メディアグランプリ

理系男子との結婚生活に役立つ書く力


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:江口雅枝(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「分析しないでよ! 共感して欲しいだけなのに……」
 
理系男子の夫に、何度言ったセリフだろう。
 
 
仕事での失敗や、親とのもめごと、テレビで見た芸能人のニュース。帰宅して晩ごはんを食べながら話す時間は、ちょっとした愚痴も一緒にお腹の中で消化できちゃうくらい、リラックスしながら過ごしたい。
 
「そうか、大変だったね」
シンプルなひと言を返してもらえるだけでいいのに、理系男子の夫は、丁寧にいちいち話しを「分析」して返してくれる。
 
嫌な出来事があったとき、夫婦として心をゆるしている間柄なのだから、私の味方をしてくれてもいいものを、相手がどういう考えでそういう言動に出たのかを冷静に分析して解説してくる。一方だけの言い分では判断できないからと、私のヒートアップした感情論を、静かに冷ましにくる。
 
製薬会社の研究職という職種がそうさせるのか、単に夫の性格なのか、とにかく「そうだね」と共感してほしいだけの話しに対し、本質がどこにあるのかをいちいち分析されることに、イライラしてしまうことが何度もあった。
その気持ちの行き場のなさを、なんとか消化したくて返していた言葉が「理系男子あるある」だ。
 
理系とか文系とか、カテゴリー分けになんの意味もないし解決にもならないことはわかっていても、単純に求めている共感が得られないことに、満たされない思いがあった。
 
 
本当は、夫の「分析」がいつも的を得ていて、話しの本質を見ようとしていて、悩みの解決策への近道だということに、うっすら気づいてはいたのだけれど。
 
 
合コンとか、その場だけ楽しく、いい人を演出したければ「そうなんだ、大変だったね、頑張ったんだね」とうなずきながら、共感したフリだけしていれば、満足できるのかもしれない。
 
でも、夫婦である自分たちは、一生ともに生きて行くと決めたふたりだ。
 
会話が長続きする関係、話しをしたくなる、話しを聞きたくなる相手。そういう夫婦でいられるためには、うわべだけの共感では続かないことを、夫の方がわかっていたのだと思う。
 
イライラや不満、「ちょっと聞いてよー!」と思うような出来事の原因は、突き詰めると自分にあることも多い。自分が成長していないから、自分がサボっているから、ストレスが生まれているだけだったりもする。
見つめるべき本質から目をそらして、なぐさめて欲しいだけの相手なんて、夫婦でいて、幸せだろうか?
 
夫に話しを「分析」されてイライラしていた原因は、自分が問題の本質から逃げようとしていることにあって、よくよく夫の分析を振り返ると、自分にはなかった視点から物事を見ていて、実に面白いことに、気づいた。
 
 
そういう受け止め方が上手になってきたことを、このライティング・ゼミに参加して、毎週記事を投稿するようになって、より強く感じている。
 
今まで自分の気持ちを、感情任せに書き連ねることはあっても、後で読み返すと恥ずかしすぎて削除したり、吐き出したいのに言葉にならず、書こうとして余計にストレスを溜めていた。
 
書くということは、どういうことか?
 
まさに書くことを「分析」するかのようなライティング・ゼミの講義やワークショップを経験するうちに、いつの間にか、どんな小さな出来事も、自分の感情で判断するのではなくて、それを人に伝えるとしたら? という客観的な視点で見ようとする癖がついてきた。
 
読後感を意識して、ポジティブに抜ける文章の書き方を訓練するうちに、ドロドロの感情を吐き出すよりも、何かに例えて考えてみたりすることで、気持ちがすぅーっと軽くなる感覚も覚えた。
 
 
「理系男子あるある」としか受け止められなかった冷静な話しの分析も、この話し、夫だったらどう思うだろう? と、意見を聞いてみたい気持ちが芽生えた。事実、記事として書いているネタのいくつかは、夫との会話の中から出てきたものがあって、自分の感情論でとらえていた話しを、別のアングルから見てもらうことで、コンテンツとして書きやすくなった。
 
 
仕事で疲れて帰ってきたところに、共感して欲しいだけの妻の話しなんか聞かされ続けたら、たまったもんじゃないと思う。面倒くさい妻になる前に「書く」ことの分析をする機会に出会えてよかった。
 
 
理系男子との結婚生活の幸福度は「書く力」と比例する。
 
分析癖が、ストレスじゃなく楽しみ事になったら、毎日の夫婦の会話も、ネタがつきることなんて、ないと思う。

 
 
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2018-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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