メディアグランプリ

おひとりさまは麻薬です~おひとりさま予防策~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:みかんかん(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「解放してくれ」
私は、新婚旅行にニューヨークに来ていた。今から7年くらい前の話だ。
一人で海外旅行を何度かしていた私は、一人で行動することに慣れていた。だから、食事をする場所とか、買い物をする場所とかを相方に気を遣って考えることが日に日に苦しくなっていた。
一人で好きなところに行きたい。
一人で好きなものを食べたい。ビールが飲みたい。
ホテルでゆっくりテレビを見たい。
そういう欲望で頭がいっぱいになっていた。
そのうち、相手の言動にも不満がたまり、集合場所と時間を決めて、一人で行動するようになっていた。
そして、数か月後、別居し、離婚した。
私が結婚に向いていなかったのだ。
 
私にも結婚願望があって、幸せな結婚生活を夢見ていたこともあった。毎日、家族のために食事を作り、夕食を一緒に食べる。休日にはどこかに遊びに行く。そういう家庭を夢見ていたこともあった。しかし、一人暮らしが長くなるにつれ、一人でいることが当たり前になった。一人でご飯を作って食べることや一人で好きな番組をテレビで見ることが日常になった。そして、海外旅行も一人で行くようになり、一人でできないことがだんだん少なくなった。挙句の果てに、他人といることが窮屈になってしまった。
 
一人で過ごすことに慣れてしまったため、そこから抜け出して、他人と一緒に行動することが苦になっていることに、気が付いた。
 
まるで麻薬のようである。
 
私は、麻薬はやったことがないけれど、麻薬を止めることは難しいと聞く。おひとりさまも止めることは、相当難しいと思う。それこそ、理想の彼氏になったロボットが目の前に現れて、一緒に暮らすっていう漫画があったが、ああいうことがない限り、おひとりさまからは抜け出せない。それか、家の前に段ボールに入ったイケメンが置いてあって、拾って一緒に暮らすようになるか。現実的ではない。ちょっと憧れるが。
 
この前、職場で「一人で喫茶店に入ると、居づらくなって、すぐに出てきてしまう」と言っている人がいた。その人は、時間をつぶすときにはひたすら歩き回っているようだ。人それぞれだからそういう人がいても不思議でも何もないが、その人が少しうらやましく思った。そういう人は、誰かと一緒に過ごすことを楽しめるだろうし、実際に職場でも周りの人から慕われている。
 
では、どうしたら、おひとりさまから抜け出せるか。
 
旅行をするときに、一緒に行ってくれる人を探すか。
お友達サイトで、同じような境遇の人を探すか。
思い切って結婚情報サイトにでも登録するか。
趣味のサークルにでも入るか。
いろいろ考えるが、究極のめんどくさがり屋を自称する私は「もういいや」と思ってしまう。
このめんどくさがり屋が、私のおひとりさまから抜け出せない原因になっているのかもしれない。人見知りな上に積極的にコミュニケーションをとろうとしない。
友達が少ないことも、私のおひとりさまライフを助長させているのかもしれない。人付き合いは悪くないほうだが、何でも話せる友達はいない。逆に何でも話せる友達って何だよと思っている節もある。だから、旅行に一緒に行こうという気にもなれない。
そう考えると、私がおひとりさまになるのは必然だったのかもしれない。だから、抜け出せない。ある時期から、開き直って抜け出せなくてよい、ずっとおひとりさまでいいや、と思うことにした。
 
こうなる前に思うことがある。おひとりさまにならないためにどうしたらいいか。
 
早く相方を見つけることだ。これは、結婚相手でもいいし、友達でもいい。
 
一人で旅行をすることを当たり前にしないことだ。海外旅行は特に。一人で旅行すると、行きたいところには行けるし、食べたいものは食べられるし、寝たいときには寝られるし。自由度は半端ない。私は旅行をするときには、読みたい本を持って行って、移動中はひたすら読んでいて、他人と関わることは必要最小限である。こういう旅行が当たり前になったら、冒頭の新婚旅行のような状況になることが明らかだ。「成田離婚」なんて言葉があったが、そういう状況になることも分かるような気がする。
 
週に1度は誰かと食事をすることだ。飲み会でもいいし、ランチでもよい。会話をしながら食事を楽しむことは、他人とコミュニケーションをとる上で大事なスキルだ。テレビを相手に食事をすることが当たり前になると、誰かと一緒に食事をするときに何を話したらよいのか迷うことが多々ある。一人だと会話に迷うこともなく食事をすることができる。しかし、この生活に慣れてしまうと、他人と一緒に食事をすることがつらくなってしまう。
 
書きながら、自分を振り返ると自分は本当に重度のおひとりさまだと思う。
 
だから、結婚願望がある人に「一人が当たり前になる前に、早く結婚したほうが良い」と助言している自分に最近、気付く。結婚して分かることもたくさんあるから、結婚はしたほうがよい。できれば、周りの人には末永くお幸せになってほしい。
 
そう思いながら、テレビで紹介されていた温泉にでも行こうかなとパソコンに向かっている。もちろん一人で。
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/66768

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-01-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事