優柔不断な上司といかにうまく付き合うか
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記事:芦野 すみれ(ライティング・ゼミ平日コース)
「すどうさん、係長のいいところって何だと思いますか?」
わたしは、先輩のすどうさんに聞かずにはいられなかった。
ここ数日間係長へのいら立ちがつのっていた。
すどうさんは、何事も親身になって考えてくれるあたたかいハートの持ち主だ。
「そうねえ。やさしいところかな。まあ、何でもすぐ課長やたかせさんに相談するから、決めるまでに時間がかかるけどね」
すどうさんはそう言った。
私の上司は、優柔不断だとおもう。
やさしいというよりも、自分で決めることに自信がないように私にはみえる。
上司は新人時代、これぐらい、いいだろうという見込みの甘さでよく失敗したという。
きちんと確認しなかったために、きつく怒られていたそうだ。
だから、今はしっかり確認をして物事を進めているのかもしれない。
でも、あまりに課長やたかせさんに聞きすぎるものだから、しょっちゅう机にはいないし、
仕事の進むスピードが早いとはいえない。
報・連・相は、仕事を進めるうえで欠かせない。
実際わたしの尊敬しているある上司は、「相談こそがいちばん大事だ」と強くいう。
たしかに自分勝手に仕事を進めるのは周りに迷惑をかける。
例えば、「芦屋さんはこう言ってたのだからいいでしょ」とおもわれ、1人の言動が全体に影響することは多々ある。
それでも、係長は10人もの部下をもつ責任ある立場にいる。
決めるのは上司の仕事、実行するのが部下の仕事とばかりおもっていた私にとって、周りにすぐ相談する係長の姿は頼りなくみえるのだ。
わたしは、何事もすぐに取り掛かるタイプだ。
仕事がたまっていく恐怖がわたしのスピード感の原動力である。
一方、係長は、周りから自分勝手といわれる恐怖が原動力なのかもしれない。
明らかにタイプが違う。
それでもうまくやっていかなければいけない。
なぜなら、うまくやらないとデメリットが大きいからだ。
私はまだ1年も働いていない。社会人経験もわずかだ。
係長の方が立場的にも経験年数的にも圧倒的に上なのだ。
文句をいったところで、係長には生意気だと思われ、周りからはわたしの我慢が足りないとおもわれるだけだ。
私が母に愚痴を言うと、母はこう言った。
「周りの人はきっと、あんたのことを入ったばかりなのにえらそうだなと思っているよ」
つまり、わたしは痛い子になっているのだ。
子どもっぽい、ふてぶてしい、知ったかぶり、執念深い、イライラしやすい、空気が読めない、攻撃的、やさぐれる……
立場が悪くなる一方である。
この私のネガティブ要素が全面に出ている問題について、とりあえず対処しようと考えた。
係長に勤務時間を変更したいと言ったときにうまくコミュニケーションが取れなかったことや、本筋とは関係ないところをしつこく指摘されたことや、ほかの人から聞いた情報を鵜呑みにして一方的に注意されたことなど、納得いかずにもやもやしている問題がたくさんあった。
わたしの仕事の苦しみのほとんどが、この優柔不断な上司であった。
優柔不断なのに、私に注意をするときだけ自信満々なのが本当に苦手だった。
でも私は、いま書くことによって、苦しいきもちを表現することができ、気持ちが落ち着いた。
感情的になって怒りだしそうなとき、心の中でストップと唱えるといいらしいが、
もう一つ効果的なのは「書く」ことだとおもう。
わたしは、書くことによってこの苦しみを表現し、乗り越えることができた。
実はここでの仕事は心のリハビリだとおもっている。
あまり精神的に強くない私が、怒りや不安をコントロールし、リラックスして仕事できるようにするのが目標である。
私は茶道やヨガをしているが、力が入った状態は美しくないといわれる。
適度な間、ゆったりとした呼吸、そして集中力。仕事も同じだとおもう。
認めてしまおう。
上司とうまくやれなくて苦しんでいたのは、自分の状態がつくりだしたものだ。
自分の本当の気持ちを理解してあげなければ、周りとうまくやることはできないだろう。
自分のネガティブな部分について、いろいろなアプローチがあるとおもう。文章や日記を書くこと、本を読むこと、人と話すこと、スピリチュアルな方法もたくさんあふれている。
そのときに必要なタイミングで、適度にバランスをとりながら、自分を高めていこう。
でも一番、お金をかけず、1人でできるのは文章を書くことだとおもう。
本をまとめ買いして貪るように読んでも、人と話してその場はすっきりしても、スピリチュアルな方法でその場は癒されても、自分と深く対話して書いた文章にはかなわない。
文章をかくことは、考えること。逆に言えば、書けないことは考えていないことだとおもう。
気取らず、文章で自分をさらけ出すことを続けていけば、わたしは上司だけでなくわたし自身とうまく付き合っていけるようになるだろう。
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