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メディアグランプリ

お化けとの新しい付き合い方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:丸尾 知実(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
あなたは幽霊を信じますか。
幽霊を信じるかどうかは、人それぞれ考えがあると思いますが、あなたは幽霊はいると思いますか。
 
色々な人がいると思いますが、なぜかテレビでは幽霊の名前は良く耳にします。
お盆の時期には、富士山の麓や怪奇現象の起きている現場に出向いて、わざわざ幽霊に会いに行くという特番も見かけました。
そのような番組の出演者の方の反応を思い出してください。
だいたい、「キャー」と言って怖がるというものです。
 
幽霊って怖い存在なのでしょうか。
害をもたらす幽霊がいるのならば、迷惑と思いますが、全ての幽霊が怖い存在なのかと聞かれると、違う気がしています。
あなたはどう思いますか。
 
最近、私は幽霊が見えるようになりました。
見えるというか、感じるという感覚に近いのですが、存在がわかります。
幼い時から見えた訳ではなく、突然に見えるようになったもの。
だから、幽霊という存在が不思議でなりません。本当に怖い存在なのでしょうか。
 
私はお酒を飲むのが好きです。
ビールやワイン、日本酒にウィスキー何でも飲みます。
決して弱いわけではないのに、調子に乗って飲みすぎるので、家にほろ酔いもまま帰ることもよくあります。
 
美味しいご飯を食べて、美味しいお酒を飲んで、楽しく話をする。
とても幸せな時間です。
ほろ酔い状態で帰宅すると、家でもその幸せな時間が続いているように感じ、長く幸せを味わえます。
 
ある日、いつものように私はご機嫌で帰宅しました。
気持ちよく、酔っ払っていたので、そのままリビングの床で横になりました。
帰宅して人目を気にしなくて良くなった酔っ払いに、行儀など関係ありません。
ただ、床が冷たくて、お酒で火照った体には心地よかったから、床に寝転んだのです。
 
ご機嫌で、ゴロゴロと転がっていたところ、冷ややかな視線を感じました。
 
家には、私以外にも、祖母、母、妹がいるので、酔っ払いをたしなめる視線だと思いました。ご機嫌とはいえ、いい年した大人が、外出した姿のまま、床に転がっているのですから、仕方がない視線です。
 
けれども、ご機嫌で幸せな時間をかみしめていたところに、小言を言われるほど、不愉快なものはありません。小言はできることならば、避けたいところ。だから、放っておいて欲しいという意味を込めて、先手を打ちました。
 
「えー! せっかくほろ酔いで、ご機嫌なんだからいいじゃない」
このように、視線の主に言葉をかけたのです。
 
そして、お酒で気怠くなった体を起こして、顔をあげました。
 
その人物に対峙しようとしましたが、そこには誰もいませんでした。
祖母も、母も、妹も、そこにはいませんでした。
 
では、その視線が誰のものだったかというと、おじいさんのものでした。
詳しくいうと、仏壇から少し離れた場所で、仏壇から出て近づいてきたおじいさんが私に向けた視線でした。
 
「お前、いいとしこいて、何をやっているんだ。いい加減にしろよ、まったく」
そんな言葉を言いたげな表情をしているのです。
ごもっともな、お言葉です。身に染みます。
 
私の状況とおじいさんの小言は、良くある家族の会話で、違和感がありませんでした。
でも、良く考えて見ると、おじいさんはこの世にいないので、とても不思議な感じです。
 
これは決して、生前のおじいさんを思い出したわけではありません。だって、生前のおじいさんを私は知らないのです。母が結婚する前に、亡くなっていていたので、出会うことはありませんでした。
 
おじいさん本人を知らないので、親しみを込めて私は孝造さんと呼んでいます。
 
孝造さんは国営の会社に勤めた真面目な人で、毎日同じ時間に家を出て、定時後まっすぐに帰宅。夜10時には就寝するため、大学生になった母は孝造と話をした記憶がないほど。子供に興味があったのかと疑問を持たれるほど、放任主義の孝造さん。
 
そんなイメージでいたので、わざわざ小言を言ってくるそんな性格とは思いませんでした。
これは孝造さんってそんな人だったのかと、認識を改めることになった事件でした。
幽霊として出てきてくれので、孝造さんの性格を実感することができたのだから、不思議です。
 
酔っ払って、床に転がってるくらい自由に、奔放に生きている私は、孝造さんとは似ても似つかない生き方をしています。だから、孝造さんが身近なストッパーのように思うこともあります。私の後ろにいて、見守ってくれているような感覚です。
 
だけど、一つだけ文句を言いたいことがあります。
孝造さんの実の娘である私の母には言わないのに、なんで私にだけ小言を言うんだよと言うこと。孝造さんが見えるからと言うことはわかるけど、なんとなく理不尽さを感じずにはいられません。
 
このように私にとって孝造さんは身近な存在です。
小言に「えー」とは思いますが、恐怖に「きゃー」とはなりません。
 
幽霊って怖い存在なのでしょうか。
 
孝造さん以外にも通りすがりの幽霊を見てしまうことがあり、迷惑をかけれたこともあります。
だから全ての幽霊が怖くないとは言えませんが、幽霊もそれぞれなのだと感じています。
 
幽霊を信じる信じないは、信じる宗教やその人の思想で異なるとは思います。
私は幽霊が見えるようになって、幽霊を身近に感じて、恐ろしいという気持ちはありません。
孝造さんは実際にはいないかもしれないけれど、すぐ近くで見守ってくれていると言う安心感があります。
最近は、こんな付き合い方も、ありじゃないかなって思います。どんな形であれ、亡くなった先祖が身近で見守ってくれていると思ったら、温かな気持ちになりませんか。
 
ちなみに、この文章を書いている今も、後ろから孝造さんに圧力をかけられています。
悪いことは書いていないから、大丈夫だから。そんなに心配しなくてもいいじゃ無いって伝えておきたいと思います。

 
 
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2018-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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