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自分の壁を超える方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:米田 直弘(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
チケットを事前予約したのはいつ以来だろう。
 
1か月以上前に予約をしないと入場できないという情報を聞いて慌ててチケット予約。過去最高気温を記録し続ける2018年7月某日。僕は東京テレポート駅に降り立った。目的はある常設展に参加するためだ。
 
僕が主催者の彼らのことを明確に認識したのは約1年前。六本木一丁目駅直結の六本木グランドタワーにオフィスを構えたDMM.com社のオフィスデザインを手がけたことが特集されていた雑誌を手にした時だ。
 
「なんだかおしゃれなオフィスだけど効率良くないよなー」「やっぱりクリエイティブなオフィスが流行りなんだなぁ」「まぁ、自分には縁がない世界だけどね」なんてことを思いながら写真を眺めていた。
 
それから1年も経たないうちに毎月のようにそのオフィスを訪れ、雑誌に載っていた空間に身を置いている。そうなって初めて気付くことがたくさんあった。写真や映像で見るだけではなく、実際に自分の身体で体験することでモノの見方は変わる。長く忘れていた当たり前のことを思い出させてくれた。
 
 
さて冒頭の場面に戻ろう。僕がチケットを予約してお台場に来た理由は「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」に参加するためだ。
 
もう少し簡単に説明すると、現在デジタルアートの世界で世界的な評価を獲得しているチームラボの東京初の常設施設を見に来たのだ。このチームラボこそが冒頭のDMM.com社のオフィスをデザインしたデジタルコンテンツ会社である。
 
彼らは自分たちのことをウルトラテクノロジスト集団と称し、web開発・アプリ開発・企業ブランディング・空間演出・映像制作など、様々な領域の壁をテクノロジーの力で軽々と飛び越えて、全く新しい価値を創造し続けている。
 
そこに集う人たちもプログラマー・エンジニア・数学者・建築家・デザイナー・アニメクリエイター・編集者などあらゆるクリエイティブな分野の出身者たちだ。各分野の専門家たちが一つのチームになって、既存の問題を解決するだけでなく、まだ見ぬ新しい世界を構築している。
 
このチームラボは先に海外で高い評価を獲得して、世界中で展示会を開催している。どうやら日本という国はアートや文化、新しいデジタルアートの世界などは、経済活動に比べて評価されにくい国らしい。そういう自分だって今回の常設展に参加するまでは、無意識にその世界観のなかで暮らしてきたのだから恥ずかしい限りだ。
 
さて僕が実際に会場にいたのは約2時間。それでもすべての作品を体験できてはいない。会場の大きさは10,000㎡。東京ドームのグラウンド部分が13,000㎡と言えばその広さがイメージできると思う。本当に素晴らしい経験をすることができた。だから涼しくなったころにもう一度訪れようかと考えている。
 
今回の常設展のテーマは「ボーダレス」。
 
来場している人たちもボーダレスだった。目に付いたのは外国人、子供、カップル、女性グループの多さ。例えば全来場者の30%は外国人。つまり国境や言語の壁を軽々と超えている。カップルはデートに、女性グループはインスタ映えの写真を撮影するために来ているのではないかと思うくらいに写真を撮りまくっている。楽しみ方だって人それぞれだ。
 
そして展示されている作品は一つ一ついろいろな壁を、思い込みを、常識を、体感覚を超えるように設計されている。
 
例えば最新のテクノロジーの力を使って、主催者と来場者の壁だって簡単に乗り越えてみせる。来場者が塗り絵をした生き物たちが、次の瞬間には会場中を歩きまわってみせるのだ。さらに僕が歩いた地面にはデジタルの花が咲き誇り、手を触れるとそれに合わせて映像が変化をする。こんな展示会ははじめてだった。
 
デジタルアートの世界は光信号の0と1の世界で、それこそ世界を分断して行きついた先のボーダレスとは対極の世界だと思っていた。しかし世界を細かく切り刻んだ0/1の世界だからこそ実現できるもう一つの世界があったことに気づかされることになった。
 
ある作品の映像は、ついさっきまで映し出されていた壁面を飛び出して、さっきまで別の作品が映し出されていたエリアに入り込む。作品という枠や思い込みを軽々と飛び越えていく。作品と作品の間に額も区別もない。まさにボーダレスを具現化している。
 
最初この感覚はなんとなくおさまりが悪くちょっと気持ち悪くもあった。秩序がないカオスな状態とでもいう感じだろうか。しかししばらくしてその世界観に慣れてくると、より自由に作品を楽しめるようになっている自分に気づく瞬間が訪れた。これははじめての体験で今でも不思議な感覚がある。作品だけでなく自分自身もより自由な気持ちを感じることができたのだ。
 
そしてチームラボが常設展のテーマに設定した「ボーダレス」という世界観を、僕も体験できたような気がしてうれしかった。
 
 
今パソコンの前でこの原稿を書きながら、あることを思っている。ありきたり過ぎて陳腐な表現で恥ずかしいのだが、これからはパソコンやスマホの画面でチェックして分かったような気になるのではなく、実際に足を運び、体で体験し、自分の感覚に耳を傾けるようにしたいと思う。
 
それが自分の思考や行動を制限している壁を乗り越えるきっかけをくれるのだから。

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2018-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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