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メディアグランプリ

日本人にとっての「わかるように伝える事」とは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:浅野純也(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「何度言っても、わからない」
「やってほしいと頼んだことが、できていない」
「常識が通用しない」
 
これは中国やベトナムなどのアジアで、現地の人に教える時に決まって日本人の駐在員が言う言葉です。
「日本では、当たり前にできることができない」と言います。海外に出る駐在員が誰でもぶつかるカベです。
 
そのような時、駐在員たちは数年かけて、ようやく理解します。
「どのように伝えていけばいいのか」「どのようにやらせればいいのか」を。
 
例えば、金具にネジを取り付けるとします。その時、日本で使っている標準書(説明書のようなもの)には、「とれないように、できるだけ強くしめること」とあります。多くの日本人は、これで彼らもできるだろうと考えます。
 
でも、できません。
 
すぐにネジが取れたりするといった問題が起こります。日本人駐在員は、最初は「なぜ、なぜ、なぜ、彼らはできなーい?」と思います。「こんなことは常識だし、子供でもわかるだろう」と言います。
 
でも、違います。
 
長い間、現地で取り組んでいると、その「なぜ」がわかるようになります。日本でも、子供はその標準書を見ても、わかりません。そのわからない子供でも、わかるようにしなければいけないのです。
 
ある中国人マネージャーが言います。
 
「中国では、小学生の子供でもわかるようにしないと、誰もわからないよ」
 
つまり、上記の例で言うと、
 
先ずは、標準書は写真を多くのせ、見ただけでわかるようにしなければなりません。
 
その次に、明確な言葉で伝えなければなりません。
誤 「取れないように、できるだけ強く入れること」
正 「ネジを3回以上回し、金具の表面とネジの頭が水平になるまで確認すること」
 
日本語は、あいまいな言葉が多いです。あいまいな言葉では、海外では理解されません。
 
「取れない」ことはどのように確認するのでしょうか?
「できるだけ強く」とはどのくらいなのでしょうか?
「入れる」だけでは、すぐに取れるのではないでしょうか?
 
これらを言い換えると、
「取れない」は、金具の表面とネジの頭が水平になっているかどうかで確認できます。
「できるだけ強く」は、「3回以上回す」など、数字を使う方がわかりやすいです。
「入れる」は、「回す」に置き換えることで、ネジとネジが、かみ合わさり、中まで入ることがわかります。
 
このような明確な数字や言葉、写真などを使った標準書は、多くの海外の人たちにも理解されます。相手に伝えるためには、いかに相手の立場になって、わかりやすく伝えることが大事かを、海外の人と働くことで学ぶことができます。
 
その後、日本に帰る駐在員は誰もが驚きます。
 
なんと「日本人にも全く通じていない」のです。
 
日本にいる時は、不思議に思わなかったことが、海外を経験することによって、よく見えるようになります。
 
日本では、「あ、うんの呼吸」「一を聞いたら、十を知る」「目で盗む」などの言葉があるように、一つ一つ全てを教えてもらうことは恥であるような文化があります。そのため、仕事を覚えるのに、時間がかかるのです。また、自分で身に着けたスキルは自分の物のように勘違いしている人もいます。
 
誰もが、同じ考え・行動なので、不思議に思っていないのですが、非常に生産性が悪いです。以前は終身雇用制度が当たり前で、誰もが同じ会社に一生を捧げ、働きました。でも、今は転職も普通にありますし、パートや派遣の人も、どこの会社にもいます。その人たちは、何十年も同じ会社にいるでしょうか? 先ず、派遣の人は数か月の人もたくさんいます。パートでも、業種によっては3年以下です。
 
日本のホワイトカラーの生産性は、世界的に見ても低いと言われていますが、その大きな原因の一つは、この「伝えること」「教えること」のまずさから来ているのではないでしょうか。
 
最近は、海外からの影響もあり、日本国内においても多様性が広がっています。戦後、生きるために、誰もが同じ方へ向かって、ガムシャラにやってきたころと、同じ考え方・やり方では通用しません。
 
では、どうすればいいのでしょうか?
それこそ、海外駐在員が体験したことと同じことをすればいいのです。
 
「子供でもわかるように伝え、わかるまで何十回でも根気強く教える」
 
これに尽きると思います。
 
最近は、海外の様々なやり方が入り、少しずつ日本でも浸透していますが、文書による明確化と、継続的にそれらを使っていくことは、日本人は得意ではありません。特に、カタチだけ作って、使い切れないといったことは、多くの日本企業にとっての悩みだと思います。
 
これからの日本は、日本人だけでなく、多くの国々から、様々な民族の人たちが、働きに来る時代です。そのような中で、私たちは、「伝えるべきことは、わかるように伝えること」をもっと学ぶべきだと思います。日本人特有の「あ、うんの呼吸」や「一を聞いたら、十を知る」も一つの美徳かもしれませんが、これからの時代を生き抜くには、新しい日本人の美徳を作り上げなければいけないと考えます。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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