カラダはココロのバロメーター
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:藤牧誠(ライティング・ゼミ平日コース)
「へぇー、失敗ポイントから見るんだね」
東北なまりのある、本日の講師Aさんが私を見て言った。
それは、整体のセミナーでの話である。
いい訳ではないが、私は配られたテキストを、何気なくページをめくっていた時、失敗ポイントが目に止まった。しばらく、それを理解しようとする訳でもなく唯、なんとなく眺めていたときのことだった。
「あっ、いや、あの……」
返しに困っていると、ニヤニヤしながらAさんは「ふーん」と、特に何も言うわけでもなく、口角をあげながら目を細める。そしてまたうろうろして始めた。
私は、「なにかしてはいけないこと」をした感じになり、急いで見ていたページをめくった。
なぜだか、一気に不安がおそってきた
失敗ポイントが乗っているページは後ろの方であり、ひょっとしたらAさんは「正しいやり方」を先に読んで欲しかったのかな? とも思ったり、失敗ポイントから読むなんて、ただ者ではないな、と思っているのではないかと勝手に妄想をしている私がいた。
私の中には、できれば「失敗はしたくない」そんな思いが、いつしか染みついている、というか、失敗する=(イコール)だめな人という図式が出来上がっている。
そして失敗しない人は、偉い人でもあり、尊敬できる人と、理想のを作っているのかもしれなかった。
なんだかその日のセミナーは、いつもより失敗しないように意識しすぎて、あまり集中できていない感じがある。Aさんの話している内容も、あまり頭に入ってこないし、パートナーとの練習のときにも、逆に力が入り過ぎてAさんから「もっと、力を抜いてもいいよ」との声掛けにも、何か試されているのかとここでも勝手に考えてしまう。
セミナーが終わり、最後Aさんに挨拶して帰るときも、なぜか緊張している。
帰りの電車のなか、セミナーの内容を振り返ってみるが、失敗ポイントも、もちろん頭には全くと言っていいほど入っていなかったのだ。
いま思うと、自分を必要以上に「良く見せよう」と、また、Aさんに「認めてもらいたかった」のかもしれない。
なんの為にと考えると、きっと「自信」をつけたかった、その手技に「自信を持ちたかった」なのだろう。
別の日、Aさんに近い人が練習会を開いてくれた。
練習会では、ざっくばらんに色々と、今までの復習とポイントをいくつか指導してくれた。後日、その練習会の内容がフェイスブックにあげてあり、そこには、「昨日参加された方々は、練習会もセミナー同等にお考え下さり、粘り強く練習に励んでいる方々ばかりです。お会いする毎に、当然のように技術が上がっています。どの手技でもそうですが、練習もせずに、効く・効かない、と判断せず、粘り強く稽古をすることが大切です」
と書かれており、胸が熱くなるのを感じたし、なんだか元気も出てきたのだ。そして「大丈夫」と自分自身に言い聞かせていた。
今までの人生にも色々と「失敗したくない」と思うことは、たくさんある。また失敗してきたこともたくさんある。その度に、あの時は準備不足だ、あの時もっと勉強しておけば良かった、きちんと先生の言うことを聞いていれば良かった、もう少し親の言うことを聞いていれば良かった、など数を数えれば、切りがない。
失敗体験を生かせられない自分が嫌になることも。その結果「どうせ、自分なんか」と、自暴自棄になり、上司の話を聞かなかったり、親に八つ当たりしたりと、とてもめんどくさい私がいる。
その度に反省はするが、ただの形だけになっており、まったく成長しない。
自分が傷つくのが恐かっただけなのだ。
失敗を気にする結果、体調は悪くなる。
風邪を引いたり、肩や腰が痛くなったりする。健康には職業がら気をつけているが、気分が落ち込んだりしたときには、特に風邪を引きやすかった。
恐らく気を使いすぎたりして、神経のバランスが不安定になり、免疫力も低下しているのかもしれない。そして、抵抗力が下がったときに風邪を引くのだ。
カラダは正直であり、素直に私の気持ちを表現してくれている。そんなときも、私はあれがいけなかった、気をつけていれば、こんな風邪を引かなかったのに、と。
今度は気を付けようと、いつもこころに思っているのだが……
失敗体験も、免疫力の低下も、私が招いたことなのに、また、防げることは可能であったのに、「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」という言葉が頭の中をグルグルまわっている。
日々の努力や意識をしていればと、その直後やしばらくは思い意識もしているが、いつの間にかまた、もとの生活スタイルに戻っている。しかし、ここからが肝心である。
書き出すことで逆戻りしないスキルを手にすること見つけたのだから。
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