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疎遠になった友達と、仲直りする方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かめ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「友達に言われたことが、つらくて」
そう話す彼女は、今にも泣き出しそうだった。
話を聞いていて、つい最近のことなのかな、と思っていた。
けれど、目の前の相手が語っていたのは、もう何十年も前の話だった。
その人は、ずっと、同じ出来事に苦しんでいた。
 
そうした他人の話を聴くとき、
なぜそこまで昔のことにとらわれているのだろう
とか、
それじゃ今がもったいないんじゃないか
と、少なからず考えてしまう。
 
けれどそれが、自分のこととなると話は別だ。私も、水に流せばいいのに、という話を、なぜだかずっと、考え続けている。
 
私には、高校の頃のほとんどの時間を一緒に過ごした、友達がいた。
とにかく明るくて、よくしゃべって、男子からも人気があって。
スポーツもできて、美人だった。
歩いていると、
「あれ? さとこは?」
と聞かれるような、セットで考えられる関係性だった。
例えばさとこちゃんは、入学式でも新入生代表であいさつをし、最近体なまってるわ~と言いながら、体育の幅跳びで4メートルを軽く跳んだ。
竹を割ったような性格で、すぐ悩む私とは対照的だった。
 
「今、好きな人がいるから、協力してくれないかな」
私が、さとこちゃんにお願いした。
大学を出て東京に来て、2年目くらいの頃だったと思う。
このときの私には、ちまたで言われている
「友情か恋愛か」
という天秤は、頭になかった。
結果、このあと私は、その、好きだった人と接触自体できなくなってしまった。
 
「さとこのこと思い出すから、連絡しないで」
意味不明なメールをもらったのは、深夜バイトのもうすぐ終わる、あたまのもうろうとした午前7時。
何があったのよ?
彼に聞くと、応援してくれているはずの友達と彼とがいつの間にか付き合って、いつの間にか別れたようで。
私は告白前にふられたのか!?
訳がわからず、動揺した。
「どうした? 大丈夫か?」
バイト仲間の声で、我にかえる。
 
そうなのね、友情って、こんなものなのね。
今まで私にかけてくれていた言葉の、どの辺りまでが彼女の本心か?
どの辺りまでを追及していいのか?
私には、わからなかった。
 
こうして私の中に根付いてしまった不信感のようなもの。
それは、入れすぎた塩に砂糖を足してもおいしくはならないように、うまいこと行かない関係性を私たちの間に作ってしまった。
結婚した彼女を心からお祝いできたのか疑問だし、出産したから、と聞いて会いに行ってもなんだかモヤモヤした。
 
そんな状況のせいで、私は、ほとんどさとこちゃんと連絡を取らなくなった。
高校の友達なんて、みんな、なんか偉くなってるし、劣等感でしんどくなるし。
そんな気持ちが、どんどん友達との距離を作った。
けれど、本当にこれでいいのかな?
10年くらいかかってようやく、自分に問いかけることができるようになってきた。
 
過去の出来事は変えられない。
自分のことでなくても、変えたい出来事はたくさんある。
「今でしょ!?」
という言葉でおなじみの林先生が、以前言っていた。
過去の出来事の意味付けを変えるのは「今」だと。
「今でしょ!?」って、言いたかっただけかもしれないけれど、それは、私にとってはすてきな助言だった。
今が良ければ、人は過去を通過点に過ぎないものと思えるはずなのだ。あの頃があったから、と笑えるはずなのだ。
 
あとは、実は簡単なのかもしれない。
友達に連絡するための、話題は何だっていいのだから。
例えばそう、高校の同窓会。
「同窓会に行ってきたよ」
って、連絡すればいいのだ。あとは、それをやるかやらないか。
できないって言ってる人間の多くは、多分、やってないのだ。
何もやらずに達成できるはずはないのに。自分で、やる前からできないって決めつけてしまうのだ。
私はきっと長い間、自分のさとこちゃんへの気持ちは変えられない、と思い続けてきた。けれど、自分のよくわからないプライドよりも、一緒に過ごしてきた時間が、今は大切だな、と思う。
実家には、さとこちゃんからもらった手紙が、たくさんあった。
ほとんど毎日会っていて、さらに電話と手紙のやり取りをしていたらしいことが書かれている。
誰が好きだ、とか、休みの日はどう過ごした、とか、英語をがんばろう、とか。
そして、ただ書きたかっただけ、という手紙もあったりする。
2週間しかなかった夏休みを、
「やっぱり学校があった方がいいな」
と言ってる。
長い間、この問題に手をつけられなかったのは、放っておいた、というのではない気がする。
めんどうで、どうでもいいことだったら、きっと考え続けていられないはずだ。
赤ワインの、熟成のようだな、と思う。
ぶどうの皮も、種も。一緒に熟成させる。
酸いも甘いも、人生をおいしくしてくれる。
 
「同窓会に行ってきたよ」
メールする。
「ねぇ、LINEしてる?」
返事がくる。
止まっていたかに見えた時間は、ゆっくりと、今、動き出す。

***

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2018-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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