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キャンプ、はじめました。


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記事:中園陽二(ライティングゼミ日曜コース)
 

2年ほど前からキャンプを始めた。

もともとアウトドアには一切興味がなく、インドア万歳な性格なので、周りからは「急にどうしたん?」と驚かれる。
始めたきっかけは、兄の影響である。
兄が数年前からキャンプを始め、子供を連れて家族で行っているのを見て、楽しそうだなぁと思っていた。
子供の頃ならいざ知らず、アラフォーになってもなお兄から影響を受けるというのはなんとも気恥ずかしいような気もするが、何歳になっても兄は僕より先を行っているのである。

そんな中、うちの娘も幼稚園に通うようになり、自分のことは自分でできるような歳になってきた。
頃合いである。

キャンプ楽しいでー! ほら、こんな遊びができるよ~! 美味しいもの食べれるよ~! 
にんじんをぶらさげて、娘をそそのかした。
「行く!」という言質を取ったらこちらのものである。
しめしめ。
日頃のクライアントとの交渉に比べれば、幼稚園児を説得するなどチョロいものである。

難関は奥さんである。
日頃から僕と同じくアウトドアに全く興味がない。
なんなら僕に輪をかけてインドアである。その上、「テントを買う」という出費を伴う。
鬼が出るか蛇が出るか。
おそるおそる提案してみると、意外にすんなりOKをもらえた。
子供にいろんな経験をさせてあげたい、という思いもあったのだろう。
これで憂いはなくなったわけである。

同意が取れれば、後は実行あるのみ。
とりあえずテントだけを買って、兄家族との合同キャンプに望んだ。
テントを張るのも初めて。もちろんテントで寝るのも初めて。ホテルや旅館にしか泊まったことがない我が家にとっては初めて尽くしのことであった。
勝手もわからず右往左往していたが、テントを張る場所の決め方から、ペグの打ち方、テントの張り方、火の起こし方、火の始末の仕方、なにからなにまでおんぶにだっこで教えてもらった。
子供たちは川遊びをしたり、草むらを走り回ったり、枯れ枝で何かを作ったり、大自然を満喫していたようだった。

子供や奥さんたちが寝静まった後、サラサラと川が流れる音を聞きながら、焚き火の明かりを囲んで酒を呑むのは格別だった。
兄と二人で焚き火を挟み、酒を飲む。
焚き火の力と酒の力の相乗効果で、普段話さないようなこともゆっくりと話せた。
なるほど、こういう世界があったのか、と、アラフォーにしてはじめて知った次第である。
みんながアウトドアにハマっていく気持ちがようやくわかった。
奥さんや子供も楽しんでくれて、こうして初めてのキャンプは大成功に終わったのである。

そこからしばらくは「まぁまたキャンプに行きたいね」くらいであったが、今年に入って急にキャンプの機会が増えてきた。
キャンプ始めたよ、と会う人会う人に伝えると、それはいいね! 今度一緒に行きましょう! という話になるのだ。
社交辞令かと思いきや、それが実現したりするので、アウトドア好きな人のフットワークの軽さには驚かされる。
結果、今年だけで4回もキャンプに行くことになった。
これまでの生活では考えられなかった大進歩である。

それにしても、キャンプは楽しい。
その中でも、焚き火の楽しさたるや。
焚き火のためにキャンプをやっているといっても過言ではない。

なぜ、ただ薪に火を付けて燃やすだけでこんなに楽しいんだろう、と思う。
原始の時代からDNAに組み込まれているとか、そういう話を聞く。
パチパチと薪が爆ぜる音。
煙たいながらも、香ばしく木が燃えていく香り。
ゆらゆらと不規則に明滅しながらグラデーションする光。
その周り一帯だけを安全地帯にしてくれる暖かさが、大袈裟に言うと、命の結界のようになる。
と、そういう本能的な安心感は確かにあるのだが、それだけではないように思う。

むしろ安心感とは全く対極にある、イケナイわくわく感のようなものが確実にある。
なにか似たようなことあったような……と思い返すと、思い当たることがあった。
これはあれだ。
エアガンだ。

小学生の頃、兄がどこからかもらってきたエアガンが家にあった。
特別、銃が好きというわけでもなかったが、そのエアガンは小学生の僕には輝いて見えた。
ちょっと危険で魅力的なもの。
もちろん人に向けて撃ったりはしなかったが、狭い子供部屋の中、こっそり兄のエアガンを拝借し、紙で的を作ってよく射撃遊びをしていたものだった。

焚き火をしている時の心境は、その時の心境によく似ている。
街なかではちょっとゴミを焼くだけでも違法になる世の中である。
そんな中、人に迷惑をかけずにこっそりと、でも合法的に火遊びをできるのが「キャンプ場での焚き火」なのだ。
昔エアガンでこっそりといろんな撃ち方を試していたように、今は焚き火でいろんな薪の置き方、風の送り方を試して遊んでいる。
ついには「火吹き棒」なる小道具まで仕入れて凝りだす始末。
焚き火もなかなか奥が深いのである。

いい大人たちが火を囲んでキャッキャ言って遊んでいるのは、端から見ると滑稽かもしれないが、焚き火は大人なりのガス抜きであると思う。
日頃のストレスを、薪とともに火にくべて燃やしているのだ。
そこにお酒が入れば、ストレスなんて一発で吹っ飛ぶ。

あぁ、キャンプ万歳。焚き火万歳。そしてお酒万歳。

結局酒が好きなだけなんじゃないか! というツッコミはこの際なしにしてほしい。
もちろんお酒は好きだが、それを楽しむ環境が大事なのだ。

さて、そろそろ来年のキャンプの予定を立てないと。
次はどこのキャンプ場に行こう。
仕事の予定はその後だ。

***

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2018-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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