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皆総はだか論


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【9月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:木戸 古音(ライティング・ゼミ平日コース)
 

「クロッキーで、はだかモデルを描くおもしろさ、わかってもらえるかな」
「クロッキーで、はだかモデルになって描かれるおもしろさって、わかるかしら」
と僕はこの人はと思う人に問いかけてみる。いささか唐突なのは分かっている。
 

その前にクロッキーの説明が必要ですね。
クロッキーは
1分から長くても10分以内の短時間で
モデルを早描きする短時間のスケッチ。
モデルは全裸の場合が一般的。
通常はクロッキー会などで描き手2-3名の内輪規模から、
40名ほどの大所帯もある。
個人でプロのモデルを雇ったり、知り合いにモデルを頼んだり。
 

さて最近不思議な話を聞いたんですよ。
モデルを見ないで宙で
人体を再現する力のある若い人が増えていますね。
デザイン、アニメ系の人かなあ。
ある教員の話を聞いて唖然とした。信じられない、嘘だと思った。
先生いわく
「クロッキー実習の授業中に気分が悪くなったと言って
教室から出て行く学生が何人か居るねん」
と。
クロッキーのモデルはもちろん全裸である。
女子学生が女性モデルを描く際にでも、男子学生が女性モデルを描く際にも、
そんな事態がたまに見られるのだという。
「うーん」
僕はやっぱり信じられない。
 

一体ぜんたい彼ら、彼女らはどういうことになっているのか。
先生が言うには
「最近は画面上で仮想のハダカを見ている。
それがはたして目のまえに生身のモデルが立ってポーズしているのに違和感をおぼえる。
画面でデザイン上の人体やアニメに見慣れている。
生身のハダカはどうでしょうか。
若いモデルであっても、ねじった身体には皺もできる。
首やいろんなところにも実際には皺がある。
部位によって色合いが違い、必ずしも理想的な
美しいパステルカラーを呈しているわけでもない。
もじゃもじゃが生えていてバーチャルとはえらい違う、
とても見てられないと彼ら言う」
と。
 

僕はあきれてしまった。
現実の生身のモデルは醜態で見つめられないなんて。
みなさんはどうですかね。
僕なんかは週末にでもクロッキー会に行く予定になっていると
興奮して2-3日前からドキドキそわそわ、何か落ち着きが無くなる。
当日のそのときでも会場に向かう足がもどかしくて、
あせる気持ちについていけなくなるという経験をしてきた。
 

一方で最近のモデル事情を大変好ましく思っている。
僕が学生のころ初めてモデルを描き始めた頃の事情を思い返す。
僕はクロッキー会を求めて東奔西走、一週間に6回は描いていた。
それで気がついたこと。
当時はまだクロッキー会に参加するメンバーの数も少なかったものだから
街の小さな会議室とか公民館とかの小部屋を使う場合が多かったように思う。
必然的にモデルが立つ台は部屋の壁際に寄せられた。
すると、どういうことが起こるか。モデルの後姿を描く機会がほとんど無いことに。
「そうなんだ、おんなの人って後姿が一番恥ずかしいのか」
当時の僕は、ばかげた誤解をほんとうに信じていた。
現に知人の女性にたずねたら
「背中には目がないのでやっぱり、まざまざと見つめられるのは、ちょっといややな」
と。
なるほどと納得したものだ。
もう一つ気になったこと。
「なんでモデルって若い女性ばかりなんや」
と。
つまり僕にしてみれば
「女性でも熟年、老年の人も描かないと作品一つ描けないやん」
と。
なおも不満と疑問が
「しかもなんで男性のモデルがいないんや」
このことが当時の私の大いなる疑問と言うか、不満の種だった。
 

ところがどうだろう。
最近は男性のモデルどころか、男女ペア、同性同士のペア、男女入り乱れての数人のモデル群、と事欠かない。
はては自身の肉体を駆使して芸用解剖学という美術製作に必要な
骨格と筋肉といった人体の構造を説明する専門知識を有した男女モデルも出てきた。
彼、彼女らは全裸のまま教壇の板書とモデル台を何度も往復しながら、
自身の体を教材にレクチャーする。
別の機会には、お父さん、お母さんそのお子さんの男、女の子が実際に講師兼モデル
のからだを親子で触りながら人体の勉強をするのもある。
子どもの頃から美術がらみとはいえ、ハダカの男女モデルに偏見を持たずに、
成長したらすばらしい世の中に成るだろう。
僕がクロッキーで始めて女のハダカをみたときの震えるような
衝撃を覚えた頃とは隔世の感がある。
 

この勢いでもっとハダカを描くこと、裸になることに歓びを見出す人が
日常的に増えてほしい。
「お前、人生の半分も楽しめてないやん。すごい損しとるぞ」
と、お酒をたしなまない僕に友人が言い放なったものだ。
それならと僕は言いたい。
「クロッキーに参加したらどうか。描くのが苦手なら描かれる方でいい。
人生もっと楽しめるよ」と。
僕は描く、描かれるをひっくるめて「クロッキーする」という
動詞をあえて造語する。
「ハダカを描くか、人前で裸になって描かれたらいい。
世の中の性にまつわる犯罪、痴漢、露出、覗き、盗撮、
少しは減って世の中暮らしやすくなるで」
と。
「クロッキーする」ことの理屈抜きの法悦を「食わず嫌い」または、「知らず一生を終える」にはあまりにも残念に思う。
「クロッキーする」機会を得ることがなく、
又は運よく身近にそういう人を知っていても
目の前の「勇気」という一線をこえられないで居る人も知っている。
「生を授かって残念のまま終えるには余りにも、もったいない、もったいない」
 
***

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2018-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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