メディアグランプリ

ライティング能力が上達しなくたって、記事がBUZZらなくたって


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岩本義信(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「どうしてライティング・ゼミを受講しようと思ったんですか?」
 
初対面の受講生の方とお話しする時、こう聞かれることが多い。
他の受講生の皆さんは
「仕事で毎週記事を書いているけど、もっとうまく書きたくて」とか
「自分の仕事や商品のPRに活用したくて」とか、動機や目的がはっきりしている。
 
それに比べて、私の答えはなんとも歯切れが悪い。というのも、元々はこのゼミを受けるつもりはなく、40分で5,000字が書けるというなんとも魅力的なフレーズに魅かれ「スピードライティング」を受講したいと思っていただけだったからだ。
 
「本当に40分で5,000字が書けるようになるんだろうか」
「天狼院って店名がなんだか怪しい……」
とあれこれ悩んでいる間に、申込期限が過ぎてしまい、受講するチャンスを逃していた。惜しいことをしたと後悔していたある日、同じようなタイトルで、4か月間にわたるこのゼミの広告をフェイスブックで見つけた。
「4か月もあれば、スピードライティングの内容もカバーされるはず!」と、詳しい説明もろくに読まずに申し込みボタンを速攻でクリックした、いうのが受講のきっかけである。
 
そんな感じで受講したゼミなので、うまく書けるようになりたいという気持ちは誰よりも薄い。既にうまく書けるからではない。人生で一度だけ、小学1年生の時に病弱な自分を看病してくれた母への気持ちを綴った作文が地元の新聞に小さく掲載されたことがあったぐらいで、それ以外は文章をうまく書いた記憶もなく、褒められたこともない。
しかし、それで人生何かものすごく困ったことがあったかというとそんなことはないし、今も困っていない。誹謗中傷されたり、お前はクビだなんて言われたこともない。
 
では、なぜわざわざ4万円の受講料を払ってこのゼミに通っているのか。
そして、一回も欠かさずに天狼院の店舗に通って受講しているのか。
 
その理由は日本の小学校教育にあるように思う。
 
小学校時代の夏休みの宿題と言えば、計算ドリルに自由研究、そして、読書感想文。
中でも、私は読書感想文が圧倒的に嫌いだった。小さい時から病気がちで外であまり遊べなかった私は、本が友達だった。本を読むのが好きな少年だった。父親がクリスマスや誕生日プレゼントに本を買ってきてくれたのがとても嬉しかった。
しかし、読書感想文を書くことは全然別のものだった。
 
なぜそんなに嫌いなのか。
学校では国語、算数、理科、社会から、図画工作、体育では水泳の泳ぎ方までいろんなことを教えてくれる。しかし、読書感想文の書き方については教えてもらった記憶が無い。まったくといって無い。
夏休みの最後の1、2日で課題図書を読み、読書感想文とはまるで程遠い、ほとんど本のあらすじ紹介のような文章を書いて提出していた。夏休みが明けて、先生に提出するのだが、フィードバックはない。上手に書いた人が表彰されるが、その子の感想文のどこがいいのかの説明もないまま、終了。毎年、その繰り返し。
 
要は、書き方を習っていないのである。
今思うと、学校の先生もきっと習っていないのだ。習っていないのにうまく書けるはずがない。上手にできないことを楽しいなんて思えるはずがない。
そういうことか! とこの記事を書きながら、すごく肚落ちしている。
 
それで、普段特に困っていないのにもかかわらず、なぜこのゼミに通うのかということだが、きっと無意識下での代償行為が根っこにあるように思っている。小学生の頃の読書感想文がうまく書けない劣等感や自分自身でも書いててツマらなかった記憶が、満たされぬ思いとして心の片隅に青あざのように残っていて、深層心理がそのマイナスをどうにかして埋めたいと私を突き動かしているからだと想像している。
 
ゼミに通う理由はそれだけでない。
もう一つの大きな理由は、三浦先生の講義そのものにある。
 
いくら代償欲求があったとしても、講義が難解であれば受講意欲は湧かない。
しかし、三浦先生の授業は、内容が極めてシンプルで、非常に分かりやすい。こんなわかりやすい講義はかつて受けたことがない。一度にいろんなことは説明されず、各回1テーマ限定。講義時間は休憩なしの2時間で、仕事帰りのためつい寝てしまいそうだが、受講生を飽きさせないしゃべりで、眠気は皆無。2時間の講義はあっという間に終わる。そして、帰り際、なんだか自分でもうまく書けそうな気になっている。
聞いて分かったつもりと実際に書けることとは別物であるが、まずは聞いて理解できないことには始まらないという点では、これは非常に重要なポイントなのである。
「こんな授業を小学校や中学校で受けていたらなぁ……」と何度思ったことか。
昔、教えてもらえなかったことを今教えてもらえている、という代償欲求がここでも満たされているのかもしれない。
 
そして、何よりもこのゼミに通い続ける最大の理由。
それは課題を書くことを通じて、自分の人生を振り返り、ともすると一生思い出すことがかったかもしれない、過去の出来事や大切な人たちとのことを思い出す貴重な機会を与えてくれることだ。
 
8回の課題提出において主性の高い文章を書こうとすると、自分の過去を振り返ることになる。課題も5、6回目になるとだんだん書くネタが無くなってくる。そこで、何かネタはないかと、記憶の森の奥深くにわけ入って行かざるを得ない。生い茂った記憶の草むらをかき分けながら進んでいくと、記憶の奥深くに保存したたままで、長らく検索されることがなかった、家での出来事、家族との思い出、お世話になった恩師や先輩のことが少しずつ脳裏に蘇ってくる。
 
「あのころはわがまま放題で親に迷惑かけたなぁ」
「A部長はすごく厳しかったけど、一緒に行ったカラオケは楽しかったなぁ」
 
中にはすでに故人になられた方もいらっしゃる。課題を書くことをきっかけにして故人のことを思い出し、思い出すことがその方へのご供養になればこんなに素敵なことはない。
 
このゼミには「人生を変えるライティング教室」という枕詞がついている。
書いた文章がBUZZを起こせるようになることで「人生を変える」という意味だと思うが、私にとっては、自分の過去を振り返り、今の自分があるのは家族をはじめいろんな方々の存在があったお陰であることを思い出し、その恩に感謝し、新たな気持ちでこれからの人生を歩き出すという意味での「人生を変える」ゼミだと思っている。
 
だから、自分にとっては、ライティング能力が上達しなくても、記事がBUZZらなくても全然構わない。すでに受講料分のメリット、いや、それ以上におつりまでもらっているから。
 
ということを書きながらも、正直なところ、やっぱりうまく書けてホームページに掲載されると嬉しいし、採用されないとがっかりする気持ちになるのも事実。
これはこれでちゃんと努力して、いつかBUZZる記事を書きたいと、心のうちで密かに思っている。

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2018-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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