メディアグランプリ

個性と夢を諦めることなかれ


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記事:伊藤千織(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「人の考え方のベースは、生後3ヶ月で決まります」
 
「え!?」
 
会場がどよめいた。
 
昨年の12月から勉強しはじめた心理学の講義の中で、最も衝撃を受けた言葉だった。
生後3ヶ月の赤ちゃんは、まだ歩けもしないし言葉も発せない。それなのに、意思は身体よりも先に発達するというのだ。
また、講師曰く、考え方のベースは運で決まるのだそうだ。家庭環境や親の育て方は全く関係がないという。これにもまた驚いた。
 
これを聞いて、私は姉の子供たちのことを思い出した。
私には姉が1人いて、姉には4人子供がいるのだが、確かに物の捉え方、考え方がそれぞれ異なる。子供たちが大人になった時の姿を想像するとかなりワクワクしてくる。
 
子供たちは、上の2人が女の子、下の2人が男の子だ。年齢は、上から8歳、6歳、3歳、9ヶ月になる。
特に上の2人はすでに性格が確立されており、見ていてとても面白い。
 
8歳の長女は慎重で、論理的に物事を捉える一方、好きなことにはとことん集中して邁進するタイプだ。
彼女は鳥が好きで、飛んでいる鳥を見るだけで「あれはムクドリ」「あれはマガモの雛」などとすぐに種類が分かってしまう。そしてその鳥にまつわるウンチクを必ず教えてくれる。この知識量にはいつも驚かされる。
 
先日、さらに驚いたことがあった。
姉に長女のノートを是非見てほしいと言われ、彼女が学校で使っている学習ノートの背表紙を見せてもらったときのことだ。
彼女はなかなか背表紙を人に見せたがらなかったが、姉が説得し、なんとか見せてもらった。すると、そこには想像を超える彼女の熱量が表現されていた。
 
背表紙には、様々な鳥の巣の絵が描かれていた。縦横5センチメートルほどの正方形のマスの中に鳥の巣の絵が描かれており、それが背表紙に均等に並べられていた。
 
彼女が自分で、図鑑を見ながら絵を描いたのだ。自分でマスを書き、鉛筆で繊細に色の濃淡をつけ、ありのままを模写したのだ。彼女は鳥があまりに好きすぎて、何種類もの鳥の巣を背表紙にコレクションしたのだ。
私は彼女の熱量に感服し、気の利いた言葉が思いつかなかった。
 
「すごいねこれ、写真撮ってもいい?」
 
「やだ」
 
「なんでー? だってこれすごいよ、私みんなに自慢したいよ」
 
「見られたくない」
 
彼女は目立つことが苦手なようで、私が周りに見せたいと言ってしまったがために写真に収めることは出来なかった。
しかし、これらの作品には彼女の性格があまりにも表れており、非常に興味深かった。綺麗に並べられた鳥の巣コレクションは、まさに論理的思考そのものだった。
 
一方で次女は、正義感が強くリーダーシップを取るのが得意だ。長女と遊ぶ時も、自分でルールを決めてうまく周りをまとめていた。
しかし、まだルールを判別できず遊びたい盛りの長男には苛立ってばかりで、よく喧嘩をしていた。
 
長男は協調性が高く、とても優しい。みんなでお菓子を食べる時、何も言っていないのに自ら全員の分を持ってきてくれたことがあった。何かを共有することが好きで、いつもニコニコしていて、愛嬌がある。
そんな長男を、上の女子2人がきつくあしらうため見ていてとてもかわいそうなのだが、これもまた全員が異なる性格のため、仕方がない。もう少し大人になって、一番下の次男も話せるようになれば、長男は救われるかもしれない。
 
私は上の女子2人に、将来の夢を聞いてみた。すると、ここでも彼女たちの考え方に驚かされた。
 
長女の夢は「鳥のトリマー」だった。
私はてっきり長女は「鳥の研究者になる」というものだと思い込んでいた。結局これは私の勝手な願望だったのだが、私はさかなクンや、シャークジャーナリストの沼口麻子さんのような専門的な研究者になってほしいと思っていた。彼女の熱量と性格なら絶対に向いていると思った。
しかし、どうやら姉が「研究者は儲からない」と、長女に横から言ったらしい。トリマーも素晴らしい仕事だし、将来の夢を決めるのは彼女だ。せっかくの彼女の個性は、どうか中学校、高校に行っても周りに影響されずにいてほしいと願うばかりだ。
 
一方で、次女の将来の夢は看護師だった。理由は「人のためになりたいから」だそうだ。
これには正直驚いた。また姉が横から何か言ったのではないかと思ったが、何も言っていないという。
6歳で、自ら人のためになりたいと考えるとは、なんてしっかりした子なんだろう。正義感あふれる彼女の性格にはとても合っていると思う。
 
見事に考え方も夢も異なる2人だが、是非とも2人にはそれぞれ描いた夢を追いかけ続けてほしいと思う。しかし、親や周りの大人が価値観を押し付け、考えを否定してしまい、自分の夢を持てない子もいるのが現実だ。
私は未来がある子供たちの個性を潰さないよう、また、目の前にいる全ての人たちの個性が消えてしまわないように、勉強した心理学を生かして接していきたいと思う。そして自分自身も、小さい頃に描いていた未来ややりたいと思ったことを諦めずに、自分を信じて全力で生きていきたい。

 
 
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2018-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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