青春時代の失敗がくれた教訓
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:丸山 泰宏(ライティング・ゼミ 日曜コース)
「好きです、付き合ってください」
中学2年生の秋、私は同じ中学校に通っていた女の子へ告白した。
心臓がどきどきして、声は少し小さかったような気がした。
彼女の返答は「少し考えさせてほしい」というものだった。
少しの沈黙の後、私は「じゃあ、結論でたら教えてね」とできる限りさわやかに言って、その場を立ち去った。
そして、私は友人のもとへ行き「さっきHさんに告白してきたよ、結果はまだわからないけどね」と報告した。
すると友人は、よくやったと言わんばかりの表情をしながら「結果を聞くのが楽しみだな~」と言った。
告白してから、結論が聞くまでの期間は、いつも以上にすごく長く感じた。
試験の合格発表の時などもそうであるが、同じ数日間がすごく長く感じる。
それから数日して、彼女に呼ばれた。
「この前の件なんだけど、ちょっと良い」
期待と不安の入り混じった感情を持ちながらも、なるべく平静を装いながら彼女の言葉を待った。
彼女が出した結論は「色々考えたけれど、やっぱり付き合えない」というものだった。
そして、すぐに友人にそのことを話した。
「告白の結果だけど、ダメだったよ」と私は言った。
友人は、本当に残念そうにするとともに、「理由はなんだったの」と私に聞いてきた。
「わからない」と私は答えた。
結果を聞いて、軽いショック状態だった私は、理由も聞かずに立ち去ってしまっていたのだ。
「理由を聞かなきゃ直したくても直せない」と私は思った。
後日、私は理由を明らかにして、もう一度チャレンジしようと決めた。
授業の間の休み時間に、私は彼女の友人に「この間、告白をして振られてしまったんだけど、理由は何か知ってる」と尋ねてみた。
すると、彼女の友人は「うーん、聞いてはいるけど」と濁すような感じで答えた。
私は、「知っているなら、教えてほしい」と言うと、その友人は「聞いたら少しショック受けるかもしれないけどいい」といった。
ここまで聞いておきながら、引き下がれない私は「お願い、教えて」と答えた。
彼女の友人は理由を教えてくれた。
「身長が小さいから」だって。
私は、「教えてくれてありがとう」と言って、自分の席へと戻っていった。
その日の授業は、ほとんど身が入らなかった。
「理由は、背が低いか」私は少し悲しくなった。
くよくよしていても何も変わらないので、それから数日後、私は牛乳を一日1.5リットル飲むことに決めた。
背が小さいのを解決するには、牛乳を飲むしかない。
なんとも浅はかな考えではあるが、その時は「何としても身長を伸ばす」という気持ちで一杯だったのである。
給食の余った牛乳をもらったりして、ひたすら牛乳を飲んでいた。
その時は、ほぼ毎日お腹を壊していたように思う。
それから、一年が経ち、私の身長はわずか7センチメートルほど伸びた。
中学生で7センチメートルというと、正直そこまで大きな成長ではなく普通に生活していても伸びるくらいのものだった。
振られてから一年経ち、中学校3年生の秋になった。
そして私は「身長はあまり伸びなかったけれど、もう一度告白してみよう」と心に決めた。
卒業してしまったら、なかなか会えなくなる可能性が高いと思ったからだ。
彼女の部活が終わるのを待ち、その間に言うことを整理して何度か心の中で繰り返した。
彼女の部活が終わり、私は、彼女に声をかけた。
「Hさん、少し話があるんだけど少し時間もらえる」
そう言って、バスケットボールコートのベンチに彼女を誘った。
そして、私は2度目の告白をした。
すると彼女は「今は受験のことしか考えられないから付き合えないかな」と言った。
「またしてもダメだった」と私は思った。
2回目の告白失敗は、1回目よりもさらに恥ずかしく感じた。
その後、彼女は受験を終えた後、背の高い彼氏と付き合うことになった。
それを知った時、最初はすごくショックだったけれど、後々になって考えてみれば、「これも良い経験だったのかな」と思っている。
なぜならば、彼女のおかげで私は人のことを本当に好きになれるということが分かったからだ。彼女がいなかったら、私はこのことを一生理解できなかったかもしれない。
また、自分の思いどおりに行かない時の心の持ち方も学ぶことができた。
物事がうまくいかない時に、どのような心持ちでいるのが良いのかをこの失敗から学ぶことができ、このことは今でも実生活の中で役にたっていると思う。
彼女は今、すでに結婚しており、私の恋が叶うことはもうないのだけれども、彼女には本当に幸せになって欲しいし、感謝をしている。
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