自分に気付き、自分からはなれる
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:山田 楓(ライティング・ゼミ木曜コース)
「なんで年齢をわざわざ表示しているの?」
この前テレビを見ているとき、ふとそう疑問に思った。
一般的なニュース番組だったんだけれど、コメンテーターとして出演していた人を紹介するときに、字幕に名前と、簡単なその人の経歴と、そして年齢が表示されていた。いつものように見ている場面の一部に過ぎないはずなのに、なぜかその時は年齢が表示されていることが印象に残った。
名前や経歴が、その人のコメントに対する信頼につながるのはわかる。むしろコメントに対する信頼感、納得感のために名前や経歴が必要らしいこともわかる。
でも、なんで年齢を表示することが必要なのだろう?
20代だからまだまだ若手だ、とか、60代だからもうベテランだ、とかそういう情報が見ている人に伝わった方がいいのだろうか。
納得できる答えは見つからなかったけれど、その人を表現する一つの要素として、年齢を用いているのが私はあまり気に入らないらしいということはわかった。それは、最近私が年齢というワードに対して、敏感に反応してしまうからだろう。
「20代前半は華だね」と周りの人に言われたり、メディアからそういうメッセージを大量に受け取るけれど「え?20代前半じゃないとなんかダメなの?」って思うし、華とか華じゃないとか年齢で判断されることがすごく嫌になってきた。そしていつの間にかこれ以上歳をとることが怖くなっていた。20歳までの誕生日はどんな誕生日プレゼントがもらえるんだろう、どんなケーキを食べようかな、と毎年待ち遠しかったけれど、20歳以降は全然楽しくない。むしろ誕生日が来るのが嫌になってきてしまった。
さらに、最近もう1つ気になったことがある。
「大阪弁って、怖いんだね」
「なんか怒ってる?」
この前東京に行った時に、会話の中でそう言われた。
私にとっては別に意識して、大げさに、大阪弁を使ったわけではなかったし、それが会話するときの普通だから使っただけなんだけれど「テンポやイントネーションによっては、相手に怖い印象を与えてしまうこともあるんだ」とすごく思った。大阪弁という自分にとっては当たり前のものを、考えなおす機会をもらった。
こうやって自分の年齢や方言に対して周りから何か意見をもらったときに、なににそんなにひっかかったんだろう、なにが心の琴線に触れたんだろう、と考えてみたら、自分を構成してる要素の1つに触れたからだと思った。
年齢や方言は、今ここにいる自分を構成してる要素の1つだった。
もちろん他にも今ここにいる自分を構成している要素はたくさんある。
家族、大阪、バレーボール、いつも通うカフェ、コーヒー、チョコ、本、友達とか。好きだとわかっているものと、家族や友達のように無意識に影響を受けているものがある。
自分を構成している要素には、他の要素よりも敏感に反応してしまうのかもしれないと思った。一方で、ものごとに敏感すぎるときは疲れているときだなとも思う。だから意識的に私は、自分で自分を放す時間を持つようにしている。
私は1ヶ月に10冊ぐらい本を読む。昔からずっと本を読むのが好きだった。それは本を読むことで違う自分になれる気がするからだ。前はビジネス書ばかり読んでいたけれど、最近は小説ばかり読んでいる。登場人物に入り込むことで、違う自分を擬似的に体験することができる。その本を読んでいるたった数十分の間だけれども、私は私であることを放棄している気がする。自ら、積極的に、離れている。登場人物の感情に入り込みすぎて、心が動かされて、文章だけで泣いてしまうこともしばしばある。
こうやってたまには自分から自分を離れてみることも必要なんだと思う。毎日やるべきことに追われていて、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、と常に自分を生きていると、いろいろなものが心の琴線に触れる。もちろん自分を生きることができるのは自分だけなので、それはいいことなのだけれども、たくさんのものが心の琴線に触れすぎてしまうときは、ちょっと休憩したほうがいいのかもしれない。
むしろ一回離れてみることで、客観的に自分を見つめ直すこともできる。
自分に深く関わっているものは大切にしているからこそ、あれと疑問に思う回数が多くなる。自分を構成している要素に対して何か意見をもらったときに、当たり前だと流してしまうんじゃなくて「今、自分はこれを大事にしているんだ」という感覚を持っておきたい。
自分を構成する要素に気付き大事にしつつ、たまにはあえて自分からはなれてみる。この2つのバランスを大切にしたい。
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