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メディアグランプリ

冷えピタから生まれた観る将棋ファン


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:福田 冠司(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
振り返ってみると、もう8年も前のことになる。
 
私はたまたま、深夜に生中継されていた将棋の対局を目にした。そこで驚くべき光景を目にした。あるプロ棋士が、対局中に冷えピタをおでこではなく頭頂部に貼りだしたのだ! 「そこかよ!」とツッコミを入れたのは言うまでもない。テレビの解説者も解説に困っていたし、対局相手も頭頂部を何度となく注視し、その様子が映されていた。
 
「将棋界の一番長い日」と言われる、A級順位戦最終局の一斉対局。ここで名人への挑戦者が決まるという大一番だが、それに反した実にシュールな光景が、強く印象に残った。そして、私が「観る将棋ファン」になるのに時間はかからなかった。
 
間もなく、名人戦が始まった。2日間にわたる名人戦の流れはこうだ。初日の朝9時に対局開始、10時におやつが出され、12時半に昼食休憩、再開後は15時におやつが出され、18時に封じ手をしておしまい。2日目も同じタイムスケジュールで、18時に夕食休憩、その後は投了まで休憩なし。投了後は指し手について振り返る感想戦を対局者同士で行い、対局終了となる。
 
仕事が休みの日に、動画サイトで名人戦を終日見ていたのだが、中盤になるとまったく手が進まないのだ。最初のうちは指し手の候補を挙げて予想される手順を示したりするのだが、1時間以上次の一手が指されないこともあり、それだけでは間が持たなくなる。そこで、対局者や解説者の人となりといったエピソード、対局者が選んだ昼食やおやつの実食レポート、対局場所の観光名所といった周辺情報についての話が始まるのだが、これが意外と面白いのだ。
 
また、話の内容は棋士によって様々だ。自虐ネタやおやじギャグを言い出す棋士もいれば、動画サイトの視聴者のリクエストで、普段絶対に書かないような言葉を色紙に書いて、視聴者を笑わせにかかる棋士もいる。中には、カツラを被って登場し、頃合いを見計らってカツラを取る芸風の棋士もいるほどだ。
 
また、聞き手は女流棋士が務めることが多いが、こちらも、的確に指し手の候補を挙げ当てていく男性棋士顔負けの方もいれば、とにかく聞き手に徹して「そうですねー」を連発する方もいる。とにかく個性が強く、ファンサービスの精神が旺盛で、観ていくうちに私はそのキャラクターにますます惹かれていった。
 
こうした個性的で面白い棋士やタイトル戦で活躍するプロ棋士は、決して遠い存在ではなく、全国各地で行われる将棋まつりや将棋関連のイベントで、比較的簡単にお会いすることができる。
 
イベントでは、従来の指す将棋ファンのための指導対局が設けられているが、観る将棋ファンを意識してのことなのか、最近はトークショーやサイン会といった催し物も設けられている。サインを頂いて二言三言お話をし、握手してもらう。これだけでも、観る将棋ファンにとっては嬉しいのだ。こういったイベントに何度か参加するうちに、プロ棋士・女流棋士の方に顔を覚えてもらえるようにもなった。そうして、ますます観る将棋ファンに磨きがかかっていった。
 
しかし、あるときから私の仕事が忙しくなったり、資格試験の勉強を始めたりしたことで、こうした将棋イベントから足が遠のいてしまった。少しずつ、観る将棋ファンとしての情熱が薄れていったのだ。トップ棋士含め、お会いしたい棋士に一通りお会いできたこともあるが、関東近郊に住んでいると、いつでもイベントがあるので、安心してしまったのかもしれない。
 
時は流れて、今年の夏。私は天狼院書店のライティング・ゼミを受講することにした。ライティング・ゼミの内容は、ひとつひとつが納得させられる内容であり、私にとって血となり肉となり骨となるものであった。また、三浦さんが話すネタのひとつひとつが、知的好奇心を刺激してくれる。三浦さんの話を聞くだけでも、ライティング・ゼミを受講して良かったと、毎回の講義が終わるたびに実感している。
 
ある日の講義終わりの帰り道、私はふと気がついた。
「将棋」と「ライティング」に、共通点が多いことに。
 
将棋もライティングもとにかく頭を使う。ときには長い時間を費やしながら次の一手・次の言葉を選ぶこともある(少なくとも私にとっては)。
 
また、頭を使うときにはエネルギー補給が必要だ。プロ棋士が食事のほかにおやつを食べるのは、長考するために必要かつ合理的な行為なのだ。今では私もこれを見習って、課題を書くときは甘いものを積極的に摂取するようになった。
 
また、指し手というアウトプットを感想戦で振り返り、対局後にインプットも行う。そういえば、毎週の課題提出でも、特にダメ出しされたときに、原因をちゃんと振り返ってねと言われたなと。
 
そういえば以前、「将棋界は斜陽産業」と発言したプロ棋士がいた。書店業界も同様で、街の本屋さんが相次いで閉店している状況だが、決して悲観すべき状況ばかりだとは思っていない。
 
将棋界では史上5人目の中学生プロ棋士が大活躍し、再び将棋界が脚光を浴びることとなった。また、天狼院書店もこれからの書店業界に新たな光を差し込んでいくのだろう。
 
どちらも、今後の行く末をリアルタイムで見ることができる。想像するだけで、私は幸せだと感じるのだ。
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-11-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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