fbpx
メディアグランプリ

あなたの不安は消えるか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:宮崎忍(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
日々、なにかしらいろんなことが不安だ。
 
毎日頑張っている仕事のこと。
必死に頑張っているけれど、これでいいんだろうか。私の人生はここにしかないんだろうか。
うまくいかない恋愛のこと。
しがみつくと重くなり、距離を置くと見放されたような気がして、だめにしてばかりだ。
お金のこと。
生活するだけで手いっぱい。将来の安心を保証してくれる財産なんて何もない。
ちょっと考えるだけでいろんなことが膨れ上がって、胸のなかに黒い雲がもくもくと広がる。
 
膨れ上がった不安は無意識に自分自身を攻撃してくる。
私がいまだ独身で、守ってくれる彼氏もおらず、キャリアを積んでいるつもりで肩肘張って頑張っているかわいそうな女だから、こんなふうにいろんなことが不安になるの?
さっさと結婚していればよかったの? もっとお金があれば? 転職してれば??
 
でもどうやら環境のせいではないらしい。
結婚していても、お金がやまほどあっても、華々しいキャリアを持っていても、みんな不安。
人間とはそういうふうにできているみたい。
そういうことは、歳を重ねるにつれて経験的にわかってきた。
 
じゃあ、不安ってなんなのか。
この邪魔な雲を消しさって、できるだけハッピーに生きたいのに。
 
そんな気持ちで見慣れたオフィスのドアを開けようとしたある日、それを見つけた。
「またこんなところに!」
それは小さな蜘蛛の巣。
はらっても、はらっても、いつのまにかまた同じ場所に堂々と巣をはっている。
いつもの掃除用具でいつものように追い払って、そして思った。
不安と似ている。
いくら追い払っても、いつの間にか同じ場所にまた黒い雲を起こす、あの厄介な邪魔者。
蜘蛛と雲。まさしく同じ。
 
蜘蛛は汚れているところを好んで住みつくという。
見ないふりをして放っておくと、巣をどんどん大きく広げていく。
あの不安の雲も同じだ。
心の一番弱いところを見つけては、すぐに根を下ろす。
見て見ぬふりをして、自分を騙して、ふたをすればするほど、むくむくと広がっていく。
 
ああ、本当に嫌だ! 永久に消えてしまえばいいのに!
 
でもね。
ふと、思った。
蜘蛛は私たちに悪さをしようとか、迷惑をかけてやろうとか、ちっとも思っていない。
不安のあの雲も、私を苦しめてやろうなんて気はさらさらないのかもしれない。
勝手に怖がって厄介者扱いしているのは、ほかでもない私自身だ。
 
じつは今年、ファイナンシャルプランナーの試験を受けるための勉強をしていた。
本業とは全く関係がない。
お金のことにめっぽう弱いのをいい加減なんとかしたくて、とりあえず何か勉強してみようと思ったからだ。
とはいえ、本を買いあさって読んでもさっぱり頭に残らないから、強制的に勉強する方向へ自分を追い込んでみた。
選択肢の中から選ぶだけの試験なのでそんなに高いハードルというわけでもない。
それでも、どうせなら合格したいと、広範囲にわたるテキストを読み問題集を解き、こつこつと勉強した。
試験日の前後は、仕事がにわかに忙しくなり、多少の無理をしながら勉強の時間を捻出したりして、なんでこんなことやろうと思ったのか! と自分を恨んだ。
 
でも頑張った分だけ、確かに得るものがあったのだ。
勉強している間にも、自分の保険を設計するならこういう感じかなとか、こういう投資もやってみたいとか、そんなことを考えて少しわくわくするようになっていた。
自分の状況は何も変わっていないのに、お金のことを考えてわくわくしているなんて!
 
不安は相手の正体がわからないところから始まる。
不安を不安だと思わなければ、それは不安ではない。
ということを、たしか昔にどこかで聞いた。それはこういうことだったのか。
敵がどんな形をしてどんな力を持っているのか。
相手の正体が分かれば、やみくもに感じていた不安は消える。
じゃあどうやって向かっていけばいいのか、その方法を考えればいいだけ。
 
不安は永遠に消えない。どうしたって。
それでも、状況が何も変わらなくても、その不安が不安だと思えなくなるような自分になることはできる。
それが不安を消すということ。
 
不安は消してもまた現れる。あの蜘蛛の巣のように。
そしたら、また消せばいい。
 
それに、蜘蛛はハエやゴキブリを食べてくれる「益虫」でもあるらしい。
不安があるから、私はまたひとつその雲を打ち消す武器を手にすることができる。
 
不安の黒い雲よ、いつでも来い。
お前なんか怖くない。
君のことはまだあんまり好きじゃないけど、私の中の憎らしく愛すべき仲間として、けんかしたり仲直りしたりしながら、ちょっとずつ一緒に幸せになろうじゃないの。
心が弱って不安に押しつぶされそうになったときは、また蜘蛛が現れて小さな私を励ましてくれるはずだ。

 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《9/27までの早期特典あり!》

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事