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メディアグランプリ

男40代、人生初スマホ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:佐々木啓(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
先日初めてスマホを買った。
もうガラケーを使って10年になるし、いまさらスマホに買い替えて操作方法を覚えるのも面倒くさい。そう思っていた44歳のおっさんがいざスマホを手に入れると、人生をもう一回やり直すような体験をすることになった。
 
きっかけは毎月のように送られてくる「スマホに買い替えませんか?」チラシ。最近割引クーポンの額がどんどん増えていっているような気がする。これはもしかしてガラケーを使い続けていることで損をしているのでは? と突然心配になった私。
 
じゃあ本当にスマホに買い替えたほうがお得かどうか調べてみよう、ということで初めてチラシを真剣に読んでみたのだけれど……。
ダメだ、まったく内容がわからない。そもそも専門用語がチンプンカンプンだ。これはもうお店の人から直接聞くしかない。というわけでショップに行くことにした。こういうすぐ人に会おうとするところが我ながらおっさんっぽい。
 
女性のオペレーターさんに呼ばれた。さて、何から話せばいいのか……。
「えーと、スマホに買い替えたいんですけどあまり詳しくなくて」
「ありがとうございます。ではご希望は?」
「安くていいやつをお願いします」
「いえ……iPhoneとアンドロイド、どちらになさいますか?」
はやくも難関が。iPhoneっていうのはよく聞くけどアンドロイド!?
アップル社が作っているのがiPhone、それ以外はアンドロイドというらしい。こういうのって常識なの!?
 
動揺を隠して質問する。
「で、どっちがいいんですかね?」
「それはお客様の希望によりますね」
その希望がないから困っているというのに。
 
「では……お客様はスマホでどのようなサービスを利用されるおつもりですか?」
見るに見かねたオペレーターさんが助け船を出す。これなら答えやすい。
「電話ができて、メールができて、インターネットにつながればそれでいいです」
「スマホゲームは」
「しません」
「動画は」
「見ません」
「写真は撮りますか?」
「あまり興味ないです」
オペレーターさんの顔が「お前は何のためにスマホに買い替えようとしているのか?」と言っている気がする……。
 
それでも何とか機種が決まった。支払いも今よりお得になるようだ。チラシの言っていることは本当だったのだ。
 
「ではこのプランでご契約ということで。他に何かご不明な点はありますか?」
「あの、いい機会だからお伺いします。よく聞くこのWi-Fiって何なんです?」
 
マジである。これではおっさんを通り越しておじいちゃんだ。若い人には信じられないかもしれないが、スマホに興味を持たずに40代になるとはこういうことである。
オペレーターさんも心配したのだろう。担当の方が私の自宅でスマホを開通させて、使い方も説明してくれるというサービスを提案された。それは願ってもないこと。デジタルおじいちゃんの私としてはとても心強い。
 
さて数日後、予定通り我が家にスマホがやってきた。
「これが佐々木さんのスマホです。もう使えますし、ガラケーからデータも移動させましたよ」
男性の担当者さんは基本的な使い方を説明して帰っていった。おっかなびっくりスマホを手に取る。あとは習うより慣れよ。どれだけの時間スマホをいじるか、それが一人前のスマホユーザーへの近道だろう。
 
さっそく意味もなく画面をスワイプさせる(この言葉も初めて知った)。スイ、スイ、スイ……。
おもしれえなコレ!
 
カメラカメラ……。パシャ。
ガラケーの写真とは大違い!
 
そうだ、あれやってみよう! 「OK, Google!」プッ。
すげえなスマホ! SFじゃん!
 
もうウハウハである(死語)。おじいちゃんから一転、新しいおもちゃを与えられた子供に逆戻りだ。次はアプリを初ダウンロード! もひとつダウンロード!
 
一時間後。
「ごめんなさい、調子に乗りました」
私は初めて焼肉食べ放題の店に行った男子高校生になっていた。目に入ったお肉を片っ端から皿に取り、とりあえず焼いて、勢いで食べていたら「これ全部食えなくね?」と気がついた感じ。冷静になると絶対使わなそうなアプリが画面を埋め尽くしている。
ごめんなさい食べきれませんでした、とアンインストール。恥ずかしい!
 
このようにおっさんは、おじいちゃんの困惑から子供の興奮、そして男子高校生の悪ノリへと人生をもう一回やり直すことになったのだった。
 
そしていまの私はスマホとの付き合い方、距離感を身につけた44歳のおっさんである。「今から帰る」などと妻にLINEするまで成長していた。一か月前には想像もしていなかった姿だ。
 
結局スマホは便利な道具に過ぎないことが分かった。必要な時に必要な機能を使えばよい。なんだ、ガラケーと同じじゃないか。気が楽になった。
お前とはうまくやっていけそうだ。頼むぜ相棒。だからどうすれば半角カタカナを入力できるのか教えてくれ……。

***

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2018-10-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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