メディアグランプリ

大人って本当に最高だよ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:原三由紀(ライティング・ゼミ平日コース)
 
話した瞬間、“ビビビ”ときたのだ。
 
男女の仲だけでない、同性のお友だちにもそういう直感があるんだって、私は初めて知った。
3年前、お仕事のつながりで知り合ったMちゃんとは、1度何人か一緒のお食事会で同席したことはあったものの、そのときはそれっきり。
 
その次に会ったのは、山形で泊りがけの仕事が一緒だったとき。
ここで初めて個人的に話しをしたら、そりゃもう、びっくりするくらいに波長があう。
相手が言いたいこともすっと胸に落ちるし、私が言いたいことも相手の心にすっと落ちているのが分かった。
 
物事に対するふざけ具合も、いい加減具合も、テンションのあがるポイントも、お調子モノなところもほどよく近くて、まるでずっと前から知り合いのようだった。
 
その証拠に、そのとき一緒にいた男性から、「二人は東京でもよく遊んでいるの?」と聞かれたくらい。
 
「いや、ちゃんと話したのは今日が初めてです(笑)」
 
そう二人声をあわせて答えていた。
 
山形から東京に帰るとき。
疲れただろうし帰りの新幹線は、ひとりで過ごしたいだろうな……と思った私は、あえて別々に新幹線のチケットを買った。
チラッと相手が買っている券売機を盗み見て、あえて確実に遠くの席のチケットを買ったつもりだった。
 
新幹線に乗り込み、「またね、東京駅でね」というような言葉をかけあい、乗り込んで席に座ったら、Mちゃんが大爆笑し、こう言いながら、私の隣に座った。
「奇跡じゃないー!?」
 
まさか、まさかの、隣の席だった。
もう、なんでなのか今でも分からない。謎(笑)。
 
それでもう、マックスまでテンションのあがってしまった二人は、東京までの約3時間ノンストップで話し続けた。
 
私にとってMちゃんは、大人になってから久しぶりにできた友だち。
30代になってから新しい友だちなんて、とんとできていなくて、もう学生のときみたいな純粋なお友だちってできないのかもと思っていた。
 
今、あらためて考えたら、もしかして大人になってできる友だちって「初めて自分で選んだ友だち」なのかもしれない。
子どものときの友だちは、近所だから、同じ学校だから、同じグループにいたから、同じクラスだったから、いろんな要因がからまって、純粋に「自分と合うから」という理由ではない場合も多い気がするのだ。
 
そして、もともとは合うわけじゃなかった友だちとも、多くの年月を重ねて理解しあって、似てきて、今の関係がつくられているものなのかもしれない。
 
それに対して、大人になってできた友だちは、完全にバックボーンが違う。
出身地も、育った環境も、学校も、職場も、なんにも共通点がない。
実際に、私とMちゃんは会社も違うし、今住んでいる場所も違う、仲良くなる必要性も、つながっておく必然性も、本来はない。
 
でも、波長があう。
一緒にいたら楽しい。
また話したい。
 
お互いの純粋なその気持ちだけで友だちになるのだ。
なんとなく、子どもより大人のほうが、打算的なイメージだし、損得やメリットで動くイメージが強いけれど、こと友だちづくりに関して言ったら、よっぽど大人になってからの友だちの方が純粋な存在じゃなかろうか。
 
Mちゃんは、私から見ても本当に心から尊敬できる女性。
柔らかくて優しいのに、実はめちゃくちゃしっかりしていて、強い。
個人事業主として起業していて、セミナー講師として全国から引っ張りだこで、たくさんの人から愛されている。
おまけに実は書籍まで出版してめちゃくちゃ売れている。
 
私は、昔から友だちは別に多い方じゃない。
今はたくさんほしいとも思ってもいない。
分かりあえる友だちが数人いてくれれば十分だと思っている。
 
そんな私も、子どもの頃は、心を許せる仲の良い友だちがいないこと、親友とよべるような人がいないことをなんとなく後ろめたく思っていた。
 
3つ上の姉には、「私たち親友だよね」と語りあう仲良しグループがいて、それを羨望のまなざしで見ていた。私には、そういう友だち一生できないのかもしれない、などと若気の至りで思い悩みながら。
 
今、もしその頃の自分に声をかけるとするならば、友だちは別に多くなくてもいい。
でも、自分が誰かと仲良くなりたいと思ったとき、相手からも仲良くなりたいと思ってもらえるように、自分をちゃんとおもしろい人間にするんだよ、と声をかけたい。
 
友だちは、双方向なもの。
例えば、私が「仲良くなりたい!」と思っても、相手が私に興味を持ってくれていなければその関係が続いていくのはとても難しい。
大人でできる友だちが「自分で選んだ友だち」であるならば、もちろん自分も相手から選んでもらわなければならないのだ。
 
ちょっと大げさだけど、理解しあえる友だちと出会えたのは奇跡だ。
この運命に私はいつも感謝している。
 
これも自分を知り、相手を理解できる大人になった今だからこそ成り立つ関係。
大人になるって本当に悪くない。
友だち関係に思い悩む子ども時代の私に、こっそり耳打ちしてあげたい。
「年を重ねるって、大人って本当に最高だよ」
 
何年後かの私は今よりもっと自分を知っているはずだ。
さらに大人になった未来の自分は、きっとまた大切な誰かと出会うだろう。
 
今の私はそれが楽しみでしょうがない。
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/zemi/59299

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-10-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事