メディアグランプリ

街コンは回転寿司だ


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記事:竜崎 昇(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
初めて街コンに参加したあの日、僕は音もなく散った。
友人から「街コンに参加しない?」と誘われたのが、街コンに参加したキッカケだった。
 
1つのテーブルに数人の男性と女性がつき、会話するスタイル。
テーブルは複数あり、数分たつと男性がテーブルを次々と移動していく。
まるで、ベルトコンベアに乗せられた寿司みたいな感じだ。
 
ベルトコンベアに流され女性に品定めされた上、気に入ってもらえたら手にとってもらえる。
ただ、人気あるネタの相場は大体決まっている。
 
その時の僕は寿司ネタに例えるならカッパ巻のような存在だった。
カッパ巻は回転寿司に入っていきなり注文したり、一番最初に手に取る人は少ないように思う。
そのまま手にとってもらえることなく、テーブルを平穏無事に一周した。
 
その後のフリータイムで何か変化があるかなと期待したが、こちらでも女性の連絡先をゲットすることもなく、フリータイムも平穏無事に波風立つことなく終了した。
これは想定の範囲内だった。
街コン終了のホイッスルが鳴ったと同時に僕が手にしていた連絡先は男性ばかりだった。
これは想定の範囲外だった。
 
このまま何もなく、家に帰宅しても良いのか。
そんなわけはない。
せっかくお金を支払って参加したのだからこのまま何もなく家に帰るのだけはしたくなかった。
 
ゲットした連絡先に載っているアイコンの写真を頼りに記憶を蘇らせ、街コン会場の出口付近で、そのゲットした男性たちを待ち構えた。
見かけたと同時にすぐに声をかけた。
「もし良かったら、この後一杯やっていきませんか?」
特に断られることもなく、すんなりと了承してもらえた。
こうして集まった男性は僕を入れて4人だった。
 
その日の感想を各々に言い合う。
「いやー、今回はタイプの子いなかったっすよねー」
「確かにー、なんか全体的に違ったよね」
みんなに共通して言えたのは、俺たちの目にかなう女性がいなかったんだという、斜め上からの目線だった。
ただ、こちらがそんな風に思うということは、向こうだって同じように考えているハズだ。
 
お互いに健闘をたたえ合い、今後の話になった。
その時のみんなに共通していたのは今後も街コンに参加し続けるというものだった。
 
この時の4人の一部の男性とは、その後の街コン会場で会うこともあった。
そこでタッグを組んで2人組みで参加していた女性にアタックしたこともある。
そんな中で、別の2人組の男性がやってきて根こそぎ会話の流れを持っていかれたこともある。
 
しかし、僕は諦めなかった。
その場の会話は持っていかれたかもしれないけれど、連絡先は交換していたので、その後のメッセージ交換で挽回してやろうと考えた。
一方にメッセージ交換を仕掛け、なんとかいい感じに持っていけたのもつかの間、別の人と付き合うことになったからごめんなさいという返事をいただいた。
 
だったらその時、2人組みで来ていたもう1人の方に声をかけてみるだけだ。
さっそく、声をかけてみることにした。
「もし良かったら食事にでも行きませんか?」
 
彼女から返ってきた返事はこうだった。
「私の友達に声をかけていましたよね?」
 
今、考えるとアホな話なのだが、この2人は当然参加した街コンの情報を交換している。
僕だって情報交換したのだから当然と言えば当然だ。
それからは、2人組で参加している女性にはどちらか一方にしかメッセージ交換を仕掛けてはいけないということを肝に銘じた。
 
身を持って体験したのだから今後に生かそう。
なるべくなら、同じミスはしないようにしなくてはいけない。
 
それからも街コンの参加を続けた。
不思議なもので何回か参加していると、ある時を境に慣れてくる。
会話する時もそこまで緊張することは無くなったし、何より大きいのは自分の好みの女性がはっきりとしてくるということだ。
 
複数の女性と会うことで、自分のタイプというものがそれまではわからなかったが、はっきりとし、自分が力を入れて話さなくてはいけない相手が明確になる。
この頃になると、自分で言うのはおこがましいが、カッパ寿司からせめて鉄火巻くらいにはレベルアップしたように思った。
 
初めて回転寿司に行った時と同じで、最初は自分の好みの寿司ネタなんてわからないと思う。
ベルトコンベアに流れてくる寿司をただ口に運び、色々と食してみることで、自分の好みの寿司ネタがわかり、次回の来店の時はその好きになったネタを中心に自分の口にネタを運ぶハズだ。
だからもし、彼女が欲しいとか、彼氏が欲しいとかで、街コンに初めて参加して散ったとしても何ら不思議なことでもないし、それはむしろ想定の範囲内ということで、今後も参加してもらえたらいいと思う。
 
その中で、街コンが向いてないなと思ったら、紹介に切り替えてもいいと思うし、友達主催の合コンの方が向いているなと思ったら切り替えていけばいいと思う。
 
とにかく、街コンというものがよくわからず、恐怖だからという理由だけで参加しないというのであればもったいない。
自分でチャンスを少なくしているのだから。
そして、その恐怖は自分が勝手に作り出したまやかしに過ぎないのだから。

 
 
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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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