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あなたがもっと美人になる方法教えます


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記事:望月祥子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「あー、違う。ここに置いたら白が勝っちゃう。すみっこ取られちゃったしなー。負けるー」
と声に出したいのを我慢して、心の中だけでつぶやく。
平日の午後、私はいつも行く美容院に向かうために電車に乗っていた。混んではないけれど、座ることはできないくらいの人口密度。
ドアの近くに立っていた私は暇だったので携帯電話を取り出してオセロをしていた。もうすぐ駅に着くかな、思って顔を上げた時に1人の女性と目があった。サラサラのブロンドヘアに透き通ったブルーの目。目があった瞬間、私に微笑みかけてくれた。
私はオセロをやめて携帯電話をトレンチコートのポケットにしまった。理由は簡単だ。その女性に見とれたからだ。彼女だけが姿勢を正し、足を揃えて座っていた。
品があって綺麗人だな、そう思っていたら彼女が私のほうに歩いてきた。
この駅で降りるのかな? と思ったら違った。すやすや眠っている赤ちゃんを抱っこしたお母さんが電車に乗ってきて、その姿を見つけるなり彼女はそのお母さんに席を譲ったのだ。全ての動作が綺麗だった。私にあと少しの勇気と時間があったら聞いてみたかった。
「なんでそんなに品があって綺麗でスマートなんですか?」って。
そんな私の気持ちなんて知る訳もない彼女は電車から降りて行った。トレンチコートのポケットに置き去りにされたオセロのゲームは結局私のぼろ負けだった。
 
約2ヶ月半ぶりに行く美容院は相変わらず居心地がいい。担当の美容師さんに随分後ろの髪が伸びましたねーと言われながら、髪の毛を切ってもらう。あの人本当に綺麗だったな。座った私の姿が鏡にうつる。普段は1ヶ月半くらいで髪の毛を切る私は最近自分のことがおろそかになっていたなと反省した。
 
私が身だしなみに気をつかうようになったのは、学生時代の失恋がきっかけだ。付き合っていた人に他に好きな子ができたと言われて振られた。他に好きな子ができたって漫画とかでよく聞くセリフだけど、自分が実際に言われると悲しかった。
それから私は夏休みだったこともあり毎日家にひきこもった。1日パジャマ姿で昼過ぎに起きてだらだらとお菓子を食べた。仕事から帰ってくる母には私を振った彼の悪口を言っていたある日。母が私に告げたのだ。
「祥子ってさ、そんなにブサイクだったっけ?」
実の母からそんなことを言われると思っていなかった私は何を言われたのか分からなかった。
母が洗面台に置いてある鏡を持ってきて、はいと私に渡した。
「今の悪口この鏡見ながらもう1回言ってみな。超ブサイクだから」
私は鏡を受け取ったけれど、見る気になれなかった。
「反対に祥子がその彼を振ったとするよね。その子が毎日毎日そんな格好で自分の悪口言っていたらどう思うの? ああ、振って良かったって思うでしょう? 悔しかったらね、次に会った時に何で振ったんだろう。勿体無いことしたなって思わせなさい」
次の日から、私は毎朝決まった時間に起きて、きちんとお化粧をして1日を過ごした。そうしているうちに彼のことを思い出す時間は日に日に少なくなっていったし悪口を言うことはなくなった。
 

「はい、終わりました。お疲れ様でした」
ショートカットの私の髪の毛は綺麗に整えられていた。もっときちんと手入れをしてあげよう、そう思いながら家に帰った。

家に帰る途中にガールズバーがある。そしてその隣にはもう少し年上の女性がいる、いわゆる熟女バーというお店がある。
ガールズバーの女の子たちは時々2〜3人がお店の外に出てお客さんの呼び込みをしている。ミニスカートを履いて、綺麗な足をしているけれど少し勿体無いのは立ち姿があまり綺麗ではない。前は地べたに座り込んでお客さん来なーいと言っていた。
今日はその隣の熟女バーで働いている人がお客さんと一緒にお店に入るところだった。 
ガールズバーの女の子たちが
「絶対私たちのが若くて可愛いのに」
と言っている。見ていた私に聞こえているくらいだから、その熟女バーの女性に聞こえるように言っているんだろう。若いって残酷だな。
そう思っていたらその熟女バーの人が
「こっちを選んでいただいたんですもの。私に楽しい時間にさせてください」
お客さんにそう伝えていた。
今日は美人にたくさん会える日だな。
 

数日後にまたガールズバーの前を通った。女の子がお店の前に立っていた。
あれ? 立っている姿が綺麗になっている。と思った時に1人の女の子が言った。
「隣のお店の良いところは見習わなくちゃね」
ああ、この女の子たちもやっぱり美人だ。
 
美人はきっと電車で席をゆずる時に断られたらどうしようとか考えない。
嫌なことを言われてもそれをスルーして目の前のお客さんを大事にする。
そして素敵だと思ったところは、素直に真似をしている。
 
誰かを羨ましいって思ったり嫉妬したり。それは決して悪いことではないけれど、その思いが強すぎると相手をひがんでしまう。羨ましいってひがんでばかりいたら、自分が欲しいものなんて手に入らない。
美人な彼女たちはしっかり学んで決してそれを自慢しない。
欲しいものを手にする方法は案外美人を観察すると分かるのかもしれない。
あなたの周りにいる美人は誰ですか?
 
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2018-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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