メディアグランプリ

私のライティング・トレーニング法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【1月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《土曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:浅野 今日子(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
「うっ、容量が足りない……いつの間に!?」
 
いつの間にかCドライブの容量バーが真っ赤になっていた。空いている容量が残り500MBほどになっている。GBではない、MGだ。
最近毎日トレーニングとして文章を書いてはいるが、ワードに3・4ページのファイルなんていくつあったって大したデータ量ではないはずだ。音楽だってそんなに聞かない。
 
「PCのデータ容量って時間が経つと容量自体減るの? 私の体力みたいに?」
「んなわけないでしょ。あんたがズボラなだけ。使い終わったファイルとかそのままにしてるでしょ」
 
母の厳しいツッコミを受けつつ、仕方なくデータを消す地道な作業を始めた。
 
文章ファイルを開くと練習用文章ファイルがそこそこ溜まっている。成果に自然とニヤけてくる。母に気持ち悪いと言われようとも嬉しいものは嬉しいのだ。
 
しかしニヤけてばかりもいられない。必死に使ってないデータを探しては消していく。普段は開かないようなファイルを手動でちまちまと一つ一つ見ていくのだ。
 
するとまあ出てくる出てくる。
いつだかダウンロードしたあのアプリやら、何年も前に撮った写真のバックアップやら、何年か前に流行った曲やら。
このPCは私のここ数年を私より知っているのではないだろうか。
 
その時できた友達と撮った写真。もう誰だか分からない人とのもある。旅先で撮った写真は懐かしい。
今でも連絡を取っている友達の数年前の写真を見ながらああ老けたなと失礼な感想を抱く。そう思いつつ自分もしっかり老けていて、そこは目を反らしながら写真を消していく。
たくさんのダウンロードされたファイルは確かに自分のもののはずなのに全く覚えがない。
ネットで一つ一つ、どのファイルは消してよくてどのファイルは消してダメなのか調べながら作業を進めていく。うっかり重要なファイルを消してしまうとPC自体が動かなくなってしまうこともあるらしい。慎重に行かなければいけない。
 
その作業は人によって書き散らかされた自分史を編集していくようなものだった
消していく作業と共にここ数年の自分の軌跡がクリアになっていく。
 
天狼院の前回のライティング講座を受けた。その中で川代さんはまずアウトプットをしろと言っていた。頭が情報で一杯の時にインプットしたって駄目だと。まずはあるものをすべて出し切って、それからインプットしたほうが吸収がいいと。
 
もっともだと思った。
最近、読む時間もないのにネタに詰まってやたら色んな本や映画に手を出していた。書く時間もないのだ、読む時間なんて更にない。
 
私の頭はそのPCと同じだったのだ。
 
もうメモリ表示が赤くなったCドライブ。繰り返し出てくるファイルをクリーンアップしましょうという表示。iTunesですらアップデートしようとしたら容量不足ですとエラーが出た。
なるほど、お腹いっぱい過ぎてもう入りませんと言うわけだ、今の私ように。
 
よくよく見てみると、標準装備のアプリの中にも面白そうなものが色々ある。でも使いそうにはない。
 
(うーん、どうしようかな。いつか使う機会もあるかもしれないし、残しておこうかな……)
 
片づけられない女みたいな考えが頭をよぎる。が、思い切ってえいやっと消してしまった
今は少しでも空き容量を増やしてどんどん吐き出していきたいのだ。
 
頭の中だとどれだけのものがうずもれているかなんてわからない。でもPCはとても明確だ。数字で出る。目に見える成果と言うのは気持ちいい。
 
相変わらずCドライブの容量バーは赤いままだが、空いている容量の単位はGBになった。この調子で消していければ元の緑色に戻るかもしれない。
 
 
文章を書くことは頭の中の棚卸に似ている。
そういえばこんなこともあったな、この時はこんなことを思っていたな。
思い出しながら一つ一つをネタにして文字にしていく。
 
最近、私がしている文章を早く書くトレーニングがある。
用意するものはPCのみ。他は何もない。
いや、あえて何もしないのだ。
そしてその場を見渡す。
すると目に入るものがある。
みかん、ペン立て、鏡、充電器、ケトル、PC、クッション、椅子、机、窓ガラス、カーテン、スマホ、何もない空間、クローゼット、引っ越したばかりの部屋。
その一つ一つを見ているとバチッと頭から何かが出てくる。そのモノから連想したものについて15分間で文章を書くのだ。
最初にこの15分チャレンジをしたときは500字台だった。
今は1000字を超える。
以外や以外、使えるものなんて何もないと思っていた私の頭の中にも色々なもが入っていたのだ。
最近はこれが面白くて仕方がない。時間も15分だから朝にでもやれる。
 
ふと気づけばもう今年も残り1週間を切っている。この機会に部屋だけでなく頭の棚卸も済ませてしまいたい。もっと使えるものが見つかるだろうから。
 
 
さあ、次は何を書こうかな。

***

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2018-12-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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