メディアグランプリ

落馬の経験が教えてくれた、失敗を恐れない方法。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:江口雅枝(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
ブレーキが、効かない! 頭によぎる「落馬」の文字。
 
馬に乗って颯爽と走ってみたくて始めた乗馬のレッスン中、突如コントロールを失って馬が暴走し始めた。
 
7〜8頭のグループで、柵に囲まれた馬場の中で走っていた時、自分の乗っている馬のテンションが異常に高ぶっていることに気づき、前を走る馬を追い抜こうとするのを必死で抑えようとするものの、手綱を引いてもビクともせず、全く制御不能になった。
 
カーブを曲がりきれず、反動で放り出されるようにして馬上から地面に落下してしまった。
 
1メートル50センチほどの馬上から振り落とされる衝撃は、馬場には砂が敷き詰められているとはいえ、想像以上だった。幸い、軽い全身打撲で済み、すぐに駆けつけてくれたインストラクターさんのフォローのおかげもあって、後遺症もなく無事だった。
 
 
落馬そのものの衝撃には驚いたが、それ以上に予想外だったことは、落馬しても乗馬を嫌いになったり恐怖心で乗れなくなったり、そうしたことが一切なかったことだ。
 
乗馬経験者の話を聞くと、落馬の影響というのは、怪我もさることながら、身体的ダメージ以上に「また落ちてしまうかもしれない」という精神的ダメージの方が乗馬を辞めてしまう原因になりやすいという。
 
せっかく馬が好きで始めた憧れの乗馬を、落馬という失敗が原因で辞めたりしたくない、レッスンを受ける前からそう思っていた。
 
 
馬に乗る以上、いつか落馬することは避けられないと思っていたので、どうしたら落馬しても乗馬が嫌いになったり恐怖心で乗れなくなったりしなくて済むか、事前に「失敗の準備」をしようと試みた。
 
まずはその道のプロに聞いてみよう! と思い、地方競馬のジョッキーをしている従兄弟に話を聞いた。彼は競馬のレース中に落馬し、さらに後続の馬に踏まれて肋骨を折り、生死の境をさまよう大怪我をしながらも復帰した、壮絶な経験をしている。
聞けば、馬から落ちただけで死ぬことはほとんどないが、落ちた後で蹴られたり踏まれたりすることがものすごく危険であることがわかった。およそ500キロもある馬体に踏まれては、なす術がない。
落ちそうになると、とっさに馬にしがみつくように前かがみになったり、手綱を強く握って無理やりブレーキをかけると、反動で馬の前方に一回転するように放り出されてしまう場合があって、そうすると落ちた上に踏まれるリスクが高まり、非常に危ない。また、何頭もの馬が走っている場合、前後にいる馬との距離が近くなりすぎると他の馬を刺激して衝突が起き、何頭も何人も巻き込む事故になりかねない。
さらに、馬のテンションを把握する上で、馬の耳の動きや目の表情などからも、コンディションを把握できることがわかった。
 
そうした事前情報をもとに、万一の落馬の最にどうしたらよりダメージが少なく落ちることができるのか、イメージトレーニングを繰り返していた。さらに、ヘルメットやボディプロテクターなど、身を守る装備をきちんと整えて、毎回のレッスンに臨んだ。
 
 
だからこそ、突如やってきた落馬せざるを得ない状況のときに、自分でも驚くほど冷静に、手綱を徐々にゆるめながら、馬に踏まれにくい方向に体を傾けて落ちることができた。
本来であれば失敗であるはずの落馬が、とても貴重な経験となって、実際に体験しないと身につかない、リスク回避の仕方も学ぶことができて、ますます乗馬が好きになった。
 
新しいことへのチャレンジには失敗がつきもので、それでも乗り越えながら進んで行くことで学べることがたくさんあると思う。最初から失敗することを考えていては何もできないけれど、無防備すぎて、準備しておけば避けられた失敗で落ち込んだり諦めたりするなんて、もったいない。
 
 
このライティングゼミでも、ポジティブに書き続けることを目標にして毎週の課題提出をしてきたからこそ、掲載合格ラインに達しなかった失敗作のときほど、気づきが多かった。失敗作が学びになるのも、8回の講義を聞いて、ワークショップを体験して、動画で復習をして、その繰り返しをしているからに他ならない。
 
 
落馬した瞬間は怖かったけれど、後になってじわじわと、その経験の貴重さを実感している。乗馬が好き、書くことも好き。だからこそ、嫌いになんてなりたくない。独学、自己流が悪いのではなく、想像力を働かせながら、吸収できることや準備できることを素直に実践することが大切なのだと思う。そうすることで、好きなことにもっともっと全力で向かえるようになるし、それが上達への一番の近道になるのだと、感じている。

 
 
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2018-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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