fbpx
メディアグランプリ

自信の根拠は、ラーメン二郎の白い粉


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三浦 タクロウ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
スッ……。サッ……サッ……ザザッ。
目を疑うような光景が、そこにはあった。
 
「ヤ、ヤサイマシマシ・ニンニク・アブラ・カラメで!」
必死で動揺を抑え、僕はこの呪文をとなえた。
 
場所は南池袋公園のほど近く。
JR池袋駅の東口から地上に出ると、「西武池袋店」を背にして正面へ伸びる大通りがある。
車道沿いに大きな街路樹が並んでいるこの風景が、僕はとてもすきだ。
大通りをまっすぐ進み、三菱東京UFJ銀行の手前を右に曲がると、
すぐに黄色い看板と行列が目に飛び込んでくる。
そう、そこは「ジロリアン」たちの巣食う非日常の空間。
人気アイドルのライブに集結する、オタクの方々にも匹敵する熱量を、彼らは持っている。
 
うどん並の太さを持つその「麺」
麺に対抗しうる圧倒的パンチ力を持つ「醤油×背脂スープ」
通常のラーメンの5倍はあろうかという「豚(チャーシュー)」
野菜・背脂・ニンニク・辛めの「無料トッピング」
 
挙げればキリがないが、その「パワー」はファンを惹きつけてやまない。
「二郎はもはや”ラーメン”ではない、”二郎”という別の食べ物である」
こんな名言を生み出すほどに、一部の層からは圧倒的な支持を得ている。
ご多分に漏れず、僕も学生時代にドハマリし、週2~3回は通っていた。
 
だけど……だけど……
「なんだよその白い粉は!! さんざん今まで食べてきたけど初めて見たぞ!! 絶対体にわるいやつじゃん!!」
思わず口から出かかった言葉を、必死に飲み込んだ。
 
「……とりあえず今日は食べるけど、もう二度とこないでおこう」
そう心に誓った僕に、嘘なんて無かったのに。
決めたはずなのに、離れられないのだ。
寝る前に、必ず思い出す時期が続いた。
完全に、「白い粉」中毒である。
「白い粉」≒「かくせいざい」。
「不穏」含有量95%のその響きを考えれば、そう断じた僕を攻めることは出来ないだろう。
 
実はこの白い粉、「旨味成分グルタミン酸の結晶」である。ひらたく言えば、化学調味料だ。しかも、特に中毒性はないらしい。
でも、化学調味料そのものだけでは何というのか、旨味そのものを食べている感じがして、気持ちが悪い。全然おいしくない。
全体として、バランスをとることが不可欠だ。
 
そこで登場するのが通常の5倍の量の「豚」。
豚肉の旨味はイノシン酸であり、グルタミン酸と合わせることにより、相乗効果がうまれて、それぞれを単体で味わうよりもはるかに強い旨味を感じることが出来る。
 
これに相性が良いのが、うどん並の太さの麺である。
強烈な旨味にふさわしい、強烈な食べごたえ。
それをうまく調和させているのが、トッピングの野菜である。
シャキシャキのもやしと、キャベツ。
 
これら全てが、絶妙なバランスをとることで、二郎は完成する。
その土台となるのが、認めたくはないが「白い粉」にあたるのだろう。
 
……あれ? なんかこういう事考えたこと、最近もなかったっけ?
 
僕は今、必死でやりたいことを模索しているところだ。
自分を構成している要素を一つ一つ考え、自分の根っこにあたる部分を深く深く掘り下げ、自分の弱さと向き合う作業を続けている。その作業の中で本当に自分のやりたいことを見つける。それはとてもキツイのだが、それでも「なんとかなる」という謎の自信を持っている。
僕の場合その源泉は、「誠実でありたい」という自分の欲求だ。自分の中でその土台の部分がしっかりしていれば、死ぬことはない。本心からそう思えた。
 
ラーメン二郎における「白い粉」は、僕という人間における「誠実さ」なのだろう。
 
僕は、誰からも好かれるような好人物になりたいのだろうか?
それとも、一部の人間にしか響かないが、圧倒的に支持される人物になりたいだろうか?
答えははっきりしている。後者だ。
 
だから、当時から15年たった今も僕は、頼み続けるのだ。
「ヤサイマシマシ・ニンニク・アブラ・カラメで!」

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事