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青木まりこ現象をご存知ですか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Ryoko (ライティング・ゼミ 日曜コース)

「う……。もうだめだ、あきらめよう。」
興味のある本を一通り眺めて、一番気になる本を手に取ろうとした瞬間、限界が来た。
でも慣れている、大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせながら最寄りのトイレに向かう。早歩きで。時にゆっくり、腸の動きに合わせながら。

いつからだろう、本屋に行くとすぐトイレに行きたくなってしまうのは……。しかも小ではではなく、大のほう。
今までの人生で数えたことはない。いつも忘れてしまうのだけれどこの瞬間がくるとやっぱり自分はそういうタイプなんだった、ということを思い知らされる。

本屋でトイレに行きたくなるタイプ、ということに気がついたのは多分小学5年生ぐらいからだっただろうか。
自宅から10分くらいの地方都市の本屋さん。当時私は「りぼん」や「なかよし」といった少女漫画が大好きで、発売されればすぐにその本屋に向かっていた。そのほか気になる漫画を探しによく通っていた。
いつも本をチェックしてワクワクしているところまではよいのだけど、急にトイレに行きたくなるので、いつも母親からは「え?また」と驚かれていた。
結構急激に来るので、冷や汗レベルなのだ。しかし、どうしてもその本屋さんにトイレをお借りする勇気が当時の私はなく、すぐそばのスーパーのトイレまで走り出し、滑り込んでいた。

20歳ぐらいの時、ふと何かの雑誌で本屋で便意を催す人が自分自身だけでなく他にもいるということを知った。しかも「青木まりこ現象」という。

「おかーさん!私だけじゃないって!しかも名前付いてる! 」
急いで母に報告することでもないような気がするが、当時たまらなくうれしくなり母に伝えていた。

だって、自分だけじゃない、しかも女の人がその現象に気が付いて、その人の名前までついている。衝撃的過ぎた。

その後も私は本屋は大好きなのでめげることなく通っていた。そして多分8割くらいは「青木まりこ現象」が起きている。
そして私はさして自慢にもならない、しかし自分にはなくてはならない特技を手に入れた。
それは、本屋の最寄りのトイレはだいたい把握している。
初めて入った書店でも、だいたい直感的に近くのトイレを把握できている。という2点だ。

例えば、池袋の〇ュンク堂。こちらは各階にトイレが併設されているので割と安心。けれどもフロアが広いので距離感はつかまないといけない。

自宅の最寄り駅の〇〇堂なら、最悪再度改札内に入らせていただく。
もしくは歩いて2分程度のコンビニでお借りする。

自宅近くのT〇〇〇〇YA。トイレが2か所あり、出来る限り店員さんに声をかけてから入らせていただく。

「Esola 池袋店STYLE for Biz」では同フロア、割と近めにとてもきれいなトイレがある。

等。本屋の記憶とともにトイレがある。本屋とトイレは私にとってはセットなのだ。ハンバーガーとポテトぐらいのセット感だ。きっと今までもこれからも。

しかし30代後半、女性……。
毎回ぎりぎりでトイレに駆け込むなんて、これではいけないとも思い始めている。

そこでこの現象を知るべく、ネットを検索してみた。
時代の進化を感じた。とても細かく、この現象が起きる理由まで述べられているではないか。

本のインク説、トイレに行けないのではという不安から説、過去の経験からの反射説、大量の本に囲まれるプレッシャー説、本のにおいがトイレットペーパーを連想させるなどなど。
ちょっと違うんだよなあ、と思いつつ……。

一つピンとくる説を発見した。リラックス状態で副交感神経が優位に働くというもの。
胃腸の働きは副交感神経が優位で活発になる。副交感神経はリラックスしているときに優位に働く。本屋がリラックスできる場所であるため、副交感神経が優位に働いて、便意を催すのだ。これだ、これが一番自分に合っている……。

催したらリラックスどころか超極限状態に陥ってるけれども……。

私が本屋に行くのは学校帰りや、仕事帰り、待ち合わせの合間や、人と会った後、などの自分ひとりであることが多い。ひとりで本を選んでいる時、というのはなんとも言えない至福の時間である。間違いなく普段の社会生活の緊張から解き放たれてリラックスしている時間である。これは確実に交感神経から副交感神経に切り替わっているはず。

そしてトイレに行ったあとは若干購買意欲が落ちている、という結果も付け足す。
催した瞬間からトイレに行く、ということが最優先事項となるため、それが終えた後は達成感でもあるのだろうか。もちろんトイレのために外に出てしまっている、という場合もある。

再度入るのは何となく恥ずかしく、欲しかった本も別の本屋で購入したり、Amazonでポチっと購入したりしている。

そこで、私が本屋を、書店を作るとしたら、ぜひ、トイレを充実させたいと思っている。
小さな書店でもできれば2か所。最近はカフェを併設したりどこまでリラックスさせるつもりなのだ。コーヒー効果も相まって一つでは足りないかもしれない。
そしてトイレ内は清潔なのはもちろん、居酒屋のトイレの地球一周のポスターのような何かチャレンジしたくなるポスターを貼るだろう。おすすめの本の情報などを、用意して再度戻っていけるような空間を作ってみたい。

書店員の皆さん、こんな生意気なことを書いて申し訳ありません。
でも、もし店内で青ざめている人がいたら、どうか最寄りのトイレをさりげなく教えてあげてください。

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2018-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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