メディアグランプリ

我が家の陣取りゲーム


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:なかむら(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「今日はどのように寝ているかな?」
毎朝、起きてすぐに確認することがある。
娘の寝相だ。
 
毛布がちゃんとかかっているか。
変な寝かたをしていないか。
毎朝、心配して、娘の寝ている姿を確認する。
 
そして、最近、もう一つ確認することがある。
それは、娘がどの布団で寝ているかだ。
 
我が家は4人家族。
私と妻、3歳の娘、1歳の息子の4人だ。
この4人が、3つの布団を敷いて寝ている。
乳児用の小さな布団が1つ。息子専用だ。家の近くの子ども用品店で買ったものだ。
あと2つは、大人用のシングルサイズの布団。私と妻と娘用だ。家具の大手小売店で買ったもので、よくある普通の布団だ。
 
この3つの布団を並べて、4人が寝ている。
人数に対して、布団の枚数が足りないことからわかるように、私、妻、娘の3人にとっては、2枚の布団は若干狭い。
 
その結果、必然的に、陣取りゲームが始まる。我先にと、寝心地がよい広いスペースを探し求めるのだ。寝る前はもちろん、寝てからも無意識のうちに陣取りゲームは続く。
 
ゲームの主導権は、娘が握っている。
元気盛りの年頃だし、寝相も悪い。一晩で、いろんなところを転がり回る。
 
斜めになって寝てみたり、
私の顔にかかと落としをしてみたり、
私のお腹を枕にしてみたり。
 
娘が動く度に、その動きに合わせて、私と妻が空きスペースを求めて、移動をする。
ときには、布団1枚に大人2人で寝たり、
1人が、布団からはみ出して寝たり、
息子の小さな布団に入れてもらったりしている。
 
毎晩、こんな具合に陣取りゲームが繰り広げられる。
 
 
そんな中、先日、大人用の布団を1枚、買い換えた。
私の持病の腰痛がひどくなり、少しでも痛みを和らげるために、少し高級な布団に買い替えたのだ。低反発マットレスで、寝心地も良く、体にやさしい作りになっている。
 
買ってきて、初めて寝たときの感触は、まさに期待通りだった。
低反発マットレスが、自分の体形に合わせてぴったりと沿い、私の体を支えてくれる。まるで、無重力空間にいるかのように、体に負担がない体勢で寝ることができる。
なんでも、アメリカの航空宇宙局であるNASAも認めたマットレスとのこと。重力と圧力を均一に分散することができる独自の素材を使っているようだ。
確かに、朝起きたときの、体調も違った。前に使っていた布団よりも気持ちよく目覚められる。腰の痛みも低減されていた。
多少、値段は高かったが、それを補って余りある効果があった。
私は、すぐにこの低反発マットレスが気に入った。
 
そして、毎晩の陣取りゲームで、負けたくない、この陣地を取られたくないと思った。
この陣地でずっと寝たいと思った。
 
それ以来、陣取りゲームで娘に負けないように、私はなるべく早く低反発マットレスに寝入り、自分の陣地を確保した。低反発マットレスを独り占めにして寝た。娘は、私のいつも以上のやる気を察したのか、大人しく妻の布団に入って寝入った。
 
しかし、朝起きると、
「あれ? おかしいな」
娘が知らないうちに、私の隣で低反発マットレスの布団で気持ちよさそうに寝ているのだ。
昨夜、娘は、妻の布団に入って眠りについたはずだ。
 
次の日も、その次の日も、私が朝起きると、娘は、私の低反発マットレスの布団で寝ていた。
 
どうやら、この寝心地の良さを感じとったのは、私だけではなかったようだ。
娘も、この低反発マットレスの寝心地の良さに気づいてしまったのだ。
 
私の布団を買い替えた日以降も、娘は、相変わらず、寝相が悪く、寝ている間も転がり回っている。
ただし、私の新しい低反発マットレスからはみ出ることはない。娘の意志は固く、徹底している。
 
私は、娘に、低反発マットレスがどういうもので、どのような効果があるかを説明したことはない。説明しても理解できないと思ったからだ。
しかし、娘は、言葉ではなく、自分の体で、その快適さを理解したようだ。
 
今日も、私が朝起きたときには、娘は低反発マットレスで寝ていた。
気持ち良さそうに寝ていた。
難しい技術的な言葉を使った説明などは要らない。
娘の気持ち良さそうな寝顔と、決してそこから離れようとしない強い意志から、低反発マットレスの素晴らしさが分かった。
 
言葉による説明など不要で、寝心地がよい低反発マットレス。一度寝たら離れられない低反発マットレス。
このマットレスが我が家にやってきてから、寝る時の陣取りゲームの競争が激しくなった。

 
 
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2018-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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