メディアグランプリ

つながると産まれる。口にすると叶う。思いは招く。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岩本義信(ライティング・ゼミ平日コース)

「次のゼミがある日は、三浦さんのお誕生日なんですよね……」

8月最初の水曜日。東京天狼院でのライティング・ゼミが終わった後、池袋駅までの道すがら、受講生のMさんがこう切り出した。
「そうなんでしたっけ?」
「そうなんです! せっかくお誕生日の当日にゼミがあるんで、みんなで何かお祝いできればと思ってるんです」
「それ、いいね!」
生来のイベント好きに火がついて、即、賛同した。
はるか遠くの台風12号の影響で時折強い風が吹く東通りを池袋駅に向かって歩きながら、Mさんと何をやるかを話し合った。
翌日からは、メッセンジャーで企画のすり合わせをすることにした。

イベントの企画と天狼院との調整はMさんが中心になって担当してくれた。
企画のたたき台はこのようなものだった。
・開講前に、受講生の皆さんに色紙にお祝いメッセージをこっそり書いてもらう。
・講義終了後にサプライズで、受講生がハッピーバースデーを歌いながら、バースデーケーキに灯ったろうそくの火を三浦さんに吹き消してもらう。
・お祝いメッセージが書かれた色紙をお渡しする。

「三浦さんはその日は東京かどうかわからないですね」
Mさんからメッセージが届いた。それは確かにそのとおりだ。
肝心なことを確認していなかった。
Mさんが天狼院に確認した。
「その日は福岡だそうです……」
「んー、そうかぁ……」
ご本人不在の中でお祝い会をするのかと一瞬迷ったが、やはり決行することに決めた。
決めた理由は至ってシンプルだった。
まず、天狼院には遠隔でも不自由さを感じずに講義を受けられる「通信」という素晴らしいインフラがあり、間接的ながらおめでとうの気持ちが歌と表情で伝えられること。色紙は当日はカメラ越しにお見せして、後日お渡しできること。そして、何より、お祝いする気持ちを受講生のみんなで共有し、三浦さんに伝える場を作りたいというMさんの思いがあったからだ。
それに加え、8月15日にお誕生日のお祝いができるのは、今年6月開講のライティング・ゼミの受講生ならではの特権だったからだ。次に8月15日が水曜日になるのは10年以上先の2029年。これを逃す手はない。

発案から1週間、Mさんは精力的に動いてくれた。
ケーキの買い出しは、先月、東京天狼院で開催されたプチ飲み会でお友達になったTさんが自ら引き受けてくれた。Tさんは早々にお店を決め、お目当てのケーキの写真を送ってくれた。このケーキが、写真を見ただけでも美味しそうなケーキで、パソコンのモニターに映った写真を見ながら、もはやこの企画がうまくいくかどうかより、この企画をちゃんと成功させてこのケーキをおいしく食べたいという思いの方が強くなった。

そういう私はというと、
「プチお誕生会やっていいかお店の許可をもらわないと」
「ケーキは当日誰が買ってくるの?」
「色紙用のカラーペンがいるんじゃない?」
「ケーキ用のお皿とフォーク、それから、ケーキを切るためのナイフは?」 と、Mさんに準備をお願いするばかりで、やったと言えば当日配付したチラシの作成ぐらいだった。

そして、お誕生日当日。
Mさんはいち早くお店に来ていて、準備を進めていた。色紙は机の上に用意され、すでに4,5名の受講生の方のメッセージが書き込まれていた。ケーキはTさんが買ってきてくれていて、お店の冷蔵庫の中で2時間後の登場を待つばかりになっていた。
「今日はお盆だけど、受講生の方がたくさん来て、色紙がちゃんと埋まれいいけど」と願いながら、準備してきたお祝い企画の案内チラシをカバンから取り出し、受付を済ませた受講生の方お一人おひとりに手渡しし、参加をお願いした。その間、Mさんは天狼院の木村さんと講義後の段取りを打ち合わせていた。天狼院の他のスタッフの方々も準備に協力してくださっていた。

それから、2時間後。
講義が終わり、木村さんに口火を切るアナウンスをしていただいて、今回の企画は始まった。ケーキはスタッフみなさんの手により、冷蔵庫から取り出され、ローソクが立ち、火が点けられた。色紙には当日受講されたほぼ全員の方のメッセージが書かれていた。Mさんがカメラ越しに三浦さんにお誕生日祝いの言葉を伝えた。福岡の三浦さんに音声がつながっていない場面もあったが、なんとか東京からのお祝いの気持ちは届けられたと思う。そして、それから、主役抜きでのプチお誕生会が始まった、参加者10名でテーブルを囲み、人数分に丁寧に切り分けられたバースデーケーキを主役の分も含めてみんなで美味しくいただいた。楽しいおしゃべりは続いていたが、23時前に会はお開きになった。

天狼院を出て、吹く風に秋の気配を感じる東通りを歩きながら考えた。

今回の企画はMさんの一言から始まった。
賛同者が一人、二人と増えて、あーでもない、こーでもないと言いながら徐々に企画が具体化され、自然と役割分担ができていった。振り返ってみれば、発案する人、企画する人、企画にチェックを入れる人、ものを買ってくる人、当日の運営に協力する人と、それぞれがそれぞれの得意なところを持ち寄って、ささやかながらだが、無事にお誕生イベントを開催することができた。
もしMさんが「お祝いのイベントやりたいけど、一人ではとても無理」と最初からあきらめて、あの一言を言っていなかったら、今日の企画はなかった。

結局、最初からうまくいくかどうかなんて気にしなくていい。誰かのために良かれと思ったことは、まず口にしてみる。そうすれば、自然と賛同する人が出てきて、それぞれの得意分野においていろんなアイデアやサポートを寄せてくれる。それらを集約していき、最終的に実現化すればよい。それを実感した誕生日だった。

しかし、今回のイベントが企画・実行できた本当の理由は、ゼミ初日と先月のプチ飲み会の日にあったと思う。
Mさんと知り合ったのはゼミの初日。講義が始まる前か、個人ワークの前かに、スタッフの方から、「折角なので、近くにいる方とお互いに自己紹介してください」と声がかかった。たまたま近くにいた5名の方と自己紹介しあったが、その時のメンバーの一人がMさんだった。また、Tさんとは先月、講義の後に開催されたプチ飲み会で知り合った。そこで知りあった方々もこの企画に賛同して、当日のお手伝いをしたり、帰省先から急いで駆けつけてくださったりした。

つまりは、Mさん、Tさん達との友達関係があったからこそ、今日の企画が実現でき、その友達関係を作るきっかけを作ってくれたのはまさに天狼院のスタッフの方々だった。

天狼院のスタッフの方々の計らいに感謝しつつ、何をやるにしても大事なのは結局は人と人とつながりなんだなぁということを改めて認識した三浦さんのお誕生日の夜だった。

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2018-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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