メディアグランプリ

パーソナルトレーナーの愛とジャイアン主義


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:太田晴信(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
身長162cm、体重88kg、ウェスト104cm。
 

これが私の体型である。
 

もう、ぽっちゃりなんてかわいいものは通り越して、正真正銘のデブである。
 

何度かダイエットして痩せたこともあったが、リバウンドしてしまうので、もうダイエットは諦めていた。
 

「ストレス溜めてダイエットするなら、デブのままストレスフリーの方が良い」という見解も持っていた。
 

しかし、2018年9月に7年勤めていた会社を辞め、独立して社長になった。
 

社長になったら、いろんなところに営業に行かないといけない。人と会う機会が自然に増える。
 

セミナー講師として登壇も予定している。
 

そんな折、起業の師匠からあることを言われた。
 

「ブヨブヨのデブが売る商品を買いたいと思いますか?」「見た目に不快感のある人のサービスを受けたいって思いますか?」
 

見た目が悪かったら、それだけで大きな機会損失をしているという。
 

「人は見た目が9割」という本もベストセラーになった。
 

まず見た目の印象で合格をいただいてから、性格を見てもらうとか、話を聞いてもらえるという本質に入っていける。
 

私には、かなり引っかかる言葉であった。
 

もともとスーパーでは肉体労働をしていたので、体力は使っていたが、独立してからはそれもなく運動らしいものはほとんどしていなかった。
 

それも含めて「よし、ここはパーソナルトレーニングに行って、体質改善しようと」と決めた。
 

事務所の近くでパーソナルトレーニングスタジオを探したら、歩いて3分のところにスタジオがあった。
 

さっそく体験レッスンに申し込んだ。
 

体を見てもらうと、「あー、お腹周りに悪い肉がいっぱいついちゃっていますね。これを取らないとダメです」
 

そして食生活を見てもらうと「炭水化物の多い良くない食事をしていますね。タンパク質も少ないです」とダメ出し。
 

しかし、トレーナーの「あなたは筋トレによる体質改善と、食生活を改善すれば、痩せるのはそんなに難しくないですよ。私に任せてください」と自信を持って言われたのと、運動だけでなく食事指導もしてもらえるということで、そのまま本契約してここに通うことにした。
 

私の目標は72kg、3ヶ月で16kgダウン。トレーナーとの二人三脚の体質改善が始まる。
 

契約は1月からだから運動は1月からだが、食事指導は12月からしてもらえることになった。
 

毎朝の体重と、毎日食べたものを書いて写メも撮ってトレーナーに送信する。
 

すると、返信メールがやってきて指導されるのだが、かなり厳しい。
 

私としては、炭水化物は徐々に減らしていけばよいかと思ったら、一切やめてくださいとのことだった。
 

徐々に減らすなんて生易しいものではなかった。
 

ごはん、パン、うどん、パスタ、などは一切NG
 

特に小麦粉系は全くダメでパン、うどん、パスタ、焼きそば、お好み焼き、たこ焼きはダメ、ルーに小麦粉が使われているカレーもダメ。
 

ごはんは雑穀米でもダメである。
 

今まで炭水化物星人で、小麦粉星人の私にとってこれは厳しい。
 

特に麺類が大好きな私に、うどん、ソーメンが食べられないのは本当につらい。
 

調味料もマヨネーズはダメ。麺つゆもダメ。サラダ油もダメになった。
 

油はオリーブオイル。ドレッシングもノンオイルのものを使う。
 

またタンパク質を取らないといけないので、朝からサラダチキンとか卵料理を取る必要がある。
 

イワシの缶詰などを勧められた。
 

水も1日3リットル飲むように言われた。
 

しかし、生活をしていると守りたくても守れないことも多い。
 

特に忘年会、新年会シーズンである。どうしても飲み会が多くなる。
 

アルコールはソフトドリンクでなんとか凌げるが、問題は食べ物である。
 

トレーナーからは「飲みに行っても、タンパク質の刺し身とか焼き鳥の塩とか調理していないタンパク質を頼んでください」と言われたが、そうも言っていられない。
 

自分だけ刺し身を頼んで食べるというのは、日本の飲み会ではあり得ない。
 

一つの皿をみんなで取り分けるのが、日本の飲み会のスタイルだ。
 

他の人が唐揚げをオーダーしたら、「私は、揚げ物はちょっと……」というのは言いにくい。
 

場の空気を壊すし、オーダーした人も自分が頼んだものを食べてもらえないのは気分が悪い。
 

それに油もほとんどが、サラダ油が使われている。
 

飲み会の食事も写真にアップしたが、当然トレーナーからは怒られた。
 

また、仕事しているとお昼を取る時間が10分しかないということもある。
 

そんな時に便利なのが、コンビニのおにぎりである。
 

ピッと袋をとって、パクつけば10分以内で食べられる。
 

実際に一昨日、昼食時間が10分しかない状況だった。コンビニでおにぎり3個買って食べて次の仕事場に行った。
 

しかし、これもごはんだからNG
 

これも、当然トレーナーから怒られた。
 

よく、高いお金を払ってパーソナルトレーナーに指導してもらっても続かなかったり、痩せなかったりする人が多いと聴く。
 

しかし、今回、理由がよくわかった。
 

トレーナーの言っていることは尤もなのだが、それを守っていたら集団生活や仕事生活ができないのである。
 

自分一人で生活や仕事をしているわけではないので、守りたくても守れない状況が非常に多いのである。
 

特に集団行動が多い日本という国では。
 

実はパーソナルトレーナーの指導は、守れない状況の時どうすればいいか? が抜けてしまっていて、とにかく「炭水化物を取るな!」「良質なタンパク質を取れ!」なのである。
 

パーソナルトレーナーの飲み会は、他のトレーナーや管理栄養士とかと飲むことが多いので、刺し身や焼鳥の塩ばかりのタンパク質を意識した飲み会も可能。
 

お昼が10分になることにならないように調整ができるので、そこも考える必要がない。
 

パーソナルトレーナー自身は、そういう状況にならないし、なりそうになったらコントロールもしやすいのである。
 

他にも、結婚している人なら、奥さんや子どもにまで食生活を巻き込むことは、できないだろう。
 

とはいえ、自分だけ別メニューと言って、奥さんの負担をかける訳にもいかない。
 

これが、パーソナルトレーナーなら食生活を正すのが旦那さんの仕事なので、奥さんも普通に協力する。
 

つまり、こちらの事情や状況を知らずにトレーニングメニューを組むのである。
 

これには私は部下の事情や価値観を理解せず、自分の事情や価値観を押し付けるジャイアン主義のオレオレ要求と重なり合った。
 

私も長いこと生きてきてジャイアン主義の人やオレサマ上司にはたくさん困ったが、ジャイアン主義のオレオレ要求に非常に似ている。
 

だから、パーソナルトレーニングでダイエットを考えている人は、ぜひ自分がパーソナルトレーナーの言うことを徹底できる立場か? を考えた方がいい。
 

「営業でお客様との飲み会も多いから、とても言われる食生活を守るのは無理……」など、完璧には守りきれないという人は、食事制限の緩和な長期間ダイエットのトレーナーのところに行くか、他の方法を考えた方がいい。
 

私も高いお金を払った今、最後まで続けるつもりだが、私は言いたいことは言うと決めた。できないことはできないと言うと決めた。
 

たとえトレーナーと大喧嘩になっても……

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2019-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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