メディアグランプリ

好きなものを、正直に「好き」と言えるようになるまで、30年かかりました。 でも、今が人生で1番楽しい。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:戸田タマス(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「大きくなったら、何になりたい?」
「えかき、です!」
「……絵描き? 面白いものになりたいのね~(クスクス)」
 
 
当時幼稚園生だった4歳の私は、絵を描くことが大好きでした。
スケッチブックに動物の絵を描いて、何時間も遊んでいました。
母は、私の絵をいつも「上手ね」と褒めてくれ、
 
「将来は絵描きさんかな?」
 
と言っていたので、「大きくなったら絵描きになりたい」と自然に思っていました。
 
しかし、ある日
幼稚園の先生にその「絵描き」を笑われたことで、
私の中で、この夢がどんどん色あせていきました。
 
きっと、先生は悪い意味で笑ったのではないでしょう。
もしかしたら、「絵描き」という古風な言い回しが可笑しくて笑ったのかも知れません。
でも、その時は、
 
「えかき、と言ったら笑われた」
 
と思ったのを、今でもはっきり覚えています。
 
 
「なんで笑うの!?」と言い返せる子だって、もちろんいるでしょう。
でも私は、言えるタイプの子ではありませんでした。
以来、ずっと絵を描くことは好きでしたが、表立って「好き」ということはなくなり、描くこともだんだん少なくなっていったのです。
 
 
もともと気の弱い子供だった私は、転勤を繰り返していたこともあり、自分の意見を言わない子供に成長していきます。
自分のやりたい遊びを友達に伝えることができず、いつも「なんでもいいよ」と言っていました。
 
中学生になっても、高校生になっても、大学生になっても、その傾向は変わりませんでした。
 
カラオケやゲームセンターも、本当は苦手でしたが我慢して行っていました。
部活選びでは、本当は馬術部に入りたかったけど、親に勧められたテニス部に入りました。
就職活動では、本当は司書になりたかったけど、周りが受けているからという理由で銀行ばかり受けました。
 
また「笑われる」ことが怖かったからです。
 
しかも、
カラオケもゲームセンターも、行ってしまえばそれなりに楽しめる。
テニス部だって、やってみれば面白い。
就職活動に関しては、結局銀行が第一志望になり、入社することになる。
 
全部「それなり」に楽しいと思っていたことも事実なのです。
 
しかし、「これが好き」と言わないことが普通になり、
いつのまにか本当に好きなことを忘れ、気がつけば30代になっても
「自分」がはっきりしないままでした。
 
 
 
そんな私が、今、自分の好きなことを堂々とやれるようになっています。
どうしてそんな風に変わったのでしょうか?
きっかけは、育児休暇中に、とあるデザイン専門学校に通ったことでした。

そこは、ママ層に特化したカリキュラムに力を入れていて、子供と一緒に教室に通い、授業を受けることができるのです。ママであれば誰でも入学可能なので、経歴も、年齢もさまざまな人達が集まっていました。
私のクラスだけでも、銀座のクラブのママ、広告ウーマン、会社員、教師、パン職人、漢方医、空間デザイナーという顔ぶれでした。
 
さらに、目的だってさまざま。
プロになりたい、副業にしたい、仕事に生かしたい、趣味を極めたいなど、いろんな射程の目標がありました。
 
ただ共通しているのは、皆、
「あれが好き、これがしたい」がはっきりしていて、その目標達成のために勉強しに来たということ。
 


そこで私は徐々に変わっていきました。
 
学校に来ていた人達が、あまりにも1人1人違う目標を持っていたせいか、自分の意見や気持ちを言うことに抵抗がなくなっていったのです。
そして自然と、昔「好きだった」ことを思い出すようになりました。
あの頃好きだったことを、また「好き」と言えるようになりたい、という気持ちが、ふつふつと湧いてきたのです。
 

今、私は、専門学校を卒業し、育児休暇も終え会社に戻っていますが、同時に副業として、イラストを描く等デザインの仕事も始めました。
ブランクもありますし、稼いでいるとはとても言い難いですが、制作したものを「かわいい!」と言ってもらえる瞬間が、本当に嬉しくて仕方ありません。

 
趣味のほうでも、確実に世界が変わっていきました。
 
お菓子やパンを作ることが好きだと言うようになったら、パン教室に誘ってくれる仲間ができ、いつかパン教室を開きたいという夢まで持つようになりました。
 
実は恐竜や古代生物が好きだと言うようになったら、友達の小学生の息子さんと仲良くなり、博物館やイベントに行くときは、私も誘ってくれるようになりました。
 
 
人から笑われることを怖がっていたけれど、
堂々と「好き」と言ってしまえば、笑う人なんていないのです。
このことに気づくまで、なんと30年もかかってしまいました。
 
でもきっと、私にはこの道しかなかったんだろうと思っています。
 
その証拠に、人に合わせてやっていたことが、自分の「好き」に変わったものもあります。その1つが、親に言われて始めたテニスです。気づけば、もう10年以上続けることができているくらい、好きなものになりました。そして夫と知り合ったのも、テニスがきっかけ。
 
確かに、とてもとても時間をかけて遠回りしたように思います。でも、だからといって無駄なことなんて1つもなかった。
結果として「好き」を増やすことができました。
 
 
私は、人生で今が1番楽しいと、胸を張って言うことができます。
好きなことを「好き」だと言える、それだけのことですが、ようやく本当の「自分」が始まったような心持ちでいっぱいです。
これから先は、見つけた「好き」を大切にして、やりたいことを「自分」らしく頑張っていけたらいいなと思っています。
 
あなたは、何が「好き」ですか?
 
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2018-11-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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