事業を成長させたい人は経営コンサルタントに頼んではいけない
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記事:鈴木佳文(ライティング・ゼミ日曜コース)
「先生! もう、どうしようも無いんです!」
会議中に何回も掛かってきた電話は、クライアントからのSOSだった。
このクライアントは、経営が傾いて金融機関から経営改善計画をつくるように言われ、慌ててサポートしてくれる中小企業診断士を探していた社長が、僕にアプローチしてきた会社だ。中小企業診断協会のホームページから事業計画書のサポートを掲げている人ということで声が掛ったのだが、なんということはない、僕が価格を表示していなかったので「安く受けて貰えると思った」らしい。それでも、金融機関との交渉をサポートして、経営が回復基調になってきたので信頼してくれている。
でも、それは事業を成長させたい会社にとっては罠だ。
経営コンサルタントに頼っていては、会社は次のステージに上がれない。
「ありがとうございます。何か、解決しちゃいました!」
SOSを受け、急行した僕を待っていたのは社長の笑顔。でも、釈然としない。一月当たりのコンサル料は頂いているが、このように突発的に呼び出されると、予定外に時間を浪費することになる。想定はしていたものの、度重なるとこちらも辛いというのが本音だ。月に3回はこのように呼び出されてしまう。
原因は分かっている。
最初の段階で、お手伝いし過ぎたのだ。これで、うまく行ってしまったので、完全に社長がコンサルタントに依存するような関係になってしまった。
「これ、やりたいんだけど、いいかな?」
「本当に社長は、それやりたいんですか?」
「……」
万事につけ、こんな感じ。訪問だけでなく、電話での相談もしょっちゅうだ。月に数回しか顔を出さない経営コンサルタントが、事前情報もなしに判断できる訳がない。突発的に呼び出されるのも、社長の不安感が高まり過ぎて兎に角相談をしたいということが多い。つまり、解決すべき問題は初めから存在しない。これでは、お互いに消耗してしまう。
「来てくれるって分かったら、なんだかスッキリしちゃったよ」
と、信頼してくれているのは嬉しい。嬉しいのだが、社長の意思決定がコンサルタント頼りになってしまっては、会社としては問題だ。改善するにも、挑戦をするにも、意思決定に時間がかかれば機会を逃すリスクは高まってしまう。
これから起業する人、会社を成長させたい人、落ち込んだ会社を復活させたい人、経営者の皆様にお伝えしたい。
事業を成長させたい人は、経営コンサルタントに頼んではいけない。
彼らが掲げるキャッチコピーやサービスの案内は、悩んでいる経営者には魅力的に見えるかもしれない。でもそこで、安易に頼んでは会社に力がつかない。もし、「コンサルタントが何とかしてくれる」と思っているのであれば、それは危険信号だ。自分たちの会社を良くするのは自分たちでしかできない。経営コンサルタントが代わりに業績を上げてくれるなんてありえないのだ。
経営コンサルタントに依頼をするのであれば、自分たちの目的を達成するために彼らを使い倒すつもりでいることだ。自分たちから働きかけることなしに、経営コンサルタント実力を発揮させることはできない。あくまでも経営の主役は社長であり、スタッフであることを忘れてはいけないのだ。成長のチャンスは全て現場に転がっている。それを拾えるのは、現場に出ている会社の仲間たち以外にあり得ない。
「先生との契約を打ち切ったら業績が伸びましたよ、先生って大したことなかったんですね」
ちくしょう。契約解消をお願いした時には泣きそうな顔をしていたのに、なんて得意そうな声で電話をしてくるんだ。
社長の呼び出し攻撃に疲れた僕は、契約期間を3カ月以上残して契約を解除した。売上は落ちるし、留守番をさせられる子犬のような社長の顔を見れば気持ち的にも辛い。でも、心を鬼にして解約したのだ。
自慢気な声の電話を貰ったのは悔しいけれど、正しい選択だったと思う。経営コンサルタントを頼れなくなった社長は、改めて経営を自分の物として動き始めたのだ。業績が伸びるのも当たり前。とっくに僕の役割は終わっていたのだ。
経営者は孤独だ。
社員に弱った顔を見せるわけにいかないし、相談する相手だってそう簡単に見つかるものではない。批判も否定もせずに話を聴くだけでなく、助言までしてくれる経営コンサルタントは心の支えにもなるだろう。当事者では見えない問題点を指摘してくるのも役に立つはずだ。でも、頼り過ぎてはいけない。
僕は、経営コンサルタントとして将来も経営者のサポートをしていきたい。
一方で、経営コンサルタントを必要としない経営者が増えることも願っている。
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