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フランス語を学ぶ目的はストレスの発散!?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松原 さくら(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
「ジュマペール メグミ(私の名前はメグミです)」
「ジュマペール サクラ、アンシャンテ(私の名前はサクラです。初めまして)」
私が最近通い始めたフランス語の初級教室に、いつもとても楽しそうにしている女性がいる。
メグミというその女性は、超初級レベルのつたないフランス語を堂々と発音していて、先生にその発音を訂正してもらうとなお一層楽しそうだ。
そして、時間が余りないらしく、いつも宿題をやってこない。他の人は自宅で予習復習をしているのに、全くしていないようなのだ。
宿題の答えを聞かれても、肩をすくめてニコッと笑うだけだ。全く答えられない。
それでも、少しも臆することはなく誰よりも楽しそうに教室に参加している。
何が楽しいのだろう?
 
外国の言葉を習い始める時は、全然意味が解らない言葉を読んだり書いたり、発音もままならない。私は、何もできない自分が情けなく、楽しい気持ちになんて到底なれっこない。
しかも、宿題すらしてこない彼女は、超初級クラスでも落ちこぼれなのだ。
全く理解不能なのである。
 
ただ、不思議なことに、メグミが楽しそうに堂々と大きな声で発音をしていると、周りのみんなもだんだんと「大きな声で発音しても良いのかな?」という雰囲気になってくる。
メグミは自分が発音に失敗したらいつも大笑いして嬉しそうだ。
そしてその後には、私も自分が失敗したとしても大丈夫なような気持ちになってくる。
 
時々メグミは教室を休むことがある。その時はとても静かだ。
「シーン」としていて、息を潜めていなくてはいけない。発音練習も恥ずかしくて小さな声で、ごにょごにょっと言う。
宿題の答えを聞かれて解らなかったり、間違っていたりすると、大汗をかく。
ちゃんと出来ていないと恥ずかしいのだ。
 
そんな私が、たまたまメグミと隣同士の席になった。フランス語の単語の意味が全く解らない彼女に、私が知っている言葉の意味を教えてあげると、彼女は「今日は教室に来て本当に良かった!」と狂喜乱舞で喜んだ。
「なぜフランス語を学んでいるの?」と聞くと、「何かしんどいことがあった後には、いつも外国語を習いたくなるみたい。きっとストレス発散になるからなんだよね」と、不思議な返事が返ってきた。
そして、私が「先生は他のクラスでも教えているのかな? 他の曜日に振り替えたい時に、先生のクラスが良いから」と呟くと、サッと手を上げて、先生を呼び、日本語が出来ない先生に英語でサラサラっと私の質問を聞いた。
私は恐縮してしまった。いやいや、全然先生に聞かなくて良いのだ。恥ずかしいのだ。何か変な人だと思われたくないのだ。
でも、そんな私を見ても彼女はお構いなしに、先生に私の言ったことを話してしまう。「ごめんね。私、すぐに言いたい人だから」とやや強引に突っ走る。
おかげで先生はその後、とても嬉しそうだった。かなり若くてイケメンのフランス人講師だから、私は変に思われたらどうしようかとハラハラしてしまう。まあ、おそらくは、生徒の一人にクラスを受けたいと言われたことが嬉しかったのだと思う。彼女はというと、そんな私のハラハラとは裏腹に、全く動じておらずむしろ楽しそうだ。きっと、私のために良いことをしたと思っているのだろう。
 
そんな不思議な彼女を見ていて、だんだんと解ってきたことがある。難しいフランス語を学んでいる時間は、本来、ストレスが多いはずだ。でもなぜあんなにも楽しそうなのか。しかもストレスの発散になるのか。
 
私は小さい頃から遊園地が大好きだ。子どもの頃はよく両親に連れて行ってとおねだりをしたし、大学生になってからは友達を誘って何度も足を運んだ。
遊園地で一番人気があるのは、いつも一番激しいジェットコースターだ。時々苦手な人もいるから、穏やかな乗り物も少しは人気がある。
私もジェットコースターが大好きで、行くと必ず乗らなくては気が済まない。
でも、ジェットコースターを冷静に分析したら、本当に楽しいものなのか。高いところから急速に落ちるように加速して一回転したり後ろ向きに走ったりもする。恐怖でしかないような気もしてくる。その証拠に、みんな大声で「キャーッ」と叫んで怖がっている。
……ちょっと待て。この状況、フランス語教室に似ていませんか?
 
難しかったり怖かったりして、客観的に考えるとストレスがかかる状況で、大きな声を出している。すると、終わった時になぜか楽しい気持ちになっている。
 
ジェットコースターに乗っている間は、大声を出しても全然恥ずかしくない。テンションを上げて大声を出して、非日常に浸って、最高に楽しいのだ。
フランス語教室では、最初、恥ずかしくて小さな声でしか発音練習をしていなかった。それが、彼女が大声で発音するし、間違えると大笑いしてかえって嬉しい様子だしで、こちらもだんだんつられて笑えてくる。そうして笑ったり大きな声で発音練習したりしていると、なぜか少し楽しい気持ちになってきてしまうのだ。
 
きっとストレス発散の鍵はここにあるに違いない。そう、非日常的な大声と大笑い。そう考えると最初は不思議だったフランス語でのストレス発散についても、なんだか納得してしまう。
つまり、外国語の勉強は、難しくて、辛くて、恥ずかしいハズだと思っていた、私の固定観念を打ち破れば、楽しくできるのだったのだ。
もしかすると、辛い修行の様に思っていた他のことだって、楽しくできるのかも知れない。あんなに難しいフランス語が楽しいのだから。
 
皆さんも、そんな気がしてきませんか?
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2018-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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