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メディアグランプリ

会いに行く。追いかける。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:井上かほる(ライティング・ゼミ平日コース)
 
2001年、4月のある日。
わたしは中学生のころから大好きだったアーティストを追いかけていた。
札幌中のメディアを1日ジャックする。
この時代にはTwitterはまだないので、情報源は新聞のテレビ・ラジオ欄や実際に出演中の番組。
ウォークマンでラジオを聴いたり、ワンセグ携帯でテレビを見ながら、わたしも札幌市内のテレビ局やラジオ局をあっちだこっちだと移動していた。
「どこかで会えるかもしれない」
朝から夜までそう思えたあの日は、夢のような1日だった。
 
わたしには、好きになってボルテージが高まると、「会いに行く」というクセがある。
ここ数年ではお笑い芸人、バスケットボール選手、落語家と、ジャンルはバラバラだが、運のいいことに実際に会うことができている。
 
「目を合わせて、一瞬でも言葉を交わす」
わたしが「会いに行く」目的は、これだけである。
もちろん、プライベートな時間に押しかけるなんてことはしない。サイン会など公式なイベントで、会話OKな場所に行って目的を達成してきたのだ。
 
 
ときは変わって、2018年9月のある日。
わたしは池袋のEsolaにいた。
この2階にその人がいるはずだった。
店頭に置いてある、「STYLE for Biz log」を手に取り、一気に読む。
「あぁ、好きだなぁこの文章」
ひとり、ムフっとする。
 
ウロウロし、レジを見る。
どうやらレジにはいない。
これだけは必ずここで買う! そう決めていた本を手に取り、レジへ。
レジ対応をしてくれた女性が、きょうはここではなく違う店舗にいると教えてくれた。
 
ほっとしたようながっかりしたような、変な感じ。
気合いを入れ直し、その人がいる場所へ、とにかく歩く。
3~4年前に1度行ったことがあったが、こんなに遠かったかなと思う。歩く速度が速くなったり、遅くなったり。会いたい気持ちと、会ってなにを話すのか決めていない「あわあわ」した気持ちが交互にきて、歩く速度が変わる。
 
「いらっしゃいませ! こちらにいらっしゃるのは初めてですか?」
やさしい笑顔で迎えてくれたのが、わたしが会いたかった天狼院書店の木村さんだ。
写真で見るより髪が短くて、お肌がピカピカ! 読んでいた文章だとおとなしいイメージだったのだが、思っていたよりも元気いっぱいで明るい人だった。
緊張で、ふわっとし、頭が働かない。
そして次の瞬間、わたしはやってしまうのである。
 
 
お笑い芸人さんに会いに行ったとき、口から出たのは
「はぁぁ! ライブ楽しかったです! はぁぁ!」
興奮しすぎである。でも楽しかったと伝えられたのだから、まぁ、いいか。
バスケットボール選手に会いに行ったときには、
「あの、さっき改札で見かけました!」
目撃情報を言っていた。
落語家さんに会いに行ったときは、
「こ、こんばんは!」
数秒しか話せないのに、挨拶だけで終わるファンなんて誰もいない。
 
そして今回、わたしが最初に発した言葉は、「木村さん! わたし、木村さんみたいに日常をコンテンツにしたり、マーケティング・ライティングな文章を書けるようになりたいんです!」だった……。
 
うおおおおおおおおおい! なに言っちゃってんだよ、おおおおおい!!
この何週間か、天狼院書店のwebサイトで「木村保絵」と検索し、Googleでも「木村保絵」と検索してきた。「木村保江」から「江」だけを削除して「え」と入力すれば「絵」がはじめに出てくるのが普通になり、もう単語登録だ! と思って登録し、まだ読んでいないものはないかと毎日検索していたわたし! てか、お前! なに言ってんだ! 会ってみたくて話してみたくて、でもなにを話したらいいかわからなくって、でもとにかく会いたいと思っていた人に対して、なんて軽はずみなことを言ってるんだ! てめぇの意思表明なんていらねんだよ! またやってしまった! 失礼にも、意味不明にも、ほどがある! 読んでいて胸が苦しくなって、なんだか心配になって、それでも最後にはずっしりと力強い前向きさを見せてくれる木村さんの文章。それに対して、木村さんのように東京に出る勇気はないし、「書きたい」と思っても木村さんほどの覚悟はなくて、週に1度2000字を出すだけでは木村さんのようにはなれないとわかっているわたし。そんな、ないないだらけ状態のわたしが! 一体なにを言ってるんだ!
 
少しの間、記憶がない。
ほんの数十秒だったと思うが、「木村さん、わたしは頭のおかしな人間ではないですよ安心してくださいよ大丈夫ですよ」と念仏のように顔面で唱えることに必死だった。
 
「ま、いっか。受講生なんてたくさんいるんだし、変なやつが1人いても別にいいか!」
そう切り替えてからは、質問したり相談したり。木村さんと言葉を交わしていくことが、とても楽しく感じられた。木村さんは自身の中にあるたくさんのことを、これまでわたしが習ってきたABCユニットを使って教えてくれた。そして、店にある本を使って「いろんなジャンルを書いてみたらいい」「量がないとなにがよくてなにが悪いのか比較できないからたくさん書いたらいい」「書く前にこの図を使ってみたらいい」と、わたしの悩みを引き出しながら、わたしの目を見て、熱を込めて、話してくれた。
 
 
わたしが「会いに行く」クセの元になったアーティスト。
それは、函館出身のバンド「GLAY」である。
わたしが好きになった人たちの中で唯一、目を合わせることも言葉を交わすこともできなかった、GLAY。
『29歳の春、「GLAYになる!」と決意して上京したわたしが3年後に書店員になった理由』
この文章が、木村さんの文章を探して読むきっかけだった。天狼院書店のライティング・ゼミに通い始めてから、よく見るようになったこの書店のサイトに掲載されていた。GLAYには会えなかったけれど、GLAYになると言って上京した木村さんに会えたのは、不思議なめぐり合わせだと思った。
 
「夢見ていこうぜー!」
ボーカルのTERUがライブ中に叫ぶ。
木村さんに会いに行く口実となったのは、「空想教室」という木村さんオススメの本だった。
その本には、こう書いてある。
『夢とは「今できないことを、追いかけること」』
 
今、木村さんのような文章を書くことはできない。
けれど、追いかけることはできる。
追いかけて、書けるようになるかはわからない。
途中でくじけてしまうかもしれない。
 
でも、書いてみよう。ひとつずつ見つけて、たくさん書いてみようと思う。
そして、木村さんの文章を何度も読んで、今回話してくれたことを実行してみよう。
GLAYを毎日聴き、叫ばれたとおりに夢を見ようと思っていた2001年。あのころのように。
 
***

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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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