fbpx
メディアグランプリ

撮ってもらうこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:宮浦優介(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
「もっと柔らかい表情でお願いしまーす」
「それがなかなか難しいんですよー」
 
突然だが、写真を「撮る」ことは実に楽しい。私はミラーレスや一眼レフのような本格的なカメラは持っていないが、今どきはスマートフォンでも綺麗な写真を撮ることができる。いわゆる自撮りという手法もどんどん身近になり、どの角度でスマートフォンを向ければよりよい写真をおさめることができるのかを研究する毎日だ。
 
そんな私だが先日、とあるカメラマンに写真を撮ってもらう機会があった。
 
私は、写真を「撮ってもらう」ことについてそこまで抵抗はない。みんなで写真撮影をしようとなれば積極的に混ざっていこうとするし、さっき言ったようによりよい自撮りの方法も模索しているのだ。ある意味、撮られ慣れていると言っても良いかもしれない。
 
しかし、明確に写真撮影を目的として、誰かが自分だけを撮っているという状況は、成人式の写真撮影以来であった。いや、そうした節目節目の撮影ならまだイメージしやすいのだが、今回はとにかく私の姿を写真におさめるためにカメラマンが来てくれたのであった。場所は都内の公園である。「ポートレート」写真撮影という言葉が当てはまるのだろうか。
 
冒頭のセリフは、実は私が写真を撮られているときにあったやりとりである。
 
写真は撮られ慣れているはずなのに、妙に緊張する。どのような表情を作れば良いかがわからない。ありのままの自分を表現すれば良いのだが、どうしてもそのありのままを見せることがうまくいかない。そんな状態であった。「撮ってもらう」ことが、実はこんなにも難しいものだったなんて。
 
 
そんな私にカメラマンの方は優しく接してくれた。私がどんな人で、どのように撮ってもらいたいかを話し合い、すぐに撮影をして理想型に近づけていく。私の姿を何パターンも、細かく撮ってくれた。陽の光を入れてみたり、上からのアングルで撮ってみたりと、様々な技法を使いながら。
 
1時間弱の撮影で、生まれた写真は192枚。最初に言ったように柔らかい表情にすることが難しく、実に渋い顔をしていた写真も確かにあった。その反面、私史上見たこともないような晴れやかな表情をしている写真もたくさんあった。実に楽しそうにバスケットボールを操る私、木陰で静かに本を読む私、太陽の方を見つめる私。その一枚一枚が、感動的ですらあった。
 
写真にはいろいろな人の思いが乗り移っていると思う。どんな気持ちで一枚の写真を撮ったのか、そこに写っている人がどんな喜怒哀楽を抱えているのかがよく分かる。私もスマートフォンにある写真アルバムを見返すと、その時の思いを容易に思い出すことができる。
 
これまでの私は、そんな「記憶」としての写真が好きであった。どこで誰と撮った、どんな気持ちで撮った写真かを思い出しながらその写真を反芻する、その時間がたまらなく好きであった。多くの人が思い出としてフィルムを取っておいたり、SNSにシェアすることと同じように。
 
しかし、今回の撮影で新たな写真の楽しみ方を発見してしまった。
 
写真を撮ってもらうことで、ありのままの自分を振り返るきっかけとなる。これまで自分が積み重ねてきた経験、特技、つまり人生がそのまま写真に現れる。得意なことを表現するもよし、思い出を自分なりに表現するもよし。その写真を見て、自分のことを改めて認識する作業がたまらなく楽しいのである。
 
さらに、これまで自分が知ることのできなかった一面もまた撮影された写真から読み取ることができた。今回の撮影では、今までに見たことのないような晴れやかな表情で映っている写真が何枚かあった。新たな魅力を引き出して、もしくは認識させてもらう機会ともなっているのだ。これがたまらなく楽しい。
 
私は、私を撮ってもらうことが実は「発表会」であると感じた。カメラマンという存在に助けられながら、自分のありのままの姿を表現する場として機能している。そして誤魔化しようのない自分の姿を、写真という形で発表する良い機会になっているのだ。そして、周りの人の力を借りて、今までになかった自分の力を引き出してもらうことも「発表会」としての写真撮影ではできる。どんどん自分が強くなっていくような気がした。
 
自分の良さをもっと引き出せる力が、写真にはある。
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《11/4までの早期特典あり!》

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事