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こんな占い師には気をつけろ!


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記事:斎藤多紀(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「あんた、オーラが全然ないから無理だね」
占い師は吐き捨てるように、私に向かって言った。
 
10年以上前、私は占い師を目指して占いの学校に通っていた。占いの勉強はとても楽しく、充実した日々だったのだが、この学校を卒業したからといって、仕事がくる保障はどこにもない。本当に私は占い師になれるのだろうか。そんな不安から、私はある占い師のもとを訪ねた。私が占い師に向いているのか、占い師として食べていけるようになるのかをみてもらうためだ。初老の人の好さそうなおじいさん占い師だった。
 
そうしたら、冒頭の答えが返ってきたのだ。
「オーラって何ですか? 魅力がないってことですか? それとも地味な顔だとか?」
とさらに聞いたら、その占い師は
「そういうこと人に聞いてる時点でダメってことだよ!」
と言った。この言葉を良く解釈すれば、占い師は人を元気にしたり、希望を与えたりする仕事なのだから、イキイキとした明るい雰囲気を持っていなくてはいけない。それが私には足りない。ということになるかもしれない。この占い師の言うことはあながち間違っていないのかもと思っていた矢先、占い師はこんなことを言ってきた。
「うちはさ、一回3000円てことになっているけど、この間来たお客さんなんか占いがものすごく当たっているって感動して、30万円も置いていったんだよ。やっぱり、運をつかむ人は金払いがいいのさ~」
この占い師、とんだインチキ強欲野郎だ! と思い、私は3000円だけテーブルの上にバンっと置いて、逃げるようにその場を後にした。
 
こんな占い師もいた。その占い師は若くてイケメンだったが、オネエ言葉を使うゲイだった。タロット専門の占い師で、雑誌にも紹介されるくらい有名だったので、待ち時間が3時間をこえることもざらだった。
「今好きな人がいるんですけれど、告白したら成功するでしょうか?」
と聞いたら、占い師はさっそくタロットを広げて、ズバっと言った。
「残念だけど、いい結果は出ていないわ。がんばって告白してもふられちゃう可能性が高いわね。彼には、他に好きな人がいるみたい」
そうなんだ~とがっかりしている私に対して、
「私もね、実は男にフラれたばっかりなのよ」
と占い師は話し出した。何でも、3年間同棲していた男が浮気をしていたことがわかり、大ゲンカをしたそうだ。そうしたら、翌日部屋に帰ったら、男と男の荷物はすべて消えていたという。おまけに、2人で貯めていたお金まで持っていかれたのだという。
「それはつらかったですね」
と私が言ったら、ピピピッとストップウォッチが鳴った。私の鑑定時間が終わった合図だ。30分で5000円のコースを頼んだのだが、私の鑑定は5分ほどで終わり、後の25分は占い師のグチを聞いて終わってしまったのだ。ものすごく理不尽だと思ったけれど、失恋してひどい目にあった占い師が気の毒になり、一応5000円払ってきた。
 
いい占い師と、悪い占い師を見分けるのは難しい。例にあげたような占い師たちにも、ちゃんと顧客がいるから職業として成り立っているのだ。私には合わなかっただけで(あるいは私がなめられただけで)、彼らに信頼を寄せているお客様もいるのだろう。ネット上の評判はあまりあてにならない。宣伝用にとライターを雇って、いい口コミを書き込んでいる占い師もいなくはないからだ。だとしたら、どうすればいい占い師に出会えるのか。無責任な言い方だが、それはもう運としかいいようがない。テレビに出たからいいとは限らない。本をたくさん出しているからいいとも限らない。高額だからいいとも限らない。逆に、安いからダメだとも言い切れない。
やはり、自分の目で見て、いろいろな人に占ってもらって合う人を見極めていくしかないだろう。ただ、たいていの占い師は時間で金額が決まっているので、時間を無駄に使わないように、聞きたいことをある程度まとめてメモしていくのがいいかもしれない。それから、自分にとって都合のいい結果が出るまで、同じ占い師に3日置きくらいに通う人もいるのだが、それはもちろんおすすめできない。いい占い師なら、たとえ悪い結果が出たとしても、対処法を必ず教えてくれる。それをちゃんと実行した後に、また占ってもらいたいと思ったら行くべきだ。
行動の先にこそ幸せがある。悩みで身動きがとれなくなっている人を、行動するようにうながせる占い師こそが、本当にいい占い師なのかもしれない。
 
占いの学校を卒業した後、幸運にも占いライターの仕事をすぐにもらうことができた。対面鑑定のお客様もついた。オーラのない私でも、どうにかこうにか占い師になることができたのは幸運だったとしかいいようがない。勉強のためにといろいろな占い師に占ってもらったが、ひどい占い師に見てもらった経験も今では笑い話にできるくらい、反面教師としてとらえられるようになった。

 
 
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2018-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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