームは、今も進行中。
でも、もともとこのブームは、男の子である弦がもたらしたものではなく、お姉ちゃんのニコによるものだったのだ。
 
僕の娘、いま小学4年生のニコ。
 
赤ちゃんの頃の「アンパンマン」から始まったニコの「コンテンツ遍歴」は、その後「プリキュア」へ。
 
だが、1シーズンくらいでプリキュアを早々に見限ったニコは、いきなり舵を大きく切って、福士蒼太さんを輩出した「仮面ライダーフォーゼ」へ行くのである。これは弟の弦が生まれる数年前の話だ。
 
そう、我が家で最初に「平成ライダー」の世界へ足を踏み入れ、僕ら大人たちに紹介してくれたのは女の子のニコだったのである。
 
ニコが居なかったら僕も嫁さんも「平成ライダー」を知ることはなかったろう。
 
その、子ども向けとは思えない、そのややこしい設定や、後味の悪い結末を楽しみ味わうことができたのは、ニコのおかげだ。
 
しかし、成長を続けるニコは、小学生にもなると、いつまでも女だてらに「平成ライダー世界の住人」でいるわけにもいかない。
 
弦が生まれて数年が経過」したころ、いまだ「平成ライダー」をフォローし続ける僕らを残したまま、次なる「自分だけの究極のエンターテイメント」を探す旅にでたニコは、「妖怪ウォッチ」、「アイカツ!」など、流行りモノたちを、一通り流す程度に味わった。
 
でも、それらは家族まで巻き込むほどパワーのあるものではなかった。
 
我が家では、ニコがドハマりしたコンテンツに親が影響を受けてしまうことがある。「平成ライダー」以降、次なるビッグウェーブを僕ら家族は待ち続けた。
 
そして今年、そのウェーヴが来た!
 
ニコが数年かけて探し求めた旅の果てに、たどり着いた終着駅。
 
それが「おそ松さん」である。
 
子ども向けアニメだった「おそ松くん」たち6つ子の「その後」のメチャクチャな生活を描いた作品である。
 
ニート生活に起因する欲求不満、下ネタ、暴力、童貞コンプレックス。
そこから発せられる罵詈雑言の数々は、兄弟同士だけでなく、「おそ松くん」時代の幼なじみたちにも向けられ、互いに目を背けたくなるほどの醜い争いをする。
 
そんな「子どもに見せたくないアニメランキング」があったらおそらくNo.1な「おそ松さん」にニコがハマりだしたのだ。
 
正直、親としては困った。
とてもじゃないが小学4年生に見せるアニメじゃない。
 
最近では5歳の弦までが影響され、
「パパ~、ドーテイってなぁに~?」
とか聞いてくる始末……。
 
しかし、そこをグッとこらえて、作品に向き合ってみると、昭和アニメへのオマージュなどがふんだんに盛り込まれていて、僕らおっさん世代は、ニヤリとしてしまう。
 
また、殺伐としたエピソードに混じって、6つ子たちの兄弟愛が描かれていたりする。
日頃「クズ」な6つ子たちだけに、ギャップ萌えで、ついホロリとさせられる。
 
一度偏見が外れると、いろいろと発見がある。
 
作画においても、紫色を基調にした配色センスは新鮮で、かわいい。
あの女性誌「anan」が「おそ松さん」特集を組んだ理由もわかるような気がする。
 
僕がお土産に買ってきたおそ松さんキーホルダーを、ニコはとても大切にしてくれていて、眠るときも枕元に置いていっしょに寝ている。
アンパンマンにハマっていた赤ちゃんだったのに、あっという間に9歳。大きくなってしまったなぁ、と少し寂しい気もしていたけれど、そんなようすを見るとまた、改めて愛らしく思える。
 
親から見た第一印象がどうであろうと、ニコの選球眼は信頼していいと、つくづく思った。
こうやってニコが僕らに紹介してくれるものをきっかけに、また家族がひとつになれるような気もする。
 
大きくなっても、ニコが選んで教えてくれるものに一緒にハマれる家族でいたいな、と思うのである。

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2018-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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