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メディアグランプリ

創造性は多数決!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:植松真理子 (ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「このシステムを使えば、創造性を測ることができます」
「それ、信用できるんですか!?」
最初にそんな会話をした記憶がある。
 
確かに、最近のAI技術で色々なことができるようになっているが、まだ創造性は人間だけの領域と言われていたはずだ。それも測れるところまで来たのだろうか。
 
私は、企業の人事部を顧客にした人材開発業界で仕事をしているので、創造性の高い人材の育成というのはホットなテーマだ。本当に創造性を測ることができるなら、人材開発業界の仕事は大きく変わるだろう。
例えば、これまでは本人へのインタビューや360度アセスメント、ディスカッションの様子の観察など、様々な取り組みを仕掛けて創造性のある人材を選抜していたのに、それがほとんど不要になってしまう。
また、今までは教育研修を行ってもその効果を証明することはできなかったのだが、効果測定ができるようになるのかもしれない。効果がわかるのなら投資もしやすくなるだろう。
 
しかし問題は、本当に創造性を測れるのかどうかだ。そこで私の所属する会社では、社員全員でそのシステムのモニター受験してみることになったのだ。
 
創造性を測るシステムの名前は「ideagram」といって、東大卒の若手起業家が開発したシステムだ。やり方は、まず制限時間1時間でアイディアをできるだけ多く出し、次に誰が作ったものかわからないようにして参加者同士で評価する。そして、その評価を数値化して集計し、アイディアの順位を算出する。
その作業はオンライン上で行うので、設定された期間内であればどんな場所でも、どんな時間でもやることができる。人を集めるコストや業務時間を削られるというストレスがかからない。集計も一瞬でできるというのは、企業の人事にとってはうれしい特徴だ。
 
しかし、それだけであれば手作業でやれることを効率化しただけだ。その先があった。
「よいアイディアを出す人とよいアイディアを評価できる力には、相関関係があります。そこで、よいアイディアを出した人がつける評価のウェイトを重くして、再度アイディアの順位を算出します」
そうすると、最初に算出したアイディアの順位も変ってしまう。そこでまた、その新しい順位に基づいて、評価のウェイト付けを変える。この作業を何回も繰り返すとアイディアの順位が変わらなくなるらしい。そうすると、人による判断の偏りを可能な限り排除することができるという。そうなのか! さすが最新のテクノロジーだ。
 
「これからは客観的な証拠に基づいて、合理的な判断ができないと、ビジネスに勝っていけません」
そんなこともプレゼンされ、そうなのかもしれない、という気になってきた。
 
そしてモニター受験の結果、私の創造性の偏差値は……「43」。
 
途端に「このシステムは受け入れられない」と思った。そりゃあ私は、特別優秀ではないかもしれないけれど、そこまで低いなんて納得できない。それが客観的な証拠なんて言われても信じたくない。「価値の低い人間」というレッテルを貼られるような気がして気分も悪い。
そこで、もっともらしい理由をつけて否定的な感想をいった。
 
「判断の偏りを修正しているといっても、やはり「いいね!」を多く集めるものが創造性が高い、という考え方がベースになっていますよね。そもそも創造性を多数決で決めるというのは、おかしい気がします。
例えば生前は全く評価されなかった、偉大な芸術家などはたくさんいます。創造性が高いものほど、創造的でない人にとっては「わけがわからない」ものに見えるのではないですか」
 
しかし、次の説明を聞いて考えが変わった。
 
「そうですね。このシステムは正確にいえば、創造性が高い可能性のある人材やアイディアを見つけるしくみなのです。創造性そのものを評価するわけではありません。
取りこぼしはあるかもしれませんが、多くの人が「いいね!」するアイディアをたくさん出せる人は、「創造性が高い人である可能性が高い」とはいえるでしょう?
また、「いいね!」をたくさんもらえるアイディアは、多くの人に受け入れられているわけですから、ビジネスになる可能性も高い。つまり、試してみやすいということです。試すことができれば、そこから改善することが可能ですから、創造的なものが生まれる可能性が高いのです」
 
なるほど! 確かに、可能性を高めるということで考えれば、創造性は多数決で測って構わない。そもそも創造性を測るのに100%正しい方法なんてないことは、最初からわかっていたことじゃないか。新しいものを生み出せる人というのは、こういう考え方をするのかとショックをうけた。
私についていえば、自分は新しいものを潰そうとする、老害といわれる人間などではないと思っていたが、知らず知らずのうちにそうなっていることもあることにも気がついた。
私の「43」という偏差値も、そう間違いではなかったのかもしれないと思うと悲しい。でも、これからは自分を守るために相手のアラを探して非難するような言動は我慢しよう。できれば、応援する側に回れるようになりたい。そのほうが自分で自分を肯定できるような気がする。と、この時から思うようになった。

 
 
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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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