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メディアグランプリ

得意をつくる呪文


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?

賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:小川絵里(ライティング・ゼミ 土曜コース)
 
私は塾で「受験国語」を教えています。学校で教える「国語」は、作文や取材などの内容も含んでおり、情操教育的な側面も大きいのですが、私が教える「受験国語」は、文字通り「受験を突破するための国語」です。そのため、私のもとにやってくるのは、「国語は苦手だけれど、その国語をどうにかしなければ受験を突破し難い」という生徒が大半です。
そのような事情を持つ生徒を指導していく中で、その生徒が「受験国語」でなかなか思うような点数を取れない要因が浮かび上がってきます。確かに、彼らには、解答するのに必要な「技術のようなもの」が身についていないことも、大きな要因としてあります。ですが、それは「しっかりとした手順で、良問を解くこと」を身に付ければ、乗り越えられるハードルなのです。実際、生徒たちはそういった技術的なことは、思いの外短期間で身に付けますし、それを塾の小テストなどではすぐに発揮できるようになります。しかし、それが、学校のテストや模試などの点数には、なかなか反映していかない。なぜか? それは彼らが「自分は国語が苦手だから、国語で得点できるはずがない」という暗示に縛られているからなんです。この暗示は、どれほど塾で受験国語の技術を身に付け、点数が取れるようになってもなかなか解くことができず、これを解くためには時間と根気が必要になります。なぜなら、彼らのその暗示のもとになっているのは、幼いころから保護者によって繰り返し刷り込まれた「あなたは国語が苦手だから」という言葉であるからなのです。
 
どういうことか。
 
生徒たちは、小学校に入ってから初めて「国語」という科目に触れます。そのときには、「国語」という科目に対して、得意も不得意もないはずなんです。文字や活字に対する好き嫌いは多少あるかもしれません。でも、科目に対する得意、不得意はまだないはずなのです。それなのに、いざテストが行われ、点数という分かりやすい形で結果が示されたときに、「この子は国語が不得意である」という判定が突然(保護者の中に)発生するのです。そして、その判定をはっきりと言葉にして「あなたは国語が苦手なのだ」と伝えたとき、子供は「自分は国語が苦手なのだ」と意識するようになります。そして、「苦手」であると言葉によって明確にそれを刷り込まれた子供は、国語を「苦手なもの」として勉強するようになり、どんどん「苦手」の度合いが増していきます。
そんなことが原因になるのか? と思われるかもしれません。でも、幼いころに保護者から言われた言葉というのは、子供にとっては「絶対」なんです。それは、保護者が考えるよりもずっと強い呪縛になっていくのです。
保護者の中にも覚えがある方がいらっしゃるのではないでしょうか?
ご自身が幼いころ、自分ではとても気に入って着てみた明るい色の洋服を「そんな派手なもの、似合わない」と保護者に否定され、大人になっても明るい色の洋服を着ることに少し抵抗感を感じることがあったり。あるいは、欲しいおもちゃを買って欲しいとおねだりしたとき、「うちに贅沢をするお金はないから」と言われ続け、自分でお金を稼ぐようになっても、嗜好品を買うことに少し罪悪感を覚えたり。そんな傾向、思い当たりませんか?  「苦手だ」という言葉も持っている効力はそれらと同じなんです。

そうであるならば、逆に考えればいいですよね。そう。褒めて、「これ、得意だね」と肯定すればいいんです。それこそ呪文のように、繰り返し唱えて、子供の心の中に刷り込んでいく。
 
実際に、私は、生徒に対して「間違えること、出来ないことを絶対に叱らない」、そして、「出来ている部分は、何が出来ているのかを、きちんと理由も含めて褒める」、にかなりの力を注ぎます。そして、「国語、出来てるじゃん!」と、きちんと言葉にして何度も伝えます。さらに、保護者にも毎回具体的に「出来ている」ことを伝えて、保護者の中にある「うちの子は国語が苦手だ」という認識を少しずつ変えることをします。もちろん、細かい解答分析をした上ではありますが、大枠ではやっているのはそれだけなんです。それでも、実際このやり方で、私のもとにやってきたときにはセンター国語で6割の得点率であった生徒が、半年の指導の末、センター試験当日に8割を超える点数を取ってきましたし、高校1年生のときには国語の偏差値30台であった生徒が、一年後には偏差値が65まで上がっていました。
 
今回は「受験国語」ということでお伝えしましたが、他のことでも同じ方法が使えます。「これ、得意だね!」と褒め言葉を唱えて「得意」をつくり出す。もちろん、そこには褒めるところを見つけるための分析であったり、忍耐であったりは必要なのですが。
最初から褒めるのは難しいかもしれません。それなら「うちの子はこれが苦手である」という認識を保護者自身が持つこと、また、それを言葉にすることを辞めることから始めてみませんか? 得意を作り出すための第一歩。勇気と忍耐は要るかもしれませんが、踏み出してみると案外子供についても、ご自身についても発見が多いと思いますよ。
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/66768

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2019-01-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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