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メディアグランプリ

1万人に1人のコンプレックスを持つ私が変われた理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ユリ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あぁ、一つ上にしないとやっぱダメか……」
 
たまに行くボウリング場での最初のボール選びにおいて、成人女性が使う平均的なポンドのボールを試してみると、中指と薬指は問題なく穴の中にスッと入るのに、親指に関してはどうしても入口付近から窮屈だったり、中に入ったはいいけれど、抜けにくくなったりすることがほとんどで、結局さらに重いポンドのボールを選び直すはめになる。
 
「いっせいのせー」から始まる、親指ゲーム。
親指で勝敗を決める、指相撲。
親指と人差し指を必ず用いる、名刺交換。
ページを親指で抑える、読書。
 
否応なしに親指を人目に晒さなければいけない、それらシーンの数々は、なるべく私が避けたい、もしくは、ささっと終わらせたいシーンの数々でもある。
なぜか。それは、私の親指には「マムシ」がいるからだ。
 
親指の第一関節から上が短くて太く、爪が横長になっている指のことを、鎌首をもたげたように曲がる「マムシ」に似ているところから「マムシ指」と呼ぶそうで、1万人に1人がこの指の持ち主と言われ、私はその、1万人に1人に該当する。
 
先天的で遺伝性が強いそうだが、私の場合は祖父母、父母、姉妹、おじおば、いとこ……と、近い親族内を探してみても、一人として同じ指の持ち主が見付からなかった。
 
自分が周りと違うと思い始めたのは、小学生の頃。所属していたバレーボールクラブでのレシーブ練習において、組んだ手指の様子が人とはちょっと違うことに気付いた。それから、会う人会う人の親指を見ては、「やっぱり自分とは違うなぁ」「自分の指は変だなぁ」と思うことばかり。
ふと気付くと無意識に親指を隠していることが多いし、ずんぐりむっくりした親指では、スマフォを片手で操作することもできない。手袋をはめても、親指の先端部分が窮屈だったり、長さが少し余ることばかりだし、ペンの持ち方も人差し指で親指を隠す、独特な持ち方をいつの間にかするようになった。少しでも指を長く見せたいと爪を伸ばしてネイルをしても、そもそも指自体が短いので、余計不恰好な見た目になるし、爪が長いと親指自体が使いにくくなる。
心理学的には「親指を隠すしぐさ」は、「心の内面を隠す心理状態」を指すそうだが、「心じゃなくて親指を隠しているんだけどなぁ……」と、心のうちで、私はずっと思っていた。
 
天狼院書店のライティングゼミを6月から受け始め、毎週月曜日締め切りの課題提出も、今回が最後になる。何をテーマにしようか、どんな内容だったらABCユニットが成立し、リーダビリティを高く保ったまま、ポジティブに幕を下ろすことができるのか。毎回毎回、自分自身の過去や現在、未来へと向き合うことの連続だった。
 
最後の課題は何を書こうか……。
考えながら、ふとキーボード上に置かれた、自分の親指に目が行った。
「これ、テーマにすることができそう」
そう思ったと同時に、小さい頃からコンプレックスだと思っていた自分の親指が、人目に晒しても構わないと思うほどに、自分の中で変わっていることに気付き、驚いた。
 
正直言って、この親指でよかったと思うことは、今まで生きてきた中で一度も無い。スラッとしたキレイな手をしている人を見るたびに、どれだけ今まで「いいなぁ」と羨んできたことか。けれど、振り返って考えてみると、この親指だから心底困ったり、心底不便だなぁと思ったりしたことは、一度も無い。幸いなことに、親指のせいで誰かにいじめられたり、心無いことを言われたりしたことも、今の今まで一度もなかった。
 
人は、自分と他者との間に違いを見付けては、勝手に優劣をつけて満足したり、安心したり、悔しんだり、羨ましがったりする生き物だ。私もずっと「人と違う」ことから、親指をコンプレックスだと思っていた。けれどそんなコンプレックスは、実は自分が気にするほど周りは気にしておらず、自らも神経を使うほどの問題ではないようだ。
 
ではなぜ、そう考えられるまでになったのか……。
 
何年も人生を歩んできて、親指以上の悩み事や心配事が出てきたことも然りだが、天狼院書店のライティングゼミを受け、テーマ探しのために自分自身の現在、過去、未来をじっくり冷静に考え、更には自分の内面やコンプレックスについて深く考える機会を得られたからかもしれない。
 
課題作成時、いつもいつも意識していた「ポジ抜け」がいつの間にか習慣化し、日常そのものを「ポジティブ化」させることも私の中でいつの間にか定着し、今回このように自分のコンプレックスを「ポジ抜け」できるようになったからかもしれない。
 
当初私は、「人生を変えるライティング教室」なんて、大それたことを言うもんだと、少し冷ややかに見つつも、「あわよくば、人生が少しでも変わったら……」と思いながら、受講し始めた。
 
4ヶ月間の講座を受け、結果、人生は変わっていない。
けれど、「人生」といかないまでも、変化は色々あった。
 
「ネタ探し」も「ポジ抜け」も習慣化してきた。
文章を書くことも日常的な行為になってきた。
意識して文章を書けるようにもなってきた。
そして。長年のコンプレックスを「個性」や「ネタ」として考えられるようにもなってきた。
そして。事情があってずっと連絡をとれなかった友人が、私の文章に「いいね」をしてくれた。
 
「細き流れも大河となる」のごとく、私の中で起きた一つ一つの変化が、いつか私を大きく変化させ、いつか人生までも変える日が来るかもしれない。
「人生を変えるライティング教室」は、人生そのものを変える講座ではない。「細き流れ」を探し出す色んなヒントを、ライティングを通して教えてくれる教室だ。4ヶ月間の講座を受け、最後の課題提出に臨む今、私はそう考える。
 
最近、「エゴサーチ」ならぬ、「マムシ指サーチ」をしてみた。すると、「マムシ指=美人が多い、働き者、器用、金運がいい、◯◯(美人芸能人の名前)」と、ポジティブなワードがいくつか出て来ることに気付いた。
1万人に1人の私のコンプレックスは、その点からも、私の中で、今後も「ポジ抜け」し続けられそうだ。
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-10-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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