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サヨナラ数学、こんにちは思いやり


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記事:slowman(ライティング・ゼミ 木曜コース)
 
「そういうことだけではないと思いますよ」
社長への最初の質問の回答は否定から始まった。
 
仕事の関係で社長などの経営者と話すときには、ロジカルシンキングが必要ですよね?
と私がした質問の回答だった。
 
私は、大の数学嫌いであった。中学生後半から高校の時はもう、手のつけようがないくらいに数パーマン(数学がパーなヤツの意味)になっていた。なので、数学に関してとても強い強いコンプレックスを持ちながら、今まで生きてきた。
 
「あー、数学ができるようになれば、もっと〇〇が分かるだろうに」
「あー、数学をもっと勉強していたら、◻︎◻︎だったろうに」
と数学ができないことを悔やみながら、(もしかしたら言い訳にしながら)社会人として生きてきたのだ。
 
今からでも遅くはない、学ぼうかと思ったりしたことも時折あって、その度、社会人のためのやり直し数学だの、〇時間で分かる中学の数学だのという本などを眺めることもあったが、「どのみち、買っても分からなくなって途中でやめるだろうな」と思って買うのをやめてしまうこともあった。
 
なので理数系の人たちに会うと、理屈ばかりならべられるのはゴメン、とどこかで引いた態度で接したり、どうしたらこんな思考ができるのかと羨望の眼差しで見たりと、かなり偏った態度をとってしまっていたのだ。
 
理数系の考え方は、ロジカルシンキングであり、これはビジネスにも必要だと言われて久しい気がするが、ロジカルシンキングは、数学を勉強しないとなかなか身につかないのではないかと思った私は、数学に直接の触れることはせずに学べないかと思い始めたのだが、なぜかそういうことを考えれば考えるほど、数学ができるようになった方が良いのではないかという思惑が頭をもたげ始めて、結果、ロジカルシンキングも数学も勉強することなく時はむなしく過ぎていった。
 
ビジネスに成功するにはロジカルシンキングがとても大切なんだと思い、それができないことに悩んだことも重なって、今回たまたま隣の席になった勉強会の主催者の社長に質問したのだ。
 
この社長、とある国立理系大学を卒業し、大手システム企業に入社後、退職して今の会社の社長として運営されている。学生の頃から、一回本を読めば頭に入ってしまうといういわゆる天才肌の人で、こういう社長の隣に座ることなどなかなかない私は、一度ロジカルシンキングについて聞いてみようと思ったのだが、あっさり否定されてしまったので、次の言葉を失った。
 
代わりに社長が言葉を繋げて言われたのは予想しなかった言葉だった。
 
「寄り添うことですよ。思いやりですよ。大切なのは」
 
寄り添う?
思いやり?
どういうことだ?
 
私が、理解できない顔をしていたのを見抜いて言われた質問が
 
「今日、発表した女性いましたよね? 前回発表した女性で、その後の経過を報告された方。あの方の発表聞かれてどう思いました?」
 
と聞かれて、正直言って話が長く論点を得ていない感じだった気がする旨を伝えたら
 
「もし、あの方に教えてあげるとしたらどうしますか?」と問われたので
 
まずは結果を伝え、その結果の要因、その対応の順番に簡素にいうべきだと思うと答えたら、
 
「それは、寄り添っていないですよね。それはあなたの意見です。寄り添うというのは一旦相手の言うことを聞き入れることです。それからその相手の状況に合わせて次へステップアップするのを相手のペースで支えてあげることです。相手が心を開いてくれるように尽くすことです。ロジカルシンキング以上に大切ですよ」
 
社長と話す時には、ロジカルシンキングで対応したり自分の専門分野で提示できる知識の提示したりするのが一番大切だと思うところがあったのだが、この話を聞いて今までの思い込みが崩壊してしまった。
 
続けて社長は、
「今の貴方は考えすぎです。ロジカルシンキングも大切ですが、ロジカルシンキングでどうのこうのと考えなくて良いと思いますよ。それよりは、相手の話を聞いてどういう状況なのか、どうしたら次に進めるのかをイメージしながら相手に接する方がよほど大切ですよ。相手に尽くすことを心がけてみられてはいかがでしょう」とアドバイスをくださった。
 
バリバリ理数系の頭の良い人が大切だと言われるのが、ロジカルシンキングではなくて相手へ寄り添うことだと言われるのは以外だった。
 
もしかしたら、数学ができないことで悩んでいる私に寄り添ってアドバイスくださったのかもしれない。そう考えると、この社長の対応は鳥肌ものだが、何より相手思いの心づかいが有り難いと感じた。
 
よし、今まで数学に苛まれて来たが、一旦ここで数学嫌いとはお別れして来年は相手へ寄り添うこと、思いやりを目標にしよう。
 
社長の話を聞くと相手に寄り添うこと、思いやることは、数学を学ぶより難しい気もするがそれができたら数学がわかる以上の喜びも得られるような気がする。
 
サヨナラ数学、こんにちは思いやり

 
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2018-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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