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「お子さんは、まだ?」の質問に傷つかない方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:江口雅枝(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「お子さんは、まだ?」
結婚3年目の39歳ともなれば、人生で一番この質問を受けるお年頃だろう。
 
結婚したのに、なぜ子どもがいないのか。出来ないのか? つくらないのか? 出来ないとしたら原因は奥さんなのか、旦那さんなのか、あるいは子どもをつくらないのだとしたら、なぜなのか?
 
世の中には「いいお天気ですね」の挨拶と同じような感覚で「お子さんは?」と聞く人がいる。女性の出産について国会議員の偉い先生が失言をして謝罪するニュースが流れる時代でも、自分のことは別、なのだろうか。本当に無邪気に聞いてくる。
 
会うたびに「どうなの?」と聞かれるケースは、60代以上の女性に多く、女性が結婚し出産することが今よりも当たり前だった時代の、疑いのない価値観でストレートに切り出される。肌寒い時にスカートをはいていたりすると「そんな風に身体を冷やしちゃダメでしょ」とか、妊娠しやすい身体づくりについて聞いてもいないアドバイスをしてくれる。
 
働き盛りの中年男性から言われるセリフは「子どもができたら分かるよ」だ。仕事も子育てもバリバリこなしている自信がそう言わせるのか、半分お世辞を含めて「すごいですね」と私が相手を褒めてしまうからなのか、とても気持ちよさそうに「子どもができたら分かるよ」と言う。
 
またある時は「つくり方しらないの? 教えてあげようか」と時代錯誤なセクハラ発言をするおじさんもいる。そして親戚や、近しい間柄の人ほど、子どもがいないことを「絶対に将来後悔するから」と呪いのような言葉を向けてくる。
 
みんな、私のことを心配したり思ってくれているからこその発言だと受け止めてきたけれど、そろそろ疲れてきた。
 
もし私が、不妊治療でとてもつらい思いを抱えているとしたら? そういう想像力が少しでも働けば、子どもがいるのかいないのか、できないのか、つくらないのかなんて、平気で聞けるだろうか。
心の中に土足で踏み込まれるようなその質問を平気でしてくる人は、決して悪気はないのだろうけれど、相手がものすごく傷つくかもしれないという怖さを感じないのか。
 
 
子どものいない人生を選択している私たち夫婦の、私たちなりの幸せのかたちを育てながら歩んでいる日々。これまでは、そうした気持ちを理解してもらおうと、子どもについて聞かれるたびに丁寧に話しをしてきた。
しかし、わかってもらおうと一生懸命話しをすればするほと、自分が傷つくだけだった。
 
なぜなら「お子さんは、まだ?」と聞いてくる人が求めているのは、私に子どもがいない本当の理由ではなく、聞いてくる人自身が納得できる理由が欲しいだけなのだと、気づいたからだ。
 
結婚したら子どもを産むのが当たり前、子どもを欲しいと思うのが当たり前、そういう価値観が絶対と思っている人に、子どものいない人生を選択している説明をしても「絶対に将来後悔する」と呪いのような言葉をかけられるだけだ。
聞いてくる人の幸せの基準の中にない選択肢は、理解しがたいものなのだろう。
 
 
幸いなことに、私の周りには学生の頃から今にいたるまで、様々な女性の生き方を見せてくださる先輩方に恵まれてきた。入籍をせず事実婚でパートナーとして自立した大人同士の付き合いをしているひとや、子どもはいなくとも仕事において人材育成に素晴らしい能力を発揮して尊敬を集めているカッコイイご夫婦、子育てしながらご主人の起業サポートをするたくましい女性まで、実に多彩な生き方と価値観に触れてきた。
そういう人たちは、私の結婚を知っても「お子さんは、まだ?」という質問を一切してこない。人一倍大変な思いを乗り越えてきたであろうに、辛くて苦しそうな姿をさらすことなく、むしろ人への気遣いにあふれている。そして話しをするたびに新しい話題が尽きない。
 
 
自分も、もしかしたら「お子さんは、まだ?」と聞いてくる人にとっては、他に話題のない存在なのかもしれない。
 
今度その質問をしてもらえたら「いやぁ……実はですね、生むことの苦しみと喜びを感じちゃってるんですよ」と切り返して、自分が書いて天狼院書店のWEBサイトに掲載してもらえた記事を宣伝してみよう! そして逆に質問をして「文章書いた経験は、まだ?」と尋ねてみよう。 おせっかいの、ささやかなお返しに、文章を生み出す苦しみと喜びを、体験しませんか? と、ライティング・ゼミの宣伝につなげてみようかと、企んでいる。

 
 
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2018-10-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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