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お金は借りたくないときに借り、借りたいときに借りないのが正解


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小坂淳(ライティング・ゼミ平日コース) 

無借金経営はえらい、銀行は借りたいときに貸してくれない、借入より増資のほうが利息払わなくていいから得、第三者割当増資より借り入れのほうが株主に支配されないから楽。
これらはよく言われる「間違った」ことです。
この中でも一般の人がよく聞くのが最初の二つではないでしょうか?

なぜこの誤解が広まっているのか、実際はどうすればいいのか。

そんなことをいうお前は何者なのか?と言われるでしょうから自己紹介です。
社会人最初の2年間は銀行に勤務し、お金を貸す側でした。
当時はバブルが崩壊し、新しい査定の仕組みに移行する時期で金融環境が大きく変化しました。

その後会社設立に2回参加しています。
1回目は岡山で3人で起業。主な元手は岡山県の助成(2年間で2400万円)です。
これは返済不要のものです。

2回目は東京で2人で起業。資本金400万円でスタートしました。
この会社では借り入れを経験しています。

お金の仕組み、銀行員としての経験、借り手としての経験の順にお話しします。

まず、お金の仕組み。
お金は「お金自身がお金を増やすのに貢献する」という性質があります。
例えば、300万円あり、人を雇うとその人件費や家賃などの支払いがそこから発生します。
売り上げを上げ利益を上げて払うわけですが、人件費などは毎月支払うのに対し、売り上げ入金は後になることが多く、売り上げをあげていくとその差(運転資金)に苦労します。
元手が300万円だと人一人が精いっぱいでしょう。
その苦労を減らすためには規模を拡大せず人も増やさないという選択になりますが、事業拡大のスピードが落ちてしまいます。

つまり、手元にあるお金が少ないと運転資金枯渇リスクと、事業拡大のスピード遅れが発生します。

そこでお金を借りてその課題を解決する選択肢を考えます。
お金は「借りたら返さないといけない」ものですし、「金利を払う」ものですから、借入を嫌う人が多いし、自分の資金だけでやっていることを偉いと思う人がいます。

しかしどうでしょうか?
・規模が拡大すれば借りたお金を返すことができますし、世の中への影響も大きくなります。
・利益を上げられれば金利払ってもお釣りが出るわけで、従業員やお客さんを幸せにすることができます。

無借金経営が偉いというのは大きな誤解です。
では借金をして事業を安定させたり成長させようという人がぶちあたるのが銀行など金融機関との折衝です。
そこで次に私の銀行員経験のお話です。
先に述べたように当時はバブル崩壊で銀行は緊縮でした。
しかし、銀行は預金者から預かったお金(銀行にとっては負債)を企業などに貸して(銀行にとっては資産)そこから利息を得ることで収益を得なければいけません。
不景気といっても「誰にも貸さない」ということは起きません。

ではどういう企業に貸すのか?
・資金使途がはっきりしていること
・返済財源が明確であること
・経営者の考えや企業の成長が見えること
これらが貸す要因です。
つまり「お金が無くなったからお金を借りたい」という企業には貸さないのです。
言い換えれば「借りなくてもつぶれはしない」企業がさらなる拡大や新規取り組みをするために貸すのです。

そして私は借り手側の経験もしました。
最初は信用金庫から300万円借り、そこから何度か借りた上で、日本政策金融公庫や都銀、地銀などから借りました。
最も多い時は月商の約3か月分。最後は親会社ができたため銀行からの借り入れはゼロにし、必要なときは親会社から借りましたが、最後の1年は無借金でした。
この借り手の経験からわかったことは下記3つです。
・金融機関の社員は「成績や方針に追われるサラリーマン」であること
・金融機関の方針は政府に左右されその顔色を窺っていること
・上記2つの要因により金融機関は同じ時期に同じ動きをすること

つまり、金融機関は借り手に対していろいろ求めるのに対して、そこで働く人は成績や行政の方針を見ているだけの存在ということです。
スルガ銀行の話題が最近されていますが、あれがまさにその象徴でしょう。

ここまでで気づいた人がいるかもしれませんが、金融機関は借りたい人にお金を貸す存在ではないのです。

金融機関がどれぐらい誰に貸したいかはその時の政府の方針や世の中の流れで決まる。
資金使途や返済財源というあいまいなものは何とでも理由付けできる。
この流れは多くの金融機関が共同歩調をとるということです。

成績をつくるために貸したいということは、それに協力してくれる企業を優遇します。
担当する銀行員が成績を作りたくて社長に借り入れの依頼をして社長が断ったとします。
そうするとその社長が借りたいときにその銀行員に依頼しても、銀行員は動きません。

銀行員は「自分が成績をあげたい時期に、借りてくれる企業」を大事します。
そして、「今はその時期じゃない」ときは積極的に動きません。

そこでタイトルに書きました「お金は借りたくないときに借り、借りたいときに借りないのが正解」となるわけです。

・銀行員が借りてくれというときは借りたくなくても借りておく
・借りたいときは借りにくい時期かもしれないし、条件も厳しくなるかもしれないので借りない

何事もお願いして「貸し」をつくるよりも、お願いされて「借り」を作るほうが感謝されます。

もし皆さんが会社経営をするときは「金融機関が借りてほしい時に借りてあげる」「自分が借りたいときは金融機関の様子を観察してタイミングを図る」
この二つを思い出してください。

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2018-10-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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