シティボーイたちの恋愛観における考察
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記事:橋本 優(ライティング・ゼミ日曜コース)
皆さんは雑誌「POPEYE」を読んだことがあるだろうか? シティボーイのための雑誌、ポパイ。 シティボーイの生き方、ライフスタイル、カルチャーの発信誌として支持されている。毎号おしゃれでかっこいい男性モデルが出ているし、松浦弥太郎さんの連載「料理と本の話」や、大根仁さんが美人プレス担当者と飲みに行く連載「東京タイアップデート」はいつも面白い。
POPEYEは女性も楽しめるが基本的には男性向け雑誌。だが、年末売りの1月号だけは他とは違う。「ガールフレンド特集」である。
本特集はいわば、POPEYEをスターウォーズのレイとするところのカイロレンである。普段のポパイとは一味違う、もう一人の主役。むしろこちらが主役なのではないかとすら思う。
私はこの号が毎回楽しみで仕方なく、ここ5年は必ず買っている。ポパイのガールフレンド特集は、冬空に太陽を見せつけられるようにカップルのほっこり特集が盛りだくさんで、師走の心をあたためてくれるものになっている。
主に毎年、とにかく可愛い人気急上昇中女子タレント(中条あやみちゃんなど)とのデートを妄想できそうなカットと、一般人カップルのデート特集はマストで掲載されている。ここに出てくる女子(あえて女性ではなく女子と呼びたい)はみんな可愛い。それってなぜだろう? と思うと、みんな「とにかくハッピーそう」なのだ。ポパイが男性誌だからこそ、男性から見た可愛い女の子の定義がここにあるのだということがひしひしと伝わってくる。さらに言うと、毎年この号に掲載される男子たちは彼女の笑顔のためにがんばっている。
「彼はとにかく彼女の笑顔のためにがんばる」+「だから彼女はハッピー」のコンボ技である。その結果の産物として、とんでもないハッピーオーラの太陽が生まれる。毎年ガールフレンド特集では、この一連の流れが根底にあり、それが心温まる気持ちにしてくれるのだ。
だが、今年は少し違った。
今年の構成は今までと異なり、特集が始まる24ページから53ページまでを「シティガールたちよ!」と題し自身の道を生き生きと進む21名の女性へのインタビューで構成されていた。インタビューでは「男の子のどんなファッションが好き?」や「どんなデートが理想?」などといったよくある男性誌における女性へのインタビューは無く、個々の女性が進んでいる独自の道(歌人からテプラアーティストまで、様々)になぜ進んだのか、生き様、今後の展望を聞くものだった。
私の中には2つの違和感が残った。
まず1つ目は、そもそも私は、情熱大陸は求めていなかった、ただシンデレラなり白雪姫なり、王道のラブストーリーが見たかった、ということ。私にとって年末のポパイを購入するモチベーションは「ほっこり」を得ることであり、同世代の頑張っている人間を見て鼓舞されることではない。
ただ、そこに写っている女性たちの目はまっすぐでキラキラしていて、女性の私でも彼女たちを魅力的だと感じた。
2つ目は、「シティボーイ、つまり現代の若年男性における『理想の女性像』が変化しているのではないか?」という疑問だ。今回インタビューにて特集された女性たちは皆、自身の趣味や仕事に打ち込み、まるで「私は私のやりたいことに打ち込んでいる時間が一番ハッピー」というメッセージを全員で発信しているようだ。そして、POPEYE編集部の意図を感じるほど、この特集インタビューには「恋愛」という空気が流れていないのだ。
勿論54ページの後には毎年恒例の「女性モデルとの妄想デート」特集と「一般人カップルのほっこりデート」特集があり、心はホクホク、今年もとっても素敵な号だった。ただ、やはり雑誌編集をする側にとっても巻頭特集はメッセージ性が強いものとなるのだろう、その特集が恋愛間なしのインタビューというのは、どういうことなのか……、と、女の私には解決しきれない疑問が残っている。
近年、アベノミクスの戦略の一つにも制定されているほど意識され、日本全体で常識となりつつある「女性の社会進出」や「女性が輝く社会」。とは言え、そういった意識とは全く別の次元で、「彼はとにかく彼女の笑顔のためにがんばる」+「だから彼女はハッピー」のコンボ技が男女の平和の象徴なのではと思っていたのだが、社会の風潮に伴い少しずつ変わってきているのだろうか。私は、あくまでこのコンボが世界平和をもたらすと信じているけれど……。ぜひ、世のシティボーイたちに聞いてみたい。そしてこの謎を抱えたまま、私は来年末もきっとPOPEYE1月号を買ってしまうだろう。
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