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メディアグランプリ

質問力が自分を守る


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:芦野 すみれ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「え、これがわたし?」
鏡をみたわたしは、予期せぬ自分の姿にショックを受けた。
あれは、18歳の夏だった。そのとき、わたしは手術をおこない、入院していた。
もう何年も前から手術をすることは決まっていた。
周りの人とは明らかに違う見た目をしていたわたしは、母に連れられ、
大学病院の形成外科に10年近く通っていた。
 
大学生になるころには身体の成長や病気の進行も落ち着いているという判断のもと、
手術をすることが決められた。
そこにわたしの意思があったのかは、正直微妙である。
なぜなら病気についても手術についても、分からないことが多すぎて周りに流されるままに進めていたからだ。
 
手術は全身麻酔をしたので、ほとんど覚えていない。
手術台に移ったわたしは、もう医師を信じるしかなかった。
実際、手術が終わってからのわたしは、眠くて、
包帯がまかれているので症状がどうなっているのか分からなくて、術後2~3日はぼんやり
過ごした。
そして、包帯がはずれて、自分の顔をふと鏡で見た。
今まで生きていて一番ショックだった瞬間だ。
 
「え、これがわたし?」
 
腫れがひどくて、いったいこの腫れはひくのだろうかと不安になった。
もしこのまま腫れがひかなかったらとおもうと、はじまったばかりの大学生活が憂鬱になった。
 
入院1週間、その間入浴することはできず、からだはとても弱っていた。
腫れもひく気配はなく、大学1年のはじめての夏休みは、2か月間実家で療養せざるをえなかった。
この2か月間、わたしは同世代の友達1人も会わず、
日焼けをしないよう外に出ることが出来なかった。
引きこもらなければいけない状況というのは、苦痛でたまらなかった。
あれから5年。また夏がやってきた。
5年前にした手術の効果はうすれ、手術前のわたしとほぼ変わらない状況になった。
 
なぜか。
もし成功していたら、手術をしたことも病気であることも忘れて過ごしていたかもしれない。
でも、また症状がもどったことで、自分の病気や手術の方法について分かりたいという気もちになった。
 
理解するよりも暗記に頼っていた学生時代、
たしかに成績やテストの点数はよかったけれど、分からないことを理解しようとする姿勢がぬけていた。
分からない数学の問題は早々にあきらめ、答えを暗記していた。
学生時代のように、分からない問題でもすぐに答えが近くにあればいいのだが、
現実世界ではそうはいかない。
 
この5年間でいろいろな分からないことに出逢った。
すぐに答えがでないものに関しては、いろいろなアプローチをした。
もう一度手術をしたいとおもったら、美容師さん、友人、先輩そして親に相談した。
インターネットや本で情報を集め、同じように見た目に障がいをもつ人の集まりにも参加した。さまざまな検査をし、セカンドオピニオンも受けた。
占いや催眠療法で前世をみること、フラワーレメディなど心へのはたらきかけもした。
 
何がよいのかも分からず、手探り状態で、自分の問題を見つめ続けた。
そうして私が学んだのは、わからないことはどんどん質問することである。
質問するために大切なのは、冷静に話をきくことだとおもう。
それからいろいろな場面を想定して、確認しておくことだ。
 
就職活動でも逆質問というのがある。苦手な人が多いとおもう。
もし、わからないことに出逢ったら、まずは話を聞くこと。
できるだけたくさんの人の話をきけたらいい。
そして、場面を想定し、不安なことや気になること、希望が叶うかを確認することだ。
 
「いまの20代の子は、控えめ。もっと挑戦すればいいのに」
先日の飲み会で先輩がぽつりとこぼした言葉が忘れられない。
われわれ20代は、気を遣うことや空気を読むことに長けているのかもしれないが、
たしかに保守的かもしれない。
 
不安や心配におしつぶされそうになる毎日だけど、希望をもちたい。
質問することで自分を守り、もっと強くなりたい。
そのためにも、聞いて考えて行動する。
そのシンプルなことがなかなかに難しいけれど、続けたい。
 
実は大学1年の夏、わたしが実家で療養しているとき、当時付き合っていた初彼はわたしの友達と浮気をしていた。
もし、わたしが2カ月間そばにいたら、浮気されなかったのかもしれないと悔しかったが、
その人と別れたことで新しい素敵な出逢いがあった。
 
就職活動のときは、病気の症状がもどったことで自分の見た目にも自信がもてず、証明写真を憎んだ。それでも正社員で内定をもらったし、結果的に10カ月でやめることになったけれど、尊敬できる人達に囲まれて仕事ができた。このことは今でも誇りである。
 
過ぎ去ってしまえば、当時見えていた景色とはまた違うものがみえる。これからもわたしは、だまされたり傷つけられたりするかもしれない。それでも、不安や恐怖ではなく、素直に信じる気持ちと冷静に考えるあたまをもって臨もう。希望はある。質問力という武器を手にしたのだから。

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2018-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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