メディアグランプリ

山あり谷ありのダイエット奮闘記


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中美穂(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「やばい」
そう思った瞬間に、いきなり目の前が真っ白になった。電車を降りる瞬間に意識が飛び、気付いたらホームに倒れていた。満員電車で貧血を起こしていた。
 
新しい事務所は田舎から都会に引っ越したようにお洒落でキラキラしていた。モデルになって早くも3年が経過し、レッスンとアルバイトが主な時間を占めて、オーディションへ行くことさえも稀な事務所で危機感を覚え移籍した。
「これでモデルの仕事がたくさんできる!」
そんなワクワクした気持ちで新しい事務所からの合格の連絡を受けた。
 
前の事務所では、社長自らがモデル時代に培ったノウハウをレッスンで伝えていたため、内容が実は時代遅れである事を知ったのは今の事務所に入ってからだった。自分のノウハウは昭和に流行ったものであり、平成の現代では通用しないものであった。
「まさか、今までの3年は何だったの」
レッスン初日に愕然となっていた私を見越したように社長は話した。
「今までの事を生かしながら新しくさせていけばいいのよ。全てが間違っている訳ではないから、ここから頑張って」
社長の言葉を糧にして、毎日自宅でレッスンの復習をした。
 
新しい事務所に入り1ヶ月が過ぎた頃、ダイエットチームの存在を知った。世の中で言えば「痩せている」部類に入るけれど、この業界では「太っている」部類に入ってしまう。カメラを通した映像や写真は、実際の体重に5kg加えたように映る。だから痩せるしかない。私もダイエットチームへの参加が決まった。やる事は至ってシンプル。毎日同じ時間に体重計に乗り、数値の写真を撮る。写真と一緒に昨日食べた物と合計カロリーをメールに記載しグループメールに送る。カロリーは1日900〜1200kcal以内に留める制約があった。
 
ダイエットチームに入り1ヶ月は順調に減量した。週に1度はジムで汗を流し、夕食はプロテインのみ、間食も我慢した。一番大変だったのはモデルの仕事現場だった。ケータリングでの昼食はボリュームがあり高カロリーであるのは見た瞬間に分かった。ご飯無しでおかずだけを食べてその場をしのいだ。制作スタッフの方からは「お米食べないの?」と聞かれることも多々あったが、ダイエットチームの事を話のネタにして仲良くなれたので良かった。
 
2ヶ月目からは停滞期が始まった。減らない事への自己嫌悪が進み、余計に体重は減らなくなった。メンタルの落ち込みは仕事にも影響していった。オーディションには参加しては落ちての繰り返し、モデルのギャラは3ヶ月後のため時間を割いてもすぐには収入にならないため、深夜のバイトで稼いだ。その結果、メンタルも体も限界だった。
 
そんな時にあの事件が起こった。
いつものように満員電車で仕事に向かっていると目眩がした。
「やばい、次の駅で降りよう」
そう思って扉に向かって行った瞬間、目の前が真っ白になった。次に気付いたら駅のホームで倒れていたのだ。幸運なことに倒れたドアの前に駅員さんがいたので、すぐに駅員室に運ばれた。1時間横になり、やっと起き上がれた。会社の上司は心配そうに声をかけてくれた。
 
「無理な、ダイエットはやめよう」
考え抜いて出てきた答えがこれだった。自分に合った方法で、ゆっくりでもいいから減量していこう。マネージャーにも考えを伝え、了承してもらえた。
体を壊すダイエットはメンタルまでも壊す。ダイエットの目的と目標を改めて掲げた。そして、自分で正確な情報を集め、自分の体で実験した。その結果少しずつだが自分の体質に気付いた。
「小麦粉で太りやすい」
「脂質では太りにくい」
「むくみやすい」
「5時間以下の睡眠は翌日ダルい」
私の体は世界にひとつだけ。
ダイエットの方法も私の体に合わせた結果、少しずつ減量に成功した。
ダイエットはパズルとよく似ている。ダイエット方法はいくつも存在しているけれど、自分の体に合うピースを一つずつ見つけ出していくのが、難しくもあるが、面白い。無理せず自分のピースを見つけていき、理想の姿を完成させた事が大きな自信となっている。これからも体は変わっていくけれど、その時々に合ったピースを選択して付き合っていけると思った。

 
 
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2018-10-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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