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「断」のススメ


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記事:森脇 千晴(ライティング・ゼミ平日コース)
 
周期的に訪れる「アレ」がやってきている。
「アレ」とは捨てたい願望である。
整理整頓は決して得意ではない。
しかし、苦手なりに最近「断捨離」の大切さを感じ始めている。
いや、「断捨離」に限ったことではない。
数年前から「断」が付くものを定期的に自分の生活に取り入れようとしているのだ。
 
ことの始まりは1年半くらい前だろうか。
私は人生で初めて3日間の「断食」をした。
断食を決意したきっかけは、今思い返しても、かなり不純だ。
だけど決意させるのには、これ以上ないくらい、いいきっかけをいただいたと思っている。
 
あれは、年末が近づく冬の夜のこと。
事あるごとに「今度飲みましょう」と言ってくる男の子がいた。
自分より、かなり年下だった。
社交辞令だろうと思い、適当に流していたのだが、酔っぱらった勢いで1度飲みに行く日を設定したらしい。
設定したらしいが、詳細はよく覚えていなかった。
何時からどこで飲む?
他に誰か来るの?
結局、数人交えて、夜中12時をまわってから飲み始めたが、私は既に3件目だったため、途中から壁にもたれて寝ていた。(お決まりである)
店を出る頃には、もうすっかりいい時間。
それぞれが散っていく中で、なんとその若者が私と同じ方向に歩を進めるではないか。
彼の住んでいる場所は、よく知らなかったが、うちの近所ではないことは確かだ。
「送ってくれようとしてる……?」
私は、実際に口にしていたと思う。
色々話をしながら、家の前に着いたとき、なんだか、こう……男女間に起こり得る独特のスローで曖昧な雰囲気が流れた。
 
「さあ、ここからどうする!?」
 
このコマを進める主導権は、きっと10歳以上も年上の私に握らされている。
直感的にそう感じとった。
先程の店で軽く睡眠はとったので、頭はわりと冴えていた。
「送ってくれてありがとう! また飲もな!」
努めて明るく、そう言って私はさっさとエントランスに入ろうとした。
「お風呂めんどくさいし、化粧だけ落として寝るわー」
そんな自虐を言い放ちながら。
全ては、一瞬2人の間に流れかかっていた、独特のあの雰囲気を一蹴するためだ。
こんなこと、あってはならぬ。
何と言ってもハードルが高過ぎる。
相手はかなり年下で、しかも細身体型。
本人はその痩せ体型を気に入っていないようだったが、私にとっては充分に「いいカラダ」の持ち主である。
それに対して私は、痩せたいけど痩せられない代謝の悪さを痛感している下半身太りのアラフォーだ。
加えて、着痩せするタイプ……!
 
「ぬ、脱げない……脱げるわけがない……」
彼に特別好意があったわけではない。
しかし、「そろそろ本気で痩せなければ」この「そろそろ」が「早急に」に変わった瞬間だった。
大事な場面で怖気づいて脱げない人生は御免だ。
今後、せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、私は断食を決意した。
 
自分で言うもの何だが、やると決めたらやる人間である。
2泊3日の温泉旅行に行けるくらいのお金を払い、専門のコーチをつけて断食を決行した。
準備期間、本番、復食期を含めると約2週間の節制生活。
断食をしながら、今までいかに自分が惰性で食べ物を買い、口にしていたかを思い知った。
コンビニに入れば、チョコレート。
金曜日の夜、まるで義務であるかのように飲むお酒。
人間のカラダは不思議なもので、甘いものも揚げ物もお酒もない生活を数週間続けると、もうスーパーのお惣菜コーナーの匂いですら「ウップ」と気分が悪くなってくる。
断食の最終日。
噂には聞いていたが、私は体の中から全部がデトックスされる体験をし、約4kgの減量に成功した。
 
あらゆることが「過剰」になっているのかもしれない。
断食のきっかけは、不純だったが、そんなことに気付けたことの収穫は大きい。
「ダイエットも断捨離も過剰になっている欲望をそぎ落とすためのものだよ」
ある人がそう教えてくれた。
「本当にそれが食べたいの?」
断食は、こんな風に過剰になっている食欲に気付くことが出来る。
断捨離をすると本当に自分に必要なものは何かを考えさせられる。
私の場合、ため込み過ぎるとどうもよくないみたいだ。
「なんだかなあ……」と感じるとき、そんな時は大抵、食生活が荒れていたり、部屋が散らかっていたりする時である。
ある意味、ものすごく分かりやすい。
だから時々、夜ご飯を抜いて胃腸の休息日を作ってみたり、クローゼットの整頓をしたりしてみる。
この週末もせっせと断捨離に勤しんだ。
不思議なことに家にあるものの、ほとんどが、いらない物のように感じてくる。
古いものを捨てると、当然新しいスペースが生まれる。
思うに、このスペースが大事。
それは新しいものを入れる体制・準備が整うことを意味するからだ。
物だけに限らず、これまでの価値観や人との出会いもそんなものなのかもしれない。
余分なものを、そぎ落としながら新しい風を吹かせる準備。
 
というわけで「断」してみませんか?
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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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